本体サイズは、約285(幅)×198(奥行き)×16.5〜19(高さ)ミリだ。
軽量ボディを誇る11.6型モバイルノートPC「VAIO Pro 11」のタッチパネル搭載モデル(幅285×奥行き197×高さ11.8〜17.2ミリ)とフットプリントはほぼ同じで、液晶回転ギミックのぶんだけ少し厚みがある。ワイヤレスキーボードを装着した状態の11.6型タブレット「VAIO Tap 11」(幅304.6×奥行き188×高さ14.15ミリ)よりは厚いが、フットプリントは近い。
一方、同シリーズの13.3型モデルであるVAIO Fit 13A(幅325.4×奥行き223.4×高さ14.3〜17.9ミリ)と比べると、ボディはかなり小さく、画面サイズの違いからイメージする以上にコンパクトだ。シリーズ中で突出したコンパクトな2in1ボディは、モバイルシーンにおいてアドバンテージになる。
ただし、重量は公称値で約1.28キロと案外軽くない。実測では1.21キロと公称値を下回っていたが、液晶回転ギミックを備えた天板は肉厚で見た目にも少し重厚感があり、持った際にイメージ通りの重さを感じる。VAIO Pro 11のタッチパネル搭載モデルが約870グラム、VAIO Tap 11のキーボード装着時が約1.15キロ、VAIO Fit 13Aでも約1.31キロなので、もう少し軽くしてほしかったが、それでもモバイルPCとして十分に許容範囲の重さではある。
内蔵バッテリーの容量は、CPUID HWMonitorの表示で約24.5ワットアワー(公称23ワットアワー)だった。公称の駆動時間は約8時間としている。VAIO Fit 13Aのバッテリー駆動時間は約12時間(容量約36.2ワットアワー)で、最近のVAIOモバイルノートPCとしては短いほうだ(実際のテスト結果は後述)。
VAIO Fit Aシリーズに共通する大きな特徴が、ソニー独自のマルチフリップヒンジを用いた画面回転機構だ。これは、天面の中央部を横切るラインを軸として、液晶ディスプレイが180度回転して裏返るというもの。天面が半分折れ曲がって画面が回転するのが面白い。
この機構によって、なじみ深いクラムシェルノートPCと同じスタイルの「キーボードモード」から、画面を反転させて「ビューモード」へ、さらに画面を倒して畳めば「タブレットモード」へと、3つのスタイルに変化し、利用シーンや用途に応じて使い分けることができる。
側面のボタン類はどのモードでも隠れることなく、すべて使えるほか、画面の反転を検知し、ビューモードでは左右側面にあるステレオスピーカーの出力が左右逆になるなど、細かい部分まで配慮されている。
基本となるキーボードモードは、従来型のクラムシェルノートPCと完全に同じ見た目だ。冒頭で述べた通り、マルチフリップヒンジを採用した背景には「従来のクラムシェルノートPCの機能と使い勝手を100%確保すること」への強いこだわりがあり、2in1だからといってノートPCとしての使い勝手が劣る部分はない。
設置時の安定感があり、11型クラスとしては十分なキーピッチとキーストロークを備えたキーボードや、広めのタッチパッドを利用できる。インタフェース類もこのサイズのモバイルPCとしては充実した仕様だ。
ビューモードでは、タブレットを立てかけて使うときに近いスタイルになる。キーボードが背後に隠れ、目の前に画面が来るため、開放感があって、キーボードモードと印象はまったく異なる。プレゼンテーションなどで画面を相手に見せたい場合や、机上でタッチ操作によりWebブラウズを楽しみたい場合、動画や音楽のコンテンツをじっくり味わいたい場合に使いたい。
タブレットモードは、タッチ操作やペン(256段階の筆圧対応)での手書き入力をじっくり行いたい場合、縦位置表示でWebサイトや書類、写真を閲覧したい場合に有効だ。画面サイズが11.6型ワイドとシリーズ最小なので、文字通りタブレットとして片手で持ちやすくなっている。
ベースボディがくさび型のため、液晶ディスプレイのヒンジ側に重心が偏っており、ヒンジ側を握ることで体感的な重量の負担も軽減される。それでもやはり重みは感じるが、くつろいだ姿勢で胸から腹の位置辺りに置いて操作する、いわゆる「寝モバ」スタイルでの利用や、電車の中などで立って短時間使うことも現実的になっており、活用の幅はこれまで以上に広がった。
さらに、フォトレタッチソフトは最新の「Photoshop Elements 12」をプリインストール(2014年春のアップデートでペン入力の筆圧検知に対応予定)。カメラやペンを活用して情報を整理する独自アプリ群の「VAIO Inspiration Suite」や、検索用デスクトップアプリの「VAIOタッチサーチ」も搭載し、VOMモデルではイラスト作成アプリの「CLIP STUDIO PAINT PRO」や「Office 2013」のエディションを選べるなど、3つのスタイルで快適に使えるようソフトウェア環境も整っている。
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