では、ベンチマークテストを行っていこう。今回は、最上位の高解像度モデル(LZ750/NS)とタッチモデル(LZ650/NS)の評価機で実施した。それぞれのスペックは以下の通りだ。
スペック | LaVie Z(LZ750/NS) | LaVie Z(LZ650/NS) | (参考)LaVie Z(LZ750/JS) 2012年秋冬モデル |
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CPU | Core i7-4500U(1.8GHz) | Core i5-4200U(1.6GHz) | Core i7-3517U(1.9GHz) |
CPU最大クロック | 3.0GHz | 2.6GHz | 3.0GHz |
キャッシュ容量 | 4Mバイト | 3Mバイト | 4Mバイト |
チップセット | CPU内蔵 | CPU内蔵 | Intel UM77 Express |
グラフィックス | Intel HD Graphics HD4400 | Intel HD Graphics HD4400 | Intel HD Graphics HD4000 |
GPU実行ユニット数 | 20基 | 20基 | 16基 |
GPUクロック | 200M〜1100MHz | 200M〜1000MHz | 350M〜1150MHz |
CPU+GPU+チップセットTDP | 15W | 15W | 17W+3W |
メモリ | DDR3L-1600 シングルチャネル | DDR3L-1600 シングルチャネル | DDR3-1600 シングルチャネル |
メモリ容量 | 4Gバイト | 4Gバイト | 4Gバイト |
液晶 | 13.3型IGZOノングレア | 13.3型IPSグレア | 13.3型TNグレア |
液晶表示画素数 | 2560×1440ドット | 1920×1080ドット | 1600×900ドット |
タッチパネル | なし | タッチパネル搭載 | なし |
データストレージ | 256Gバイト SSD(mSATA) | 128Gバイト SSD(mSATA) | 256Gバイト SSD(mSATA) |
データストレージ型番(評価機) | SAMSUNG MZMTD256HAGM | SAMSUNG MZMTD128HAFV | SAMSUNG MZMPC256HBGJ |
バッテリ容量 | 29.6Wh | 44.4Wh | 33.3Wh |
公称バッテリー駆動時間 | 約9.2時間 | 約14.5時間 | 約8.1時間 |
OS | Windows 8.1 | Windows 8.1 | Windows 8 |
CPUの処理能力の目安になるCINEBENCH R11.5のスコアを見ると、高解像度モデルがCPUで3.9%、CPU(シングルコア)で6.5%スコアが良い。タッチモデルのスコアは、同じCore i5-4200Uを搭載するソニー「VAIO Pro 13」(SVP13219CJB)と似たようなスコアだ。
評価機では両モデルともにSAMSUNG製SSDを実装していたが、CrystalDiskMarkの結果は、256Gバイトモデルと128Gバイトモデルでやや差が出た。リード性能はほぼ一緒だが、シーケンシャルライトと512Kライトのテストで、256Gバイトモデルのほうが128Gバイトモデルの2倍近くも高速だった。
PCMark7の総合スコアにもこのSSD性能の差が影響したと思われる結果を確認できた。なお、PCMark7はタッチパネル搭載マシンにおいてLightweightとProductivityの一部のテストで不当に低いスコアが出てしまう傾向があるのだが、LaVie Zのタッチモデルも同様にスコアが落ち込んでいる。ともあれ、総合スコアや他のスコアには影響がないので、この2つの項目は除外して考えてもらってよいだろう。
3D描画性能はタッチモデルのほうが若干だがよい結果になっている。スコアの信用性が低い傾向の3DMark Ice Stormの結果はともあれ、Cloud GateやFireStrike、ストリートファイターIVベンチマークでも、CPUおよび内蔵GPUのスペックが見劣るタッチパネルモデルのほうが若干だがよいスコアとなった。
もっとも、こういうことはインテルの内蔵GPUで動作する薄型ノートPC/Ultrabookではちょくちょくあることでもある。3D描画時はCPUとGPU両方に負荷がかかり、Turbo Boost 2.0でその負荷を検知して自動でCPU/GPUの動作クロックを調整する。その利き具合のちょっとしたタイミングの違いでこういう逆転現象が起きるものと想定される。いずれにしても、性能自体は前モデル比で体感できるほどには向上していない。これは想定内である。
BBench 1.01で計測したバッテリー駆動時間は、最上位の高解像度モデルが約4時間53分、タッチパネルモデルは約7時間40分だった。前述したが、より軽量を推進した高解像度モデルとタッチモデルは、バッテリー容量が約1.5倍違うこと、そしてCPUとディスプレイ解像度の差を考慮すると、この差はほぼ妥当といえるだろうか。ただ、今回の評価機は発売前の量産試作機につき、Bluetoothが認識エラーで正常に動作しない状態だった個体ことをお断りしておく。適切なドライバで適切な動作をしていればもう少し長く持つ可能性はある。ちなみに、2012年秋モデルのLaVie Z(LZ750/JS)をテストした際の駆動時間は、Bluetoothオンで約4時間48分だった。
動作音は、非常に静粛だ。アイドル時や低負荷時は耳を近づけなければ分からないほどなので、普段使いでファンの風切り音を意識することはほとんどないだろう。高負荷時もあまり音は大きくならない。発熱は、ボディ底面の排気口付近でやや高めの発熱があるが、手が触れるパームレスト部分までは伝わってこない。
新LaVie Zは今回、2系統に進化した。1つは従来モデルの超軽量志向を継承し、先代機の875グラムから795グラムへ、実に80グラムの軽量化を果たした。もう1つは軽量設計のアドバンテージを生かし、トレンドのタッチパネル+より長時間動作のニーズを担う大容量バッテリーを搭載した構成である。いずれも期待を裏切らない仕上がりといえるだろう。
そして、どちらのモデルもディスプレイはかなりの人のニーズをカバーできる実力だ。IPSのフルHDパネルはもちろん、IGZOにしても2560×1440ドットの超高解像度となれば、これまでのものよりそれなりに電力を消費するはず。ディスプレイを露骨に軽視すればもっと軽くできたかもしれないし、あるいはもっとバッテリー駆動時間を長くできたかもしれないが、筆者は本機が採用したこの方向性は諸手を挙げて歓迎したい。
なぜなら、長い間モバイルPCはディスプレイの解像度や表示品質は比較的軽視されたまま進化してきた経緯がある。これまでの状況を考えると製品戦略上、それは間違ったことではないかもしれないが、もともとは妥協から始まったものだったはずだ。ただ、もう状況は変わった。Haswellプラットフォーム、IGZOディスプレイといった素晴らしい技術が登場し、ディスプレイを犠牲にしなくとも実用性の高いモバイルPCを作れる条件がそろってきた中で、軽量志向の最先端を行くLaVie Zがこのような方向性を指し示したことは大変喜ばしいと思う。
発売時の実売価格は、最上位となるIGZO搭載の高解像度モデル(LZ750/NS)が18万5000円前後、タッチパネルモデル(LZ650/NSB・S)が17万5000円前後、そしてIGZO搭載のCore i5+128GバイトSSD搭載モデル(LZ550/NS)が16万円前後となる。いずれもOSは64ビット版Windows 8.1とOffice Home and Business 2013がプリインストールされる。
なお、NECの直販サイト「NEC Firect」では、スペックの変更やOfficeのエディション/有無とする構成などを選択できるカスタマイズモデル「LaVie G タイプZ」も用意している。条件によっては店頭モデルより低い価格で入手することが可能なので、より自分好みのLaVie Zを──という人はこちらも合わせてチェックしてみてほしい。
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