さて、ADS-1500Wの目玉といえるのが、EvernoteやDropBoxといったクラウドストレージとの接続機能である。紙の資料をスキャンしてデジタル化したデータを、タブレットの内蔵メモリやメモリーカードに保存するのではなく、クラウドストレージに直接保存(アップロード)できてしまうのだ。
一度設定を済ませておけば、PCやタブレットとスキャナを有線・無線で接続することなく、紙の資料をスキャン→デジタル化してEvernoteやDropBoxにぶっこめるのでずいぶんと作業が楽になる。これは「コピー機を操作する」感覚に近く、シンプルで分かりやすい。
スキャナに原稿をセットしつつ、タブレットの画面を見て、操作ボタンをタッチするだけだから操作も簡単。ADS-1500W単体でスキャンすると、このシンプルさにすごく納得させられるのだ。
それでは、初回の設定から実行までの流れを見ていこう。アップロード先として選択できるのは複数あるが、書類の取り回しやすさという観点ではGoogle ドライブ、SkyDrive、Dropbox、Evernote、Boxの5つの中から選ぶことになるだろう。ちなみに、Flickr、Picasa、Facebookにも対応しているので、写真をアップロードする用途にも便利に使える。
今回は、無料で7Gバイトまで使えるSkyDriveへのアップロードを試してみた。まずはスキャンからアップロードまで。最初に原稿をセット。ADS-1500Wでは、原稿の表面を奥側、天地を逆向きにセットするのが正規の位置だ。ここを間違うと、クラウド経由で後から見直したとき「上下逆さまだった」「最後のページがPDFでは1枚目になっている」という事態になるので注意したい。よく紙をさばき、原稿台にちょっと押しつけるようにしておくと、斜め読み込みの心配も減る。
タッチパネルでは「クラウド」から、先ほど登録しておいたアカウントを呼び出す。この時、「お気に入り」機能を使えば、少ない画面タッチで目的のアカウントを呼び出せるので活用しよう。
保存形式(PDF/JPEG/Word/Excel/PowerPoint)は、スキャンのたびに選べる。PDFを選んだ場合はさらに、カラー/モノクロ設定、解像度、原稿サイズ、両面スキャンの設定を選べる。そして、OKを押せば、スキャンがスタートする。読み取りが終了すると、即座にアップロードが始まる。実際にはSkyDrive内に「From_BrotherDevice」というフォルダが自動作成され、その中にデータファイルがどんどん貯まっていく。ファイルネームは時刻に応じたものが自動で付与されるようだ。
このスキャン方法のいいところは、タブレット側のバッテリー状態を気にせず、スキャナ本体の操作だけで紙の書類の山を一気にスキャンできるところだ。
取り込んだ後のプレビュー機能がないため、万一スキャンに失敗したとしても、その場で気がつかないところは気になるが、前述したように原稿のセットさえ間違えなければ失敗は起こりにくい。
一度クラウドストレージにアップロードしてしまえば、あとの使い方は自由。各クラウドサービスがリリースしている公式アプリから目的のファイルを選び、Adobe Readerで開いたり、メールアプリ経由で送信するなど、いろいろな使い方ができる。
なお、クラウド接続機能で作成したPDF内の記述を、全文検索することはできない。一方、保存形式をWord/Excel/PowerPointの3種類にした場合は「スキャン to Office文書」の機能が有効化され、原稿内のテキスト文をOCR処理し、テキスト化(=キーワード検索可能)してくれるが、精度はさすがに完ぺきではなく目視での確認が必須となる。
まず、設定を行うには、ブラザーが開設する設定専用サイトにアクセスする。タブレットやPCのブラウザで表示してみよう。
言語の選択などを済ませると、次は、利用したいクラウドサービスの選択。ここでSkyDriveを選ぼう。利用規約への同意後、ここでSkyDrive用のMicrosoftアカウントによる認証を行う。すると画面には「仮登録ID」なる11けたの数字が表示される。
この仮登録IDを、今度はADS-1500W本体の設定画面に入力する。ここでタッチパネルが役立つわけだ。「クラウド」→「サービスを選択」に続いて、目的のクラウドサービスを選ぶ。今回はSkyDriveだ。画面の注意を読み進め、「アカウント登録」を選び、そこで仮登録IDを入力する。これでOKだ。
小さなタッチパネルでIDや大文字・小文字まじりのパスワードを入力するのは面倒だが、ここでは数値を入力するだけで済む。よく考えられていて、とても簡単だ。もちろん、この作業は初回の一度だけでいい。また、SkyDrive以外のクラウドサービスでも、仮登録IDをウェブで発行し、ADS-1500Wに登録するという流れは同じだ。
複数人が設定を登録しておけるよう、アカウントの複数登録や見分けるための名称の追加にも対応する。4けたのPINコードによる利用制限も可能だ。
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