HP Slate7のボディサイズは約116(幅)×197(高さ)×10.7(厚さ)ミリと、7型Androidタブレットの中でも幅が細い部類に入る。手が小さな女性でも握りやすいサイズは好感が持てる。ボタンやフレームに金属を採用しているが、重量は362グラム(実測値)に抑えており、カタログ値の370グラムよりもやや軽かった。
背面はソフトタッチ加工により傷がつきにくく、しっとりとした手触りとなっている。同社のビジネスノートPC「EliteBook」シリーズの背面加工“ビードブラスト”と似た感触で心地よい。
最大のウリは、高音質化技術のBeats Audioだ。Androidの設定メニューで同機能のオン/オフ、そしてイコライザのタイプをOn-Ear/In-Ear/Passiveの3種類から選べる。本機能をオンにすると、重低音を中心に音が増幅される。いわゆる“重低音好き”にはうれしい機能だ。YouTubeで音楽を聴くといった場面でも、音の違いははっきりと分かる。
ヘッドフォン出力の場合でしか利用できないという欠点はあるものの(スピーカー出力した場合、Beats Audioの効果が得られず重低音が細いと感じた)、本製品ならではの機能として価値がある。メニューから簡単に設定できるところも気が利いている。Beats Audioは一度体験してしまうと、オフにしようとは思えなくなるだろう。
ベンチマークテストを行う前に評価機の構成をおさらいしよう。CPUは2コアのContex-A9(1.6GHz)を採用し、メモリ容量は1Gバイト(DDR3LM)で、データストレージは16Gバイト(eMMC)だ。Contex-A7(1.2GHz)を搭載する「MeMO Pad HD7」やインテル製SoC「Atom Z2420」を搭載する7型Androidタブレット「Fonepad ME371MG」ともスコアを比較した。
テストのスコアはHP Slate7とMeMO Pad HD7がほぼ同等となった。項目別に見るとCPUのスコアはMeMO Pad HD7が高いが、グラフィックス系テストのスコアはSlate 7が高い(または同等)。とはいえ、体感で描画速度が遅いと感じることはあまりなく快適にアプリケーションなどを楽しめた。
バッテリーテスト(最大輝度でYouTubeを連続再生)の結果は約5時間半だった。カタログ値の5時間を超えるパフォーマンスだが、外出に持ち出すにはやや不安が残る時間だ。不安であれば、本機用にモバイルバッテリーを持ち歩くとよいだろう。発熱については、ベンチマークテスト中に背面のロゴ付近が約33度(室温25度)まで上昇したものの、ほんのり温かいと思うくらいで、あまり気にならなかった。
※バッテリー駆動時間テストでは、ディスプレイの輝度を100%、Wi-Fiオン、音量50%に設定し、満充電からバッテリーがなくなるまでの時間を測定
HP Slate7の価格は、直販限定の8Gバイトタイプが1万3860円、量販店モデルの16Gバイトタイプが2万円前後となる。日本HP取締役副社長の岡隆史氏が、製品発表会にて「価格でアピールするという選択をした」と言うとおり、為替レートが円安傾向にある中、この価格を実現したのは好印象だ(グローバルでは8Gバイトモデルの価格は169ドル)。
安価な7型Androidタブレットは多数登場しているが、HP Slate7は手堅い作りと高い質感、そしてBeats Audioといった同社にしかない特長を詰め込んできた。画面解像度などのスペックは、価格なりに抑えている部分もあるが、1280×800ドット程度の7型モデルと比べるならば、実用上大きな違いはないと割り切れるレベルではある。
使い方にもよるが、2モデルの価格差を考えた場合、直販限定の8Gバイトモデルを購入し、大容量のmicroSDカードでストレージ不足を補うのがお得な買い方だろう。外出先でもタブレットで音楽を楽しみたい人に加え、安価な7型Androidタブレットを探している人にもおすすめできる製品だ。
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世界初、Beats Audio(TM)搭載 ミュージックプレイヤー・タブレット
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