本製品は独自アプリとして、ファイルマネージャソフトの「HP File Manager」、メディアプレイヤー「HP Media Player」のほか、インターネット経由でプリンタに印刷指示が出せる「HP ePrint」、リモートデスクトップツールの「Splashtop」、オフィススイートの「KINGSOFT Office for Android」をプリインストールしている。
ただし、画面の回転機構を持っていないため、縦位置前提のアプリでも強制的に横位置で表示されることには注意したい。アプリによって、左右がカットされて細長く表示されるものと横に延ばして表示されるものとがあり、後者では表示のバランスが崩れる。
Androidアプリはスマートフォンやタブレットの小さい画面を想定して作られているものが多く、反応速度が重要になるようなゲームなどでは、画面が大きすぎてうまく遊べないものもあるだろう。マルチタッチが2点までなので、仮に大きな画面を生かして複数人で同時操作できるようなアプリがあっても対応しにくいところは惜しい。
逆に大画面の一覧性を生かせるビューワ系アプリは使いやすくなる。文字の量が多い電子書籍や新聞、雑誌といったコンテンツをリラックスして読むのには向く。高解像度の写真や動画も小型のタブレットで見るよりも迫力が出るところはよい。
このHP Slate21は、大画面液晶を搭載したAndroidマシンという珍しい製品だ。今のところ“これにしかできない”という機能はないが、Androidタブレット向けのコンテンツを大画面で楽しめるだけで十分な存在意義があるし、大画面を生かしたコンテンツの消費という新たな使い方を提案できる可能性もある。
本機はメモリが1Gバイト、ストレージ容量が8Gバイトといった仕様からも、コンテンツを作成する用途はある程度割り切り、コンテンツを消費することに特化したマシンだと分かる。
すでにAndroidを搭載したスマートフォンやタブレットは広く普及しており、その操作性やUI(ユーザーインタフェース)になじんでいるユーザーは大勢いる。そういうユーザーが、気軽に家の中で検索して何かを調べたり、動画や写真、音楽を視聴したりするデバイスとして、大画面のAndroidデバイスが欲しいと考えるのは自然の流れかもしれない。PCやWindowsマシンを使ったことがないユーザーであれば特にそうだろう。本製品はそういうニーズに応えられる。
直販サイト“HP Directplus”での販売価格は4万円前後が予定されている。高性能なAndroidマシンとして見ても、大画面のデスクトップマシンとして見てもリーズナブルに感じる。これも「コンテンツを消費する」ことに特化しているからだろう。パーソナルなコンピュータの新しい選択肢として大いに注目したい。
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