ボディデザインは先代のQH55/Jからはガラッと変わり、同社の10.1型Androidタブレット「ARROWS Tab Wi-Fi FAR70B」と雰囲気が似た、丸みのある柔らかいイメージとなった。ボディカラーはホワイトの1色だ。QH55/Jのカラーはブラックが基調で、側面に鮮やかなブルーのアクセントが入った、どちらかといえば男性的な外観だったが、より幅広いユーザーを意識しての変更と思われる。
従来同様のMADE IN JAPANモデルということで、ボディはしっかり丁寧に作られている。ツルツルとした手触りの背面は金属的な質感こそ味わえないが、明るい光沢ホワイトで、細かいテクスチャパターン(切子細工の柄)が光の反射で現れる凝った仕上げだ。透明感あるホワイトの液晶フレーム、ヘアライン加工した明るいシルバーの側面と合わせて、全体をエレガントな雰囲気にまとめている。
本体サイズは267(幅)×180.8(高さ)×9.9(厚さ)ミリ、重量は約650グラムだ。実測値では635グラムと、公称値より少し軽かった。背面は上下の端に向かって少し絞っている一方、左右の端はフラットに近い。横位置で持った際には左右を絞っている製品に比べて若干厚みを感じる。
約1年前に登場し、Windows 8タブレットとしては画期的な薄型軽量を誇った先代のQH55/J(264.4×169.4×9.9ミリ/約574グラム)に比べて、縦方向に少し長くなり、重くなっている。縦方向に伸びたのは、画面のアスペクト比が従来の16:9から16:10に変わったためだ。
1年くらい前の感覚であれば、10型クラスとしてごく普通のサイズという印象だが、最近の水準からいえば、やや大きめで重いほうだ。薄型軽量を追求した先代機から、少し性格が変わったことがうかがえる。小型軽量のWindowsタブレットということでは、8型モデルが複数出てきている。10型クラスの大きな画面を生かすことを考えて、性能・機能重視に振った方向性は理解できるところだ。
最大の特徴は、10.1型ワイドで解像度が2560×1600ドット(WQXGA)、画素密度が約299ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)という非常に高精細な液晶ディスプレイだ。
Androidタブレットではいくつか例があるが、10型クラスのWindowsタブレットの大半は1366×768ドット、あるいは1920×1080ドット(フルHD)であり、異例の超高解像度といえる。先代の1366×768ドットと比べて約3.9倍、フルHD比でも約1.98倍の高解像度だ
IPSを改良したIPSα液晶パネルを採用しているのも興味深い。標準的なIPS以上の広視野角に加えて、高コントラスト、高開口率、高応答速度を実現しており、パナソニックの4Kテレビなどに採用例がある。
その精細感の違いは、Windows 8.1のホーム画面やデスクトップを見ただけでもすぐに分かるだろう。
dpiの初期設定は200%の拡大表示になっており、デスクトップ画面の見え方としては、1280×800ドットに96dpi(小-100%)の標準サイズで表示するのと同じ一覧性だが、高解像度のアイコン(一部非対応アプリもある)やテキストが使われるため、精細さと美しさは大きく勝る。
高解像度の写真や動画のコンテンツはさらにインパクトが大きく、段違いの臨場感に魅了される。明るさは標準的だが、視野角、鮮やかさ、いずれも高い水準だ。色味は黄色がわずかに強い印象だった。
またアスペクト比が16:10の液晶パネルを採用しているため、Windowsタブレットで一般的な16:9パネルと比較して、縦位置で使っても左右が狭すぎず、使い勝手も良好だ。
さらに、マルチタッチ対応の静電容量式タッチパネルを搭載するうえ、電磁誘導式のデジタイザに対応しており、本体に収納できるワコム製の筆圧対応スタイラスペンが標準で付属する点も見逃せない。
標準の192dpi(特大-200%)設定でもデスクトップアプリの操作ではタッチしにくい細かいメニューが出てくることがあるが、そういう場合も本体からペンをスッと取り出して操作できるので、実に使いやすい。
スタイラスペンは1024段階の筆圧検知に対応。ペンの追従性は不満がないレベルで、Atomだから描画が遅くて困る、といったことはない。適度な抵抗感もあって、書き味はかなり良好だ。ペンが細くて短く、質感がよくないのは惜しいが、本体に収納でき、しかも防滴仕様なので納得もいくだろう。
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