「iPad Air」は「iPad mini Retina」より高画質は本当か?――測色器で徹底チェック新旧モデルの横並び比較も(3/3 ページ)

» 2013年11月28日 11時15分 公開
[前橋豪,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

さまざまな画像サンプルで表示傾向の違いをチェック

 計測結果を踏まえ、実際にiPad AirとiPad mini Retinaで同じ画像を表示し、発色の傾向をチェックした。いずれも輝度は約120カンデラ/平方メートルに固定している。

 これらの画像は、sRGBを表示できる環境で実物に近い発色が得られるよう微調整して現像したが、ディスプレイやソフトウェアによって見え方が大きく変わることもあり、色再現性が正確とはいい難い。表示傾向を把握しやすくするための参考画像で、評価は写真の解説文を確認していただきたい。

ホーム画面の表示:左がiPad Air、右がiPad mini Retina。iPad mini Retinaは青系の色域が広いため、背景画像の見え方はそう変わらないが、FaceTimeアイコンの緑やiTunes Storeアイコンの紫が違って見える
カラーグラデーションの表示:リニアに変化するカラーグラデーションの表示に乱れはなく、どちらも美しい。色域が広いiPad Airでは、カラーバーを高彩度に表示できた
モノクログラデーションの表示:白から黒までリニアに変化するモノクログラデーションの表示はどちらも整っている。モノクロ表示では色域の違いによる影響はなく、iPad AirもiPad mini Retinaも見た目は変わらない
写真サンプル1(レッド系):画面のほとんどを高彩度の赤が占めるサンプル。iPad Airはやはり赤の彩度が高い。iPad mini Retinaは果実がオレンジっぽく、少々色あせた赤になった
写真サンプル2(グリーン系):鮮やかな緑の葉を撮影したサンプル。iPad Airはみずみずしい黄緑が好印象だ。iPad mini Retinaは彩度が下がり、全体に落ち着いた雰囲気となった
写真サンプル3(ブルー系):空と海の青が目立つサンプル。iPad Airは微妙なトーンの青空と、エメラルドグリーンの海をうまく再現できている。iPad mini Retinaは青空に深みがなく、少し緑がかぶっているように見える
白表示:輝度を約120カンデラ/平方メートルに固定して、全画面に白を表示した。高輝度の設定ではまぶしくて気づかないが、輝度を下げて単色を表示すると輝度/色度ムラが判別しやすくなる。画面を90度右回りに回転した状態で、iPad Airは右上の一部が明るく、iPad mini Retinaは周辺の輝度が少し落ちているのが分かる。とはいえ、写真ではムラが強調されており、目視では画面をじっくり見て確認できる程度だ

 このように、iPad AirはsRGBに近い色再現が可能で、特に高彩度の色でiPad mini Retinaに差をつけている。ただし、iPad mini Retinaも階調再現性とカラーバランスは整っており、1台だけで見た場合は自然な発色で問題ない。

利用シーンに応じて使い分けたい2サイズのiPad

 以上の結果から、画面サイズと発色で勝るiPad Airは、色鮮やかな写真や雑誌、図鑑、映画などのコンテンツをじっくり味わうのにうってつけだ。手で持って使う場合も、従来より薄型軽量化したボディが疲労感を軽減してくれるので、コンテンツに集中しやすい。ビジネスシーンでは画面を見せる相手に、インパクトを与えられるだろう。

 一方、片手で持てるiPad mini Retinaの小型軽量ボディは、やはり高い携帯性が最大の魅力。iPad Airも10型クラスのタブレットとしては非常に薄くて軽いものの、本体サイズの違いは、ほかの荷物と一緒に持ち運ぶ際に大きく影響してくる。iPad mini Retinaのサイズならば、なんとか携帯できるといったシーンも少なくないはずだ。

 色再現性は初代iPad miniとほとんど変わらないが、Retinaディスプレイの採用により、電子書籍や写真を高精細に表示できるようになったのはうれしい。いつでもどこでも持ち運んで、さまざまなコンテンツを高精細に表示できるようになり、パフォーマンスも向上しているのだから、モバイルシーンでの快適さはグッと向上している。

 理想的なのは、状況に応じてサイズの違う2台のiPadを使い分けることかもしれないが、どちらか1台しか選べないという場合は、カタログスペックに現れない発色の違いも頭の片隅にとどめておいていただきたい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー