薄型軽量ボディの小型スピーカーとは思えない音質を確保できた秘密は、さまざまな高音質化技術にある。ソニーがAV機器で培ってきた独自の技術を惜しみなく投入しているのだ。
内蔵スピーカーによる音声出力では、デジタル信号処理で音響特性を補正して自然でクリアな音が楽しめる「Clear Phase」、高精度なデジタル音場処理により内蔵スピーカーだけで仮想的にサラウンド音場を再現する「S-Force フロントサラウンド 3D」、再生レベルの強調技術で内蔵スピーカーの音量を高める「xLOUD」が利用できる。
ヘッドフォンをつないだ場合は、左右の音の混在をカットして明瞭なステレオサウンドを実現する「クリアステレオ」、独自の音響処理によりメリハリのある重低音を再現する「クリアベース」、スタジオ、クラブ、コンサートホールから楽曲に合わせた臨場感のある音質を選べる「サラウンド(VPT)」に対応する。
設定をオンにするだけで、ソニー推奨の音質に自動で切り替わる「Clear Audio+」モードも用意されており、難しいことを考えずに、コンテンツに最適と思われる音が楽しめるのは便利だ。マニュアル設定のイコライザーや、曲間ごとの音量レベルを均一化する「ダイナミックノーマライザー」も備えている。
これらの音響効果は、Androidの設定メニューや「WALKMAN」アプリでオン/オフを切り替えることが可能だ。オン/オフで聴き比べてみると、はっきりと違いが分かり、多彩な技術の組み合わせによって、小型スピーカーの音質をできるだけ高めていることに感心させられる。特にxLOUDが音量に与える影響は大きい。また、S-Force フロントサラウンド 3Dもまずまずの包囲感が得られる。
最後に、いつものように先代の「Xperia Tablet S」(SGPT123JP/S)や、競合機種の「Nexus 10」と内蔵スピーカーの音質を比較してみた。
結果は残念ながら、Xperia Tablet SとNexus 10には及ばないと感じられた。Xperia Tablet Sは本体の厚さが8.8〜11.85ミリあり、スピーカーの容積が大きいことに加えて、ソニーのオーディオ機器で定評がある「S-Master」デジタルアンプも内蔵しており、音の表現力に差が生まれている。また、Xperia Tablet Zより厚みがあるNexus 10(8.9ミリ厚)は背面のステレオスピーカー自体がなかなかパワフルで、低音の鳴りが違う。スピーカーサイズの差は仕方がないところだ。
とはいえ、聴き比べてみなければ、気にならないレベルではある。高音質をタブレットに求めるユーザーは多くないだろうが、Xperia Tablet Zは薄型軽量かつ防水防塵という不利な条件ながら健闘していると評価したい。
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