さて、どの契約でも共通しているのは、前述したとおり一定の通信容量を超えると速度が制限されるというもの。つまり、上限に達してしまうと、定められた時間が経つまでは低速な通信で利用しなければならなくなるというものである。
実測で数十Mbpsで通信できるのが当たり前になっている昨今、数百Kbpsの下の方、または数十Kbpsで通信しなくてはいけないというのはなかなかに厳しいものがある。数年前のモバイルデータ通信はそれが普通だったというのに、慣れというものは恐ろしいものである。
前置きはさておき、速度制限がかかった状態での通信速度はどの程度になるのか。こちらも実際に計測してみた。ここでは、OCN モバイル ONEと、IIJmio高速モバイル/DのSIMでテストをしている。この2つを選択した理由は、OCN モバイル ONEの980円コースでは1日30Mバイトで速度制限がかかる仕様であること、またIIJmio高速モバイル/Dでは、「みおぽん」というアプリで高速通信か低速通信かを自身で選択できる仕様であること。つまり、これらのSIMは、他社のサービスよりも速度制限がかかった状態での通信を行う頻度が高いと考えたからだ。
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | ping(ミリ秒) | |
---|---|---|---|
1回目 | 0.36 | 0.43 | 60 |
2回目 | 0.36 | 0.38 | 58 |
3回目 | 0.36 | 0.45 | 51 |
4回目 | 0.37 | 0.41 | 60 |
5回目 | 0.41 | 0.42 | 50 |
平均 | 0.37 | 0.42 | 55.8 |
下り(Mbps) | 上り(Mbps) | ping(ミリ秒) | |
---|---|---|---|
1回目 | 0.32 | 0.07 | 43 |
2回目 | 0.14 | 0.08 | 34 |
3回目 | 0.33 | 0.06 | 58 |
4回目 | 0.37 | 0.14 | 42 |
5回目 | 0.45 | 0.22 | 42 |
平均 | 0.32 | 0.11 | 43.8 |
今回の速度テストでも性格の違いを確認することができた。
まず、各社のWebサイト上では、速度制限時の通信速度は上り下りともに200Kbps(0.2Mbps)であると表記されている。しかし、実際にはIIJmioは約0.37Mbps(370Kbps)OCNモバイルONEは約0.32Mbps(320Kbps)となった。双方ともWeb上の表記より少し速い速度で通信できるようである。
さらに、上り速度では両者に差が出た。約0.42Mbpsの速度を出したIIJmioに対して、OCNモバイルONEは約0.11Mbpsであった。これは、能動的に低速通信と高速通信を切り替えて利用できるIIJmioと、1日の高速通信容量を利用し終わるとペナルティ的に日付が変わるまで低速通信に制限されるOCNモバイルONEでの性格の違いかと思われる。
ただ1つ言えることは、どちらにしてもメールや動画、大量の画像を伴わないSNSの閲覧程度であれば、やや時間がかかるものの問題なく利用できそうだという点である。
今回、各社の格安SIMを実際に試してみて分かったのは、実際の通信速度は理論上の速度とは違うこと。これは普段から実際にデータ通信を利用している読者のみなさんなら良く分かっていることだと思うが、そうでない読者もいるかもしれないのであえて書いておく。また格安SIMは安かろう、悪かろうではなく、性格付けはあるものの制限の容量までは快適に利用することができそうだということも分かった。
下りの通信速度がキャリア契約のデータ通信と比べて約8割程度に抑えられているものの、上りが快適なIIJとBIGLOBE。1日に利用できる容量こそ多くないものの、キャリア契約とほぼ同等か、それ以上に快適な通信が行えるOCN。この性格の違いは、用途に合わせてSIMを選ぶ必要性があることを示唆している。
また、制限のかかった状態についても少しながら分かったことがある。それは、利用方法を考えることである程度快適性が確立できそうだということだ。
格安SIMは、オールマイティではない。値段が安いということは、それなりの制限もあるということ。だがその制限と上手に付き合うことで、手頃な格安SIMを節約に役立てられる。格安SIMの導入を検討している方の参考になれば幸いだ。
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