海外プリペイドSIM導入マニュアル──「ポーランド・ワルシャワ 2013年」編「割安で意外と高速」な海外定額データ通信(2/2 ページ)

» 2013年10月31日 16時00分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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Plusの店舗に入店、英語が通じないが……。量販店なら簡単かも

 今回はワルシャワ中央駅の売店を回ってプリペイドSIMカードを買おうと思ったが、PlusのLTE USBモデムとのセット品がなかったため、駅そばのPlusの店舗で購入することにした。受付の番号札を端末から取って待つおなじみのスタイルだが、説明はポーランド語のみ。筆者はポーランドは理解できないが、適当な札を取ってみることにした。多数あるカウンターはどこも客で埋まっており、15分ほどでようやく自分の番号が呼ばれた。

photophoto 駅前のPlusの大型店舗。店内にはプリペイドのLTE製品が陳列されている

 ところがカウンターで対応してくれた女性スタッフは英語がまったく話せないという。ポーランド語と身振り手振りのジェスチャーで「残念だが、何もできない」と言っているのは理解できた。店内のショーケースにLTEのUSBモデムが展示されていたので「これをくれ」とこちらも身振りで伝えたのだが「ダメ、ダメ」とのことだが、そばにいた男性スタッフが「私の来客対応が終わったら手伝うよ」と英語で話しかけてくれたので助かった。

 あくまで今回の滞在時における筆者の感想だが、おおむねスタッフの対応は男性のほうが親切だった印象。また、ワルシャワ中央駅の売店であれば国際列車も到着することからか英語のできる店員は多いと思われる。ともあれその男性スタッフのおかげで、ようやくLTEのUSBモデムが購入できた。プリペイドSIMカードの購入に身分証明書は不要だが、モデムの保証書のために名前と滞在するホテル名を確認された。

 さてキャリアショップでは一時意思疎通が図れずひと苦労したが、駅のそばのショッピングビルにドイツ系の家電量販店Saturnが入ってるのを事前に調べておいた。このような量販店なら会話不要でおそらくSIMカードも購入できるのである。建物内のエスカレーターを上がり、見慣れたロゴの店内に入ると、携帯コーナーには各社のプリペイドSIMカードが並べて売られている。ここではユーザー登録も身分証明書確認も不要なので、好みのものを選びレジに持っていけばよい。このショッピングビルにはPlay、Orange、T-Mobileの店舗も入っていた。

photophoto 中央駅横のショッピングビルにはSaturnやキャリア店舗が入っている。ドイツなどでも多く展開する量販店Saturnの店舗
photophoto 携帯コーナーにはプリペイドSIMカードが多数売られている。USBモデムとプリペイドSIMセットもあるが、これらは3G用だ

使い方は簡単、管理はオンライン登録が便利

PlusのLTE対応プリペイドSIMカードのAPN設定
APN internet または plus
ユーザー名 (なし)
パスワード (なし)

 Plusで購入したZTE製のLTE USBモデム「MF821」とプリペイドSIMカードのセットは349ズウォティ(日本円換算約1万1270円 2013年10月末現在、以下同)だった。プリペイドSIMカード単体の場合は通信量300Mバイトまで使えるものがわずか9ズウォティ(約290円)、同1Gバイト用も15ズウォティ(約480円)である。ポーランドはデータ通信料金も安い。USBモデムは他事業者や日本で販売されているものと同様に、SIMカードをモデムにセットしてノートPCに装着すればドライバのインストールが自動的に始まるもの。ソフトウェアの表示言語は英語も選べるので安心だ。APNの設定は以下の通り。

 PCといえば最新バージョンのWindows 8.1が公開されたばかりだが、海外で買うUSBモデムはWindows 8にすら対応していない製品がまだ多いので注意してほしい。今回購入した製品も対応はWindows 7までであった。Windows 8以降のPCではあえてUSBモデムではなくWi-Fi接続環境(ルータやスマホのテザリング機能)を利用する方が安心だと思う。

