軽量化のアプローチについては、基本的には先代機を踏襲しつつ、より強化したものとなっている。ボディの素材は先代同様、マグネシウムとマグネシウムリチウム合金を組み合わせており、先代より薄肉化することで軽量化を図ったという。
具体的には、トップカバーは0.6ミリ厚のマグネシウムダイカスト、トップケース(キーボードベゼル/パームレスト部)は0.4ミリ厚のマグネシウムダイカスト、ボトムケースは0.4ミリ厚のマグネシウムリチウム合金をプレスで利用する。マグネシウムリチウム合金は、マグネシウム以上の剛性を持ちながら比重がマグネシウムの約75%と軽いという特性をもつ素材だが、加工が難しいこともあって、初代機の発売から1年以上経った今でもLaVie Z以外では使用例を見ない。それだけ特別な素材だということができる。わずか0.4ミリ厚とだけ聞くと少し不安になるかもしれないが、実機を手にしても脆弱な印象はまったく受けない。
LaVie Zの軽量化は素材だけではない。液晶ディスプレイ、キーボードは、独立した液晶モジュールやキーボードモジュールをはめ込むのではなく、それぞれを構成する部品(液晶ディスプレイならば、バックライト、液晶セル、導光板など)をボディに直接組み込む「筐体一体型設計」を採用。新型は液晶セルとキーボードの板金素材を用い、さらに軽量化を推進した。また、タッチモデルは、0.55ミリのタッチパネルを「ダイレクトボンディング」と呼ぶ手法で液晶に直接貼り付け、この筐体一体型設計に組み合わせている。ダイレクトボンディングではタッチパネルと液晶の間に空気層が入らないため反射や視差を低減する効果があり、タッチの精度も向上する効果がある。
これら一般的なノートPCとはまったく異なる一点物的な製造手法であり、モジュール化した液晶やキーボードを組み込む手法と比べると手間とコストがかかっていることは容易に想像できるが、やはり液晶モジュールの金属フレームなどを省ける効果は大きい。そこまで特別に軽量化を突き詰めたからこそ795グラムという驚異的な軽さ、14.9ミリという薄さを実現できたことになる。
基本システムには、第4世代Coreプロセッサーを中心としたIntelの新世代システムを採用する。Ultrabook/薄型ノートPC向けと位置付ける「Uシリーズ」のプロセッサが載っている。
このUシリーズではCPUにチップセットの機能をワンチップに統合したSoC(System On Chip)で提供されるため、基板の省スペース化が容易になっている。さらに、C8〜C10という新たなCPUアイドルステート、およびS0ix(S0i1/S0i3)というシステムレベルのアイドルステートに対応し、大幅な省電力化を可能にした。
高解像度モデルは、前モデル比でバッテリー容量が33.3Whから29.6Whへと少なくなったのだが、それにも関わらず公称のバッテリー駆動時間は約7時間から約9.2時間に伸びている。それもこの第4世代CoreプロセッサーUシリーズの採用によるところが大きいと言える。
高解像度モデルは、CPUとデータストレージが異なる2モデルを用意。最上位モデルはCore i7-4500U+256GバイトSSDを、高解像度スタンダードモデルとタッチモデルはCore i5-4200U+128GバイトSSDを搭載する。
メインメモリは4GバイトのDDR3L-1600をオンボード搭載しており、増設および差し替えはできない。データストレージはmSATAのSSDを採用しており、最上位モデルのみ256Gバイト、他のモデルは128Gバイトだ。評価機では最上位モデルがSAMSUNG「MZMTD256HAGM」、タッチモデルはSAMSUNG「MZMTD128HAFV」を搭載していた。
通信機能は、IEEE802.11a/b/g/n/ac(draft)対応無線LAN、Bluetooth 4.0を搭載する。NECアクセステクニカ「AtermWG1800HG」など802.11ac対応ルータを導入すれば、IEEE802.11ac(draft)接続で最大867Mbps(理論値)の高速通信が可能な点は大いに魅力だ。
本体装備のインタフェース類は、内容、レイアウトともに前モデルとほとんど同じだが、本体→続面のUSBポート(電源オフチャージ対応)が、USB 2.0からUSB 3.0になり、となりのポートと合わせてUSB 3.0ポートが2基になった。右側面には、ヘッドフォンとHDMI出力を備えるほか、左側面にSDメモリーカードスロット(SDXC対応)も装備する。こちらは薄型のUltrabookとしては標準的な内容といえる。ちなみに液晶ディスプレイ上部に備えるWebカメラの画素数(92万画素)、底面のステレオスピーカーの出力(1W+1W)とも先代機と同じ。そしてプリインストールOSは64ビット版Windows 8.1に刷新された。
(後編に続く)
後編では、より詳細なディスプレイチェック、ベンチマークテストを行っていきます。
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