前述した通り、Leap Motion Controllerの直感的な操作は、3Dアプリケーションの操作と相性がよい。手のひらの角度、回転モーションなどを高精度に認識できること、指先など複数の立体位置情報を同時に認識できることなどから、ディスプレイ内の立体空間にユーザーの意図がそのまま投影される「直感での分かりやすさ」は随一だ。
逆に平面的な操作は慣れが必要だと感じた。例えば、タッチパネルディスプレイのような接触型のインタフェースデバイスの場合は、「指が触れていない」という感覚と「操作が読み取られない」という挙動は完全に一致する。1ミリに満たない隙間であっても「触れていない」ことは確実に認識できる。しかし、Leap Motion Controllerのような「虚空」のスクリーンでは感覚的なフィードバックがないため、数センチ以上の挙動でなければ操作を意識することは難しい。
仮にLeap Motion Controllerをタッチパネルディスプレイの代わりしたいと考えるのであれば、実際にディスプレイのスクリーンに触れた状態、触れていない状態を識別できることと、位置情報をきちんとスクリーン座標にマッピングする仕組みが必要だろう。だがそれはLeap Motion Controllerの目指すところではないはずだ。2D入力装置の単純な置き換えではなく、3Dモーション入力装置の利を生かしたインタフェースの設計が求められるところだろう。仮想キーボード技術を持つDexTypeの買収(2013年7月)はその動きの1つかもしれない。
インタフェースの普及においては、個人を含むサードベンダーがいかに開発しやすいかも重要なポイントだ。その点ではWebSocketインタフェースが用意されていることは非常に心強い。対応ライブラリが公開されなければほとんど手が出せないネイティブインタフェースと異なり、オープンなプロトコルによる通信であればそれなりのスキルを持った開発者であれば「なんとかなる」。特に未来的なインタフェースであるLive Motion Controllerは未来に生きている日本人と相性がいいはずだ。
また、位置情報に合わせてモーション情報、ジェスチャー情報を取得できるのも開発者の負担を軽減してくれる。すでにLeap Motion Controllerに対応した同人ソフトなどもでてきており、入手性さえよくなればAirspace Storeに限定することなく、対応ソフトも増えてくるだろう。
現在のところ、国内にはLeap Motionの正規代理店はなく、国内で販売しているところは定価の2倍近い価格をつけている。入手できない価格ではないものの、「80ドルを切る安価なデバイス」という触れ込みから考えるとためらう向きもあるだろう。Leap MotionはPCメーカーのASUSTeKやHPとパートナー契約を結んでいる。単体、バンドル含め、国内での入手性が改善されることに期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.