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「Venue 11 Pro」――Core i5搭載でSurface Pro 2より安いWindowsタブレットを試す注目タブレット速攻レビュー(2/3 ページ)

» 2014年02月05日 14時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

サイズ感チェック:パフォーマンス志向で設計されたボディ

 ボディのサイズは297.7(幅)×176.8(高さ)×15.4(厚さ)ミリで、重量は約835.5グラムだ。タブレット全体としてみると、大きく重いといえる。もっとも、第4世代Coreを搭載したパフォーマンス志向のタブレットとしては軽量な部類だろう。例えば、Surface Pro 2は13.5ミリ厚だが、約907グラムある。Venue Pro 11の実測での重量は834グラムと、ほぼ公称値と同じだった。

 実際に手で持った印象も数字なりだ。一般的な10型クラスのタブレットと比べて重く感じるので、手で握ったまま長い時間使うということはあまり考えられない。一方、一般的なクラムシェルノートPCよりは軽くてカジュアルに扱える。画面が明るく、表示も十分精細なので、ビジネス資料の閲覧やプレゼンテーション、コンテンツ鑑賞なども快適だ。

第4世代Coreと冷却ファン、10.8型フルHD液晶、内蔵パーツへアクセスできる仕様などの影響もあり、本体は15.4ミリ厚、約835.5グラムとなる。電車の中で立ったまま、手で持って使うといった利用も短時間に限られるだろう(写真=左)。多くのWindowsタブレットと同様にアスペクト比16:9の画面なので、縦位置にするとかなり縦長になる(写真=右)

注目ポイント:Atom Z3770からCore i5 Yシリーズまで選べるCPU

 冒頭で述べた通り、Venue 11 Proには第4世代Core i3/i5搭載モデルのほか、Atom Z3770搭載モデルが用意されている。Atom Z3770搭載モデルは本体の厚みが10.2ミリと薄型で、重量も約771.5グラムと軽く、放熱設計も異なる。

 同じモデルとして扱うこと自体に違和感がなくもないが、ボディデザインや純正アクセサリの共通化により、同じ使い勝手を実現している点に注目したい。コストダウンや選択できるスペックの幅が広がる効果もあり、企業導入にも都合がよいだろう。

 今回試用したCore i3/i5搭載モデルは、第4世代Coreの中でも最も消費電力の低い「Y」シリーズを採用する。その主なスペックは下表にまとめた。スペック上はUltrabookでの採用例が多い「U」シリーズとあまり変わらないように見えるが、SDP(Scenario Design Power:利用シナリオに即した電力設計)というタブレットでの利用シーンを想定した電力指標が導入されており、一般的なTDP(Thermal Design Power:熱設計電力)の11.5ワットに対して、SDPは6ワットとかなり低い。

主なタブレット/Ultrabook向けCPUのスペック比較
CPU Core i5-4300Y Core i5-4210Y Core i5-4200U Atom Z3770
コア/スレッド数 2コア/4スレッド 2コア/4スレッド 2コア/4スレッド 4コア/4スレッド
CPU基本クロック 1.6GHz 1.5GHz 1.6GHz 1.46GHz
CPU最大クロック 2.3GHz 1.9GHz 2.6GHz 2.39GHz
3次キャッシュ容量 3Mバイト 3Mバイト 3Mバイト 2Mバイト
チップセット CPUに内蔵 CPUに内蔵 CPUに内蔵 CPUに内蔵
グラフィックス Intel HD Graphics 4200 Intel HD Graphics 4200 Intel HD Graphics 4400 Intel HD Graphics
GPU実行ユニット数 20基 20基 20基 4基
GPUクロック 200〜850MHz 200〜850MHz 200〜1000MHz 331〜667MHz
TDP 11.5ワット 11.5ワット 15ワット
SDP 6ワット 6ワット 2ワット

 TDPとSDPの両方が設定されているのは、Yシリーズが2in1デバイスへの導入を想定したCPUだからだ。PCとしての利用シーンがTDP、タブレットの利用シーンがSDPと考えてもよいだろう。タブレット向けのCPUと明確に位置付けられている「Atom Z3000」シリーズの電力指標はSDPベースのみ公開されている。

 タブレットであれば、最低限この6ワットを前提に熱設計をすればよいが、この6ワットはあくまでもWebブラウズや動画再生など、タブレットとしての利用シーンを想定した指標だ。PCとしてスペック額面通りのパフォーマンスを発揮するには、TDP 11.5ワットに対応する熱設計が必要で、それに満たない場合はそれが性能に反映される。

 要するに、Yシリーズを搭載したタブレットの実際の(特に高負荷用途での)処理性能は、メーカーがボディの熱設計や電力管理設定の基準をどこに置いているかによって大きく異なる。CPUのスペックだけでは判断しづらい部分があるので注意したい。特にノートPCの代用として考えている場合は注意が必要だ。

CPU-Zの情報表示画面。評価機はCore i5-4300Y(1.6GHz/最大2.3GHz)を搭載していた(画像=左/中央)。TDP 11.5ワット、SDP 6ワットのデュアルコアCPUで4スレッドの同時実行が可能だ。vProにも対応する。グラフィックス機能は、CPU内蔵のIntel HD Graphics 4200(DirectX 11.1対応、実行ユニットは20基)だ。メモリ容量は4Gバイトでデュアルチャンネルアクセスに対応する(画像=右)

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