 ところでPlusのLTEプリペイドSIMカードはパッケージに「LTE」の表示がある。対して、はっきりとLTEと書かれていないものは3G接続対応となるのでこちらも注意してほしい。


photophoto PlusのプリペイドLTE製品のカタログ。ポーランド語のみだがなんとなく理解できる。LTEのプリペイドSIMはパッケージ左上に「LTE」と明記
photophoto USBモデムの接続ソフト。英語表示モードもあるので使い方は難しくはないが、Windows 8以降には対応していない。市内で通信速度を測定。平均20Mbps程度で、エリアによっては50Mbpsも記録するほど高速だった

 データ通信量の利用状況を確認したければ、オンラインでユーザー登録を行っておくとよい。PlusのWebサイトはポーランド語表示のみだが、オンライン翻訳サイトなどを活用しながら進んでいってほしい。ユーザー登録は以下の手順で行う。

photophoto PlusのWebサイト(http://www.plus.pl/)へアクセス。画面右上の緑色の「zaloguj sie」→画面中央「Plus online」と進む
photophoto SIM台紙の電話番号とPIN文字列を入れて「Zalogj」でOKだ。SMSで確認番号が送られてくる
photophoto 切り替わった画面に送られてきた確認番号を入力し「Zalogj」。管理画面が表示され、データ量の残りや有効期限などを確認できる

多い金額を入れたほうがお得なデータ通信量

 容量1Gバイト分のプリペイドSIMの有効期限は14日だ。残高を追加すれば利用データ量と有効期限を増やせるが、こちらは残高としてチャージする金額が多いほどお得になる料金体系となっている。追加料金と追加されるデータ量/有効期限は以下の通りだ。

チャージ額 プラン
10ズウォティ(約320円) 7.05Mバイト/7日有効
20ズウォティ(約640円) 745.5Mバイト/14日有効
30ズウォティ(約970円) 1.15Gバイト/30日有効
50ズウォティ(約1615円) 4.1Gバイト/60日有効
75ズウォティ(約2420円) 6.4Gバイト/90日有効
100ズウォティ(約3230円) 12.15Gバイト/120日有効

 追加したプランは合算となるのではなく、入れた順番に消費されていく仕組み。例えば現在の残りが300Mバイト分で明日有効期限が切れるとする。ここに30ズウォティをチャージすると、残り300Mバイト分の有効期限は明日のまま、追加した1.15Gバイト分はチャージ日から30日間有効となる。年に何度かポーランドでプリペイドSIMカードを使いたいと思っている人はこの独特な有効期限の計算方法は注意しておこう。

photophoto トラムや地下鉄、鉄道駅にある自動券売機。各通信事業者のバウチャーを購入できる

 チャージは、通信事業者の店舗、売店、または街中の切符自動販売機「epay」と書かれた端末からバウチャー(iTunesカードのような、残高追加カード)を購入して行う。売店の場合は、英語が通じなくともプリペイドSIMカードの台紙を見せながら希望する金額のズウォティ紙幣を渡せば店員のほうで理解してくれる感じだった。

 チャージ方法は、スマートフォンであれば「*123*[バウチャー番号]#」発信とするだけ。USBモデムではインストールした接続ソフトから行う。「Plus Internet Pre-paid」→「top-up the account with a scratch card」、表示されたダイアログボックスにバウチャーの番号を入れればよい(今回はなぜかLTE接続だとうまくいかず、3Gモードに手動で切り替えた後で作業したら大丈夫だった)。

 ちなみに、PlusのWebサイトにてクレジットカード決済もできるようだが、日本発行のクレジットカードは使えなかった。なお、Wi-Fiルータを使う場合は残高追加のためのSMSコマンドを発信できないので、別途SIMロックフリー携帯電話やスマートフォンを用意し、それにSIMカードを入れ替え発信作業を行う必要がある。

photophoto 今回使用したUSBモデムの場合は、なぜか3Gモードに切り替えないとプリペイドメニューが出てこなかった。赤線が最初の有効期限とデータ残高。後から10ズウォティ入れた分が青線部分。追加分が合算されるわけではないので注意

 物価が安く、プリペイドSIMカードも買いやすく、意外と速度も出る──それがワルシャワのプリペイドLTE通信事情の印象だ。残高追加は少し面倒なので、購入時に1Gバイトのデータプリペイド製品を複数枚買ってしまうのもいいだろう。次回渡航時には、USBモデムだけではなくLTEルータとのセット品も登場していればいいなと思う、また訪れたい街である。


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山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。




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