2013年のアキバを振り返る(前編)古田雄介のアキバPickUp!(2/3 ページ)

» 2013年12月31日 13時43分 公開
[古田雄介ITmedia]

熱い展開のグラフィックスカード:盤石の「GeForce 700シリーズ」、Radeonの存在感を一気に高めた「R9 290X」

 パーツごとに1年を振り返ったとき、ライバルメーカー対決が最も盛り上がったのはグラフィックスカードといえる。年初は2011年から続く「GeForce GTX 680」や「GTX 660」などの人気から、「事実上、ミドルレンジの上位からハイエンドまでGeForce一択です」(某ショップ)といわれる状況で、Radeon勢が店頭で存在感を示せたのは「HD 7700」や「HD 7750」などのミドルレンジ下位にとどまっていた。

 その後も新GPUはコンスタントに登場するが、全体的な構図は動かない。まずは2月末にNVIDIAから、GeForceのシングルGPU最上位として「GTX TITAN」搭載カードがデビュー。12万円弱から14万円弱という高価なカードながら、発売直後から売り切れが続出するほどの反響があった。

 続いて3月末には、「2万円前後でミドルレンジのど真ん中を突く本命」(ドスパラ パーツ館)と評された「GTX 650 Ti Boost」が加わる。これに対抗するように、AMDも4月上旬に1万円台後半で買えるミドルレンジ「Radeon HD 7790」を、5月上旬に2GPU構成の「(AMD正式版)HD 7990」を投入した。当初の価格は13万円から16万円。どちらも好評だったが、ブランドとして「GeForceと拮抗する」といった評価はまだ店頭から聞こえてこなかった。

3月初旬に登場したMSIのGeForce GTX TITANカード「NTITAN-6GD5」(写真=左)。3月末のドスパラ パーツ館のグラフィックスカード売り場。PalitのGTX 650 Ti Boost搭載グラフィックスカード「NE5X65BS1049-1060F」が入荷している(写真=中央)。Club 3DのRadeon HD 7790搭載グラフィックスカード「CGAX-779213」(写真=右)

 そして優位な状況からさらに上乗せするように、NVIDIAが次世代ファミリー「GeForce 700」シリーズに属するGPUを解禁。5月後半にハイエンドの「GTX 780」を、6月上旬に1つ下の「GTX 770」を、6月下旬にもう1つ下位となる「GTX 760」を市場に投入した。登場時のカード価格は順に9万円弱と5〜6万円、3万円前後だった。

 GTX 780の販売解禁時はドスパラ パーツ館が深夜販売を決行するなど盛り上げたが、初回から熱を上げるユーザーはGTX TITANよりも少なかった印象だ。当時、「ハイエンド志向の人はGTX TITANを買ったばかりですからね。まあ、様子見の空気になるのかなと思いますよ」(某ショップ)といった声もよく聞いた。

 その空気感も旧世代のGTX 680/670/660 Tiカードとともに切り替わっていき、夏ごろには3GPUでハイエンド定番の牙城ががっちりと固められていた。9月以降はGTX 780のメーカー独自クーラー搭載モデルも続々と登場し、勢いを増していった。

SapphireのRadeon HD 7990カード「HD7990 6G GDDR5」(写真=左)。5月後半のTSUKUMO eX.のグラフィックスカード用ショーケース。各社のGTX 780カードが並べられている(写真=中央)。6月末に登場したInnoVISIONのGTX 760カード「Inno 3D C760-1SDN-E5DSX」。全世代のGTX 660 Tiと併売されていた(写真=右)

 Radeon勢が再び話題を集めるようになったのは10月以降だ。まずは10月初旬に新世代「Radeon R9/R7」ファミリーのハイエンド下位とミドル、ローエンドのGPUを一斉に投入。上位から順に「R9 280X」(3万円台後半〜4万円台前半)と「R9 270X」(2万円台半ば〜2万円台後半)、「R7 260X」(1万円台後半〜2万円前後)、「R7 250」(1万円前後〜1万円台前半)、「R7 240」(1万円前後)となる。

 すべてのラインアップでWindows 8.1で採用されるDirectX 11.2をサポートするなどの新規性があったが、当初は「まったく新しいアーキテクチャではないので、現行世代のマイナーチェンジやリネームといった印象がぬぐえないところがありますね。徐々に受け入れられていくと思いますが……」(BUY MORE秋葉原本店)と、しばらくヒットのウワサは聞かれなかった。

 その状況が一変したのは11月だ。R9 280Xの上位となる「R9 290X」が登場し、7万円前後の価格で即座に大ヒットを飛ばした。6万円弱で同時に出回った下位の「R9 290」もまずまずの売れ行きを記録し、「Radeonがここまで売れたのは本当に久しぶり」(ソフマップ秋葉原リユース総合館)と盛り返しをみせる。

 R9 290X/290は最初に出回った下位GPUとは異なり新型コア「Hawaii」を採用していること、PCゲームで人気がある「バトルフィールド4」のベンチマークでGTX 780を超える好成績を残したことなどが要因のようだ。その後は、上位の人気にけん引されるようにR9 280X以下の売れ行きも順調という声を聞くようになった。

 ただし、NVIDIAも負けていない。R9 290Xの発売とほぼ同時期に、現行の通常ラインアップ最上位として「GeForce GTX 780 Ti」を投入。こちらも期待どおりのヒットを飛ばしている。BUY MORE秋葉原本店は「R9 290Xの対抗馬として付け焼き刃的に追加されたGPUとの見方もありましたが、ベンチマーク結果でそういったマイナスイメージを見事に吹き飛ばしました」と評価する。

 2013年末の時点で、グラフィックスカードはハイエンドからミドルレンジまで、どちらか一方が圧倒的に勝っているといったコメントは聞かない。

10月のBUY MORE秋葉原本店に並んだPowerColorのRadeon R9/R7搭載グラフィックスカード(写真=左)。バトルフィールド4をバンドルしたSapphireのRadeon R9 290Xカード「21226-00-50G」(写真=中央)。ASUSTeKのGeForce GTX 780 Ti搭載カード「GTX780TI-3GD5」(写真=右)

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