新世代の高速モバイル通信サービスと「ノーリミット」の関係ルータープリンスの「5分で知る最近のモバイル通信&ルータ事情」(2/2 ページ)

» 2013年10月25日 11時00分 公開
[島田純,ITmedia]
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ソフトバンクモバイルが「Pocket WiFi 301HW」を発表 下り最大110Mbps対応で小型サイズ

photo 最大110MbpsのAXGPサービス、EMOBILE LTEサービス、3Gサービス(ULTRA SPEED)と複数のサービスを横断して使えるハイブリッド型ルータ「Pocket WiFi 301HW」

 ソフトバンクモバイルが2013年冬〜2014年春モデルの商品発表会を実施し、データ通信関連機ではタッチ操作できるハイブリッド型ポータブルWi-Fiルータ「Pocket WiFi 301HW」が発表された。2013年12月以降発売予定としている。

 Pocket WiFi 301HWの対応ネットワークはAXGP(Softbank 4G)とFDD-LTE(EMOBILE LTE)、3G(ULTRA SPEED)で、既存モデル「Pocket WiFi 203Z」と同様。203Zが備えていた「モバイルバッテリー機能」を非対応とし、203Z比で小型・軽量化された点が異なる。

 バッテリー容量は203Zの3.7ボルト/5000mAhから、3.7ボルト/2400mAhと半分以下だが、連続通信時間のカタログ値は約10時間となる。昨今のポータブルルータとしては決して「長時間」とは言えないが、それでも十分実用的な範囲をカバーしているといえる。

 この301HWを発表会で操作してみたが、OSはAndroidをベースにしたものであるとのこと。ただ、OSがAndroidベースだからといって各種アプリケーションのインストールなどが可能になっているわけではもちろんなく、端末の開発/検証コストを低減などを目的にしたものと推測される。ちなみに冒頭で紹介したWiMAX 2+用ファーストルータ「Wi-Fi WALKER WiMAX2+」も、OSはAndroidベースのものを実装している。

ドコモが1.7GHz帯(Band 3)利用の下り最大150Mbpsのサービスを開始、2013年内に山手線全域で対応へ

photo 9月20日より大都市圏より最大150Mbpsに高速化していく。対応速度ごとに色分けしたエリアマップも10月11日に公開された

 NTTドコモがネットワークに関する記者説明会を実施し、1.7GHz帯(Band 3)を使った下り最大150Mbps対応サービスの展開について、

  • 2013年内にJR山手線内全域で150Mbps対応
  • 2013年度末に対応基地局を500局に増加
  • 2014年度末に対応基地局を2000局に増加

 とするスケジュールを発表した。

 これによると、下り最大150Mbps対応のLTEサービスはまずは大都市圏の東名阪エリアを中心に展開していく予定。Xiは、東名阪エリア以外の全国の都市で1.5GHz帯を利用した下り最大112.5Mbps対応サービスが拡大しているが、東名阪エリアは利用可能な周波数の都合で、下り最大112.5Mbps対応サービスは提供されていなかった。より高速なサービスを待っていた東名阪エリアのXiユーザーには待望の施策と思われる。

 ただ、下り最大150Mbps対応エリア内においても、ドコモネットワークで使うiPhone 5s/5cでは機器の仕様上、通信速度は下り最大100Mbpsに制限されるので少し残念だ。なお、エリアマップは通信速度ごとに色分けして掲示する予定であることもユーザーとしては喜ばしい。自宅や会社までの通勤路や、普段通信を利用するエリアがどの通信速度に対応しているのか、エリアマップで確認することが可能となる。

 2013年後半になって「下り最大150Mbpsサービス」など、各通信事業者がより高速なサービスを開始する一方で、ユーザーとしては、速くなるのは分かったが「では、どこで使えるのか」「自分の行動圏内が対応しているのか」が分かりにくかった。NTTドコモが公開するエリアマップを皮切りに、他キャリアも含めて「速度が見える化」がよりはっきりしていくであろうことに期待したい。

コラム:MVNOの「セルスタンバイ問題」とは──“SMS対応”が意味すること

photo IIJのSMS対応SIMカードサービス「IIJmio高速モバイル/D」

 NTTドコモのMVNOとして低価格志向のSIMカードデータ通信サービスを提供するインターネットイニシアティブ(IIJ)は、提供中の「IIJmio高速モバイル/D」サービスに、SMSを利用できるSIMカードの提供を10月7日に開始した。

 データ通信専用サービスでSMSに対応する意義は、SMSでのメッセージのやりとりができるようになる以外に、実はスマートフォンなどで発生する「セルスタンバイ問題」が解決する──という部分の効果が大きい。

 セルスタンバイ問題とは、MVNOが提供するデータ通信サービスをAndroidスマートフォンなどで使用する際、Androidの「セルスタンバイ」というプロセスの消費電力が激しくなり、結果としてバッテリーの減りが早くなってしまう問題のこと。低価格志向のSIMカードサービスがじわじわ浸透しつつある中、MVNOのデータ通信サービス/SIMカードサービスを利用するユーザーにとってユーザーレベルでは解決が難しい課題だった。

 セルスタンバイ問題が悩ましいのは、見た目上は問題なく動作しているスマートフォンであっても……ということだ。MVNOのデータ通信サービスしか利用したことがない場合、そもそも問題が発生していることに気付かず、機器の仕様ととしてバッテリーが早く減るという思い込みをしてしまうケースもあるかもしれない。

 IIJの例を挙げると、SMSオプションは147円/月と低価格で提供されている。MVNOのデータ通信サービスをより快適に利用したい人は、「SMSオプション」が単なるSMSサービスが利用できるだけではない、別のメリットがあることを念頭に置いておこう。

 ちなみに、ポータブルWi-Fiルータでは端末の仕様上「セルスタンバイ問題」は発生しない。MVNOのSIMカードサービスをWi-Fiルータのみでサービスを利用する場合はこちらに関する心配は不要である。


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