「ドラゴンクエストX」「コラボ端末」で連携を強めるドコモ×スクウェア・エニックスCEATEC JAPAN 2013

» 2013年10月01日 09時05分 公開
[田中聡,ITmedia]

 既報のとおり、NTTドコモの「dゲーム」で「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」を配信すること、「ドラゴンクエスト」とコラボレートしたスマートフォンを開発中であることが発表された。CEATEC JAPAN 2013開催前日の9月30日に、NTTドコモとスクウェア・エニックスが合同記者会見を開催した。

 会見にはNTTドコモ マーケットビジネス推進部長の前田義晃氏と、ドラゴンクエストX プロデューサーの齊藤陽介氏、ゲームデザイナーの堀井雄二氏が登壇し、今回発表した取り組みの詳細を語った。

photo 左から堀井雄二氏、前田義晃氏、齊藤陽介氏

スマートフォンでMMOを遊べるのは未来的――堀井雄二氏

photo NTTドコモの前田氏

 ドラゴンクエストXは、2012年8月2日にWii版、2013年3月30日にWii U版、そして2013年9月26日にWindows版が発売された。これらに続く作品となるdゲーム版では、従来はゲーム機やPCが行っていたゲームプログラムをクラウド上で実行し、実行中の映像と音声を端末側でストリーミング再生している。前田氏は「今回、クラウドゲームに対応したことで、さまざまなデバイスの上で、手軽なゲームだけでなく、リッチで動きのあるゲームを楽しめる。新しい取り組みとして続けていきたい」と意気込んだ。ゲームの内容自体は既存のものと同じで、Wii版やWindows版と同じサーバ上でプレイすることも可能だ。

 ドコモのdゲームは、2012年12月からサービスを提供しており、現在までに約40タイトルのゲームを配信している。その中心となっているのが、ブラウザ上で楽しめるソーシャルゲームだ。今回配信が決定したドラゴンクエストXは、dゲーム初のクラウドゲームとなる。「ドラクエのように、本格的なMMO(多人数同時参加型オンライン)RPGを(スマホやタブレット向けに)配信するのは世界初だとスクウェア・エニックスさんからうかがっている。我々も楽しんでもらえると確信している」と前田氏は自信を見せる。

photophoto 「ドラゴンクエストX」は、dゲーム初のクラウドゲームとして配信する
photophoto これまでゲーム機やPCが担っていたゲームプログラムをクラウド側で実行し、音声と映像をストリーミング再生する(写真=左)。ドラゴンクエストXは、これまで3つのデバイス向けに提供された(写真=右)
photo GALAXY S4らしき端末でドラクエXを操作

 スクウェア・エニックスが、ドコモ向けにコンテンツの提供を決めた理由について齊藤氏は「dゲームというプラットフォームで積極的にゲームタイトルをそろえて、お客さんに楽しんでもらう場を設けている。お互いの目指すものが合致したため」と説明する。堀井氏は、スマートフォン(機種は不明。おそらくGALAXY S4?)でドラゴンクエストXをプレイしている様子も披露し、「皆さんのスマートフォンでMMOが遊べる。けっこう未来的な感じだと思いますね」と感想を話した。


photophoto ゲームのデモを披露した齊藤氏(写真=左)。スマートフォンでドラクエXを操作するところを見せた堀井氏(写真=右)

dtab以外の対応機種は? 料金はどれくらい?

photo まずはdtabから対応する

 ドラゴンクエストXは、まずは2013年12月〜2014年2月に「dtab」向けに提供される予定。dtabを最初の対応機種に選んだのは「家の中で、インパクトを余すことなくお伝えできるような大画面のタブレットから提供したいと考えた。その中で、弊社が戦略的に展開しており、かつ、価格は1万円を切るタブレットから提供する方が、お客様の手に届きやすい」(前田氏)と考えたため。dtabは、ドコモのサービスを楽しんでもらうために投入したドコモブランドのタブレット。ドラクエXの配信は、dtabをさらに売るための強力な施策になりそうだ。

 ただ、対応機種は「dtabに限定されるものではない」と前田氏が話すように、ほかのタブレットやスマートフォンにも順次対応していく。「12月にはさまざまな新製品を発売させていただく時期になると思うので、新しい端末への対応も、なるべく早いタイミングで順次拡大していきたいと考えている」と話し、10月に発表予定の新製品も対応する可能性が高そうだ。

