ボディのサイズは297.7(幅)×176.8(高さ)×15.4(厚さ)ミリで、重量は約835.5グラムだ。タブレット全体としてみると、大きく重いといえる。もっとも、第4世代Coreを搭載したパフォーマンス志向のタブレットとしては軽量な部類だろう。例えば、Surface Pro 2は13.5ミリ厚だが、約907グラムある。Venue Pro 11の実測での重量は834グラムと、ほぼ公称値と同じだった。
実際に手で持った印象も数字なりだ。一般的な10型クラスのタブレットと比べて重く感じるので、手で握ったまま長い時間使うということはあまり考えられない。一方、一般的なクラムシェルノートPCよりは軽くてカジュアルに扱える。画面が明るく、表示も十分精細なので、ビジネス資料の閲覧やプレゼンテーション、コンテンツ鑑賞なども快適だ。
冒頭で述べた通り、Venue 11 Proには第4世代Core i3/i5搭載モデルのほか、Atom Z3770搭載モデルが用意されている。Atom Z3770搭載モデルは本体の厚みが10.2ミリと薄型で、重量も約771.5グラムと軽く、放熱設計も異なる。
同じモデルとして扱うこと自体に違和感がなくもないが、ボディデザインや純正アクセサリの共通化により、同じ使い勝手を実現している点に注目したい。コストダウンや選択できるスペックの幅が広がる効果もあり、企業導入にも都合がよいだろう。
今回試用したCore i3/i5搭載モデルは、第4世代Coreの中でも最も消費電力の低い「Y」シリーズを採用する。その主なスペックは下表にまとめた。スペック上はUltrabookでの採用例が多い「U」シリーズとあまり変わらないように見えるが、SDP(Scenario Design Power:利用シナリオに即した電力設計)というタブレットでの利用シーンを想定した電力指標が導入されており、一般的なTDP(Thermal Design Power:熱設計電力)の11.5ワットに対して、SDPは6ワットとかなり低い。
主なタブレット/Ultrabook向けCPUのスペック比較 | ||||
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CPU | Core i5-4300Y | Core i5-4210Y | Core i5-4200U | Atom Z3770 |
コア/スレッド数 | 2コア/4スレッド | 2コア/4スレッド | 2コア/4スレッド | 4コア/4スレッド |
CPU基本クロック | 1.6GHz | 1.5GHz | 1.6GHz | 1.46GHz |
CPU最大クロック | 2.3GHz | 1.9GHz | 2.6GHz | 2.39GHz |
3次キャッシュ容量 | 3Mバイト | 3Mバイト | 3Mバイト | 2Mバイト |
チップセット | CPUに内蔵 | CPUに内蔵 | CPUに内蔵 | CPUに内蔵 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 4200 | Intel HD Graphics 4200 | Intel HD Graphics 4400 | Intel HD Graphics |
GPU実行ユニット数 | 20基 | 20基 | 20基 | 4基 |
GPUクロック | 200〜850MHz | 200〜850MHz | 200〜1000MHz | 331〜667MHz |
TDP | 11.5ワット | 11.5ワット | 15ワット | − |
SDP | 6ワット | 6ワット | − | 2ワット |
TDPとSDPの両方が設定されているのは、Yシリーズが2in1デバイスへの導入を想定したCPUだからだ。PCとしての利用シーンがTDP、タブレットの利用シーンがSDPと考えてもよいだろう。タブレット向けのCPUと明確に位置付けられている「Atom Z3000」シリーズの電力指標はSDPベースのみ公開されている。
タブレットであれば、最低限この6ワットを前提に熱設計をすればよいが、この6ワットはあくまでもWebブラウズや動画再生など、タブレットとしての利用シーンを想定した指標だ。PCとしてスペック額面通りのパフォーマンスを発揮するには、TDP 11.5ワットに対応する熱設計が必要で、それに満たない場合はそれが性能に反映される。
要するに、Yシリーズを搭載したタブレットの実際の(特に高負荷用途での)処理性能は、メーカーがボディの熱設計や電力管理設定の基準をどこに置いているかによって大きく異なる。CPUのスペックだけでは判断しづらい部分があるので注意したい。特にノートPCの代用として考えている場合は注意が必要だ。
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