2013年の自作パーツを振り返る今年はどんなPCを組んだ?(2/3 ページ)

» 2013年12月28日 20時43分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

GPU編:昨年のハイエンドクラスに相当するGPUがグッとお買い得な価格帯に

GeForce GTX TITAN

 2013年のGPUは、「成熟期」だったと言えるだろう。GeForce GTXには、TITAN780系のGK110コア、RadeonにはR9 290シリーズのHawaiiコアという2つの新コアが登場しているが、どちらもアーキテクチャや製造プロセスは2012年モデルがベースだ。

 おさらいしておくと、GeForce GTX TITANや780系GPUの場合はKeplerアーキテクチャ、Radeon R9 290シリーズはGCNアーキテクチャで、製造プロセスは28ナノメートルプロセスのままである。これら2つの新コアはいわば隠し球で、その仕込みに関しては2012年時点で終わっていたも同然だ。フレッシュ感は薄い。

 とはいえ、インパクトは大きかった。GeForce GTX TITANは、まずパフォーマンスとともに発熱や消費電力を抑えた点も特徴に掲げ、筆者のもとにはMicro ATX用ケースに収められた評価機が届いた。

 加えて、TITANにのみ許されているのがGPGPU向けオプションの有効化だ。GTX 780 Ti/GTX 780といった同じGK110コア製品が登場している今でも、GPGPU分野においては、ワークステーション用カードよりも低コストなGPGPUカードという点から、TITAN人気が続いているとのこと。そしてGTX 780 Tiに関しては、これ以上はないだろうと読んでいたTITAN超えの超弩級スペックで登場した。

 2月にTITANが、5月にGTX 780が登場するなか、年末に登場したRadeon R9 290X/290は、フタを開けてみるとGTX 780に匹敵するパフォーマンスを備えた製品だった。アーキテクチャはGCNのままだが、巨大コアを採用し、シェーダー数やレンダーバックエンドを強化したことに加え、512ビットという広いメモリバス幅もスペック面でインパクトがあった。

 また、あわせて発表されたGCN向けの新API「Mantle」により、ゲームパフォーマンスがさらに向上するとAMDはアピールしている。Mantleの年内の検証は間に合わなかったが、新世代の家庭用ゲーム機にも採用されているGCNアーキテクチャだけに、動向には要注目だ。

 そして新コアという点ではRadeon R7 260Xもある。R9 290X/290も同様だが、今回のRadeon新コアは、GPUにオーディオ機能「TrueAudio」を統合したのが特徴でもある。これまでも、GPUに対し非グラフィックス機能として、デコーダーやエンコーダーが搭載されてきたが、これにオーディオ機能が加わったことになる。

 それ以外の製品に関しては、従来のコアを用いつつ部分的に強化した製品が登場している。GeForce GTX 770はGTX 680がベース、Radeon R9 280XはHD 7970がベースといった具合だ。ただし、上のクラスが登場したことにより、旧ハイエンドGPUベースの製品が、1セグメント下がり、かなり魅力的な価格になってきているのはユーザーにとってうれしいポイントだろう。

NVIDIAとAMDのハイエンドGPU「GeForce GTX 780 Ti」(写真=左)と「Radeon R9 290X」(写真=右)

 GeForce GTX 680やRadeon HD 7970と言えば、当初は6〜7万円したものだが、年末時点でGTX 770もR9 280Xも3万円台から入手できる。年末に登場した最新FPSを最高画質で楽しむとなるとやはりハイエンドGPU狙いになるが、少し画質を落としたり、あるいは2013年前半のゲームタイトルを楽しむのが目的であれば、これら旧ハイエンド、現アッパーミドルGPUが強い味方になるだろう。

 ほか、興味深い動向としては、NVIDIAのGeForce ExperienceとAMDのGaming Evolvedというゲームプレイ時の設定支援ツールが挙げられる。これらはドライバ導入時に、同時に、あるいは後から追加できるツールで、共通の機能として、ゲームタイトル毎の画質設定をツールが自動的に判断し適用できる。

 近年、統合GPUが高性能化し、ローエンドGPU市場がほとんどこれに食われてしまっているが、このような状況下、GPUニーズを拡大するためにはPCゲーム自体を盛り上げなければいけない。そこで、両社、特にNVIDIAが動いた。

 NVIDIAの調査によると、PCゲームでユーザーが最初につまづく「画質設定」が挙げられるとのこと。これらのツールでは、GeForce Experienceが自社ラボで、Gaming EvolvedはSNSを通じて、ゲームタイトル毎に、使用中のGPU性能において最もよい画質設定を自動的に適用できるため、PCゲームという、一般層には難しそうな印象をもたれがちなハードルを若干引き下げられるというわけだ。

 AMDはCPU製造も手がけているためNVIDIAほどの影響はないとはいえ、ライバルの動きに追従したという状況だ。ただ、AMDの場合は外部メーカーが開発したツール「Raptr」をベースとしており、ドライバ導入時にあまり気にせずインストールしてしまった場合、「何これ?」という状況に陥りやすい。

 なお、Windows 8.1にあわせ、DirectX 11.2もリリースされたが、ゲームに関してはまだあまり影響なさそうだ。一方、Radeon RシリーズおよびKeplerベースのGeForce GTXに関しては、DirectX 11.2に対応しているとされる。

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