さて、PC、スマートフォン、タブレット……と、複数の機器を併用するとなると、おそらく同じ作業データを共有して使うスタイルに“自然”に変わってくるはずだ。
自宅であれば、NAS(ネットワークストレージ)を用意するのが効率がよく、外出先であればオンラインストレージサービスを利用するのが比較的手軽かつ低価格に運用できる手段だ(ITリテラシーの高い人であれば、自宅PCにリモートアクセス、あるいは自宅NASに固定IPサービスやダイナミックDNS、あるいはVPNで接続して活用する人も多くいるが、ひとまず今回は割愛させていただく)。
Windows PC、Android、iOS、それぞれの機器で同じファイルを隔てなく扱えるようにする目的で、筆者はオンラインストレージサービスの「Dropbox」を活用している。業務データはDropboxの個別の場所へ保存するようにし、各機器にはそれぞれDropboxアプリをインストールすることで、機器を問わず1つの保存先・データを共有する方法だ。
特にDropboxのPC向けソフトは、同期さえ済んでいればオフライン時(インターネットに接続していないとき)でもそのファイルを扱うことができるのが安心できる点。また、別のストレージへバックアップするのも、ローカル作業と同様のWindowsエクスプローラ上で作業できるので「ファイルの行方不明や不意の消失」といった不安も比較的抑えられる理由でこちらのサービスを活用している。
Dropboxを軸にWindows PCとスマートフォンと組み合わせると、メモとして撮影した画像をすぐ同期し、Dropboxフォルダ経由でYoga 11Sより引き出せるといった業務シーンにもかなり向く使い方が構築できる。特に、Android版アプリは「撮影写真を自動アップロードする」という設定も簡単に行えるので、あたかもスマホ撮影後、写真がPCに自動転送されている──といった感覚で扱えたりもする。
LTEスマートフォンはテザリングもできるので、スマホで通信できる場所であればYoga 11S用のネット環境の確保も大丈夫ともみなせる。メインPCとモバイルPC(Yoga 11S)というタッグのほか、モバイルPC(Yoga 11S)とスマートフォンのタッグも改めて強力な業務ツールになることも再認識できるのではないだろうか。
もう1つ、日本語入力システムにジャストシステム「ATOK」を使っている複数台のPC活用者であれば、同社のクラウド型設定同期ツール「ATOK Sync」を活用しない手はない。
複数のPCやスマートフォンを同時に使うとなると、使い勝手はもちろん、日本語入力の学習程度も使い込み具合によって差が出るので効率が悪くなるシーンがある。ATOK Syncで入力環境を同期・共有しておけば、どんなPCでもほぼ同じ日本語入力環境が得られるようになるのが大きな魅力だ。
さらに、Android版ATOKや、iOS用「ATOK Pad」「Tweet ATOK」アプリでも、ATOK Syncを介した登録辞書(登録単語)を共有できるのも、メインPC+サブPC/PC+スマホの複数台活用者に勧めたい便利機能。筆者はこれにより、Yoga 11SとThinkPadで入力環境を共有しつつ、スマートデバイスでも入力時の効率の違い(=入力のクセ)がある程度吸収できるよう環境が整ってきた。
これらは、やはり業務効率を高めるにあたりかなりのウエイトを占める、なくてはならない「初期作業」となった。……と言ってもDropboxとATOK Sync(およびスマートデバイスはATOK系アプリ)をインストールするだけだ。
ただ、この同期手段においては本機ならではの問題点・課題もあった。こちらは次回でじっくり解決策を練ることにする。
(続く)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.