 対応機種の条件については「ハードスペックは必ずしも限定しているわけではないが、スペックの高い機種の方が動作確認しやすい面はあると思っているので、そういったものから順次拡大していきたい」とした。なお、3GやLTEでのプレイも可能だそうだが、長時間プレイするほど通信量が多くなるため、「ドコモとしては、Wi-Fiでの利用を推奨する」(説明員)とのこと。

 UI(ユーザーインタフェース)はスマホやタブレット用に作り込んでおり、画面上に表示されるボタンや、サードパーティのコントローラーなどで操作できる。「ボタンの配置を覚えた人は、インタフェースを消して『けってい』だけを表示するなど、お手軽に、見た目もシンプルに遊べる」(齊藤氏)。CEATECのドコモブースでは、実際にdtabでドラゴンクエストXをプレイできるが、まだ試作段階のためか、スムーズに操作できないことが何度かあった。「現在チューニング中」(説明員)とのことなので、完成品の出来に期待したい。

photophotophoto 仮想キーを使ってゲームを操作する。「けってい」以外のボタンを消すことも可能だ
photo スマホとタブレット対応コントローラーでも操作できる

 dゲームは「docomoID」を取得すれば、他キャリアのスマートフォンでも遊べるが、ドラゴンクエストXについては、「しっかりしたクオリティのサービスを提供したいので、当初はドコモのお客様とドコモ端末のみに提供する」(前田氏)考えだ。ただ、同氏は「サービス事業者としてもやっていきたいと思っているので、ドコモのお客様だけでなく、スクウェア・エニックス様を通して、さまざまな方に広くお使いいただけるようにしたい」とも話し、将来的にはドラクエもマルチキャリアで展開する意向を示した。なお、iOSへの対応は未定。現状はAndroid向けのみ提供される。

 料金についてはスクウェア・エニックス側が「さまざまなプランをお考えいただいている」(前田氏)そうで、詳細は別途案内される。キャリア決済ができるのはもちろん、ドコモポイントを使うことも可能だ。「パッケージ版は30日、60日、90日で価格を設定しているが、短期間で安いプランも検討していきたい」(齊藤氏)

コラボ端末の詳細は10月の新製品発表会で明らかに

 今回発表されたもう1つの目玉が、ドラクエとコラボしたスマートフォンだ。「メタルスライムをモチーフにしている」ことと、「オリジナルアプリを用意している」こと以外の情報は公表されていない。ドコモブースにはガラス越しに展示されているが、実際に操作することはできない。販売台数や端末メーカーなどの詳細は10月の新製品発表会で明かされる予定。端末にはHTC J Oneなどのように本物の“メタル”を使っているわけではなく、メタル調のようだ。背面にはロトの紋章、スライム、キメラ、ドラキーなどが散りばめられている。

photophoto メタルスライムをモチーフにしたコラボ端末(写真=左)。堀井氏もチラ見せ(写真=右)
photophoto ドコモブースではガラス越しに展示されている(写真=左)。ドラクエでおなじみのモンスターやロゴなどがあしらわれている(写真=右)
photophoto カメラとフォトライトが確認できる(写真=左)。ディスプレイ面はよく見えない(写真=右)
photophoto イヤフォンジャック(写真=左)と側面のキー(写真=右)
photo

 コラボ端末専用のアプリとして「ドラゴンクエスト いつでも冒険ダイス」をプリインストールしている。このアプリでは「歩数」や「スマホを使った回数」と連動してダイスポイントがたまる。たまったダイスポイントを使ってダイスを振るとゲームが進行し、冒険中に入手した「ちいさなメダル」を、壁紙やデコメ絵文字などと交換できる。「ただコンテンツを内蔵するだけでは面白くないので、ゲーム要素を持たせた」(説明員)。アプリを起動していなくても歩数をカウントできるよう内蔵の歩数計と連動しているので、「ダウンロード提供してほかの端末で使うことは難しい」そうだ。スマホを使った回数には「メールの送受信」や「ロック解除」などが含まれ、些細な操作もゲームにつながるよう工夫されている。

photophoto 「ドラゴンクエスト いつでも冒険ダイス」は、「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」を使ってデモを披露していたが、同アプリをコラボ端末以外に配信する予定はない。でもAQUOS PHONE ZETA SH-06Eで動かしていたということは……、そしてシャープ製スマホは昔から歩数計を搭載していたことを考えると……なんて想像してみたり
photophoto セーブしてアプリを終了できる(写真=左)。ゲーム内で転職もできる(写真=右)
photo ドコモブースでドラクエスマホや、ドラゴンクエストXとドラゴンクエスト いつでも冒険ダイスのデモを披露している

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