ここまで、PCごと入れ替えるメリットについて説明してきたが、では具体的にどのようなPCを選ぶべきかを見ていこう。昨今はノートPCにおいても、BTO(Build to Order)で自由に構成を変えられるメニューが増加しつつある。個人用だけでなく、企業ユースでも同様の傾向だ。
しかし、企業ユースでまとまった台数のPCを導入するにあたり、各社員に自由に構成を選択させるのはナンセンスだ。現実的なやり方としては、社内で使われているPCを用途別に2パターンないしは3パターン程度に分け、それぞれのグレードに合ったリファレンスモデルを管理者の側で用意し、そのいずれかを選ばせることになるだろう。
例えば、一般事務用に最低限の機能を備えた「梅」と、管理職向けにやや上位のスペックを備えた「竹」、特にマシンパワーを必要とする業務に従事する社員に向けた「松」の3パターンを用意する。「梅」「竹」はコスト重視のモデルであり、必要に応じて光学ドライブなども省くことで、社外へのデータ漏えいのリスクも低減できて一石二鳥という算段だ。
「松」は、処理速度が業務スピードに直結するハイエンド機という位置付けで、個別のBTOについても認めるが、全体から見るとあくまでも例外的な扱いとし、台数そのものは絞り込む。場合によってはノートPCではなくデスクトップPCを選択することも視野に入れたほうが、ディスプレイなど周辺機器を選択する際の自由度も高まる。
こうすれば、購入台数の大部分を占める「梅」「竹」の費用はほぼ確定するので、予算を調整しやすくなり、また機種を絞り込むことで、導入後の管理コストも削減できる。
最近は法人に対してもポイントを付与するショップが多いので、購入時期をうまく調整すれば、「梅」「竹」を購入した際に付与されたポイントを、残りの「松」を購入する際に充当することも可能になる。単価が高いPCをまとめて購入する機会は多くはないだけに、こうした仕組みが利用可能であれば、うまく活用したいものだ。
PCを一括購入する場合、メーカーは統一するのが理想だ。同じメーカーの製品にそろえることでロット不良や納期遅れといったリスクが皆無というわけではないが、ソフトウェアの動作検証の工数が削減できることに加えて、サポート窓口が統一されることで管理が容易になるなど、メリットのほうが大きい。
一括購入によってボリュームディスカウントが適用される可能性もあり、前述のようにメーカーによってはポイントが付与される。配送などの諸条件についても同様だ。
またメーカーによっては、USBメモリへの書き込み禁止などの出荷時設定や、指定したソフトウェアのプリインストール、IEのダウングレード、ネットワークの個別設定、管理ラベルの貼り付けや台帳の作成といった作業を代行する「キッティング」メニューを用意している。こうしたサービスは、基本的に導入するPCのメーカーが同じであることが前提なので、利用できるメニューがないか、あらかじめ確認しておくとよいだろう。
また、サポート期間の延長やサポート範囲の拡充(災害や破損などによる故障にも対応)、故障時の修理対応(訪問、引き取り、こちらから直送)、HDDのデータ復旧など、購入後の各種サービスが充実しているメーカーも多く、一括購入ではこれらも加味して選びたい。
このほか、不要になったPCの引取を依頼する際も、メーカーの窓口を絞っておけば、回収にまつわる手間が削減できる。SOHOや中小企業ではSIer(システムインテグレーター)を利用しないケースも多いと思われるが、メーカーの直販サイトから直接購入する場合は、こうしたサービスを受けるための条件もチェックしておいたほうがよいだろう。
次回はこうした点を踏まえて、具体的にどのような製品を選べばよいか、各メーカーのラインアップを見ながら、条件に当てはまる製品をチェックしていこう。
(第4回に続く)
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