前述の通り、これまで見てきたテスト結果は、Windows 8.1の電源プランを「バランス」に、「VAIOの設定」における「CPUとファンの動作モード」を「標準」にして実施した値だ。ただし、最近のUltrabook/2in1は、ボディの熱設計やこうした電源設定の違いによって性能が変化することも少なくない。
今回は高速なCPUを搭載しているVOMモデルに限り、電源プラン、CPUとファンの動作モードを変えて計測してみた。テストを行ったのは、CINEBENCH R15、PCMark 7、PCMark 8の3つだが、こうした電源プランや動作モードを変えてもほとんど差のない結果だった。
PCMark 8 2.0.191(Home Accelerated 3.0)のスコア詳細 | |||
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製品名 | VAIO Fit 11A VOMモデル (SVF11N1A1J) | ||
電源プラン | バランス | バランス | 高パフォーマンス |
CPUとファンの動作モード | 標準 | パフォーマンス優先 | パフォーマンス優先 |
Home Accelerated 3.0 Score | 1377 | 1375 | 1399 |
Web Browsing - JunglePin(秒) | 0.539 | 0.541 | 0.524 |
Web Browsing - Amazonia(秒) | 0.194 | 0.194 | 0.188 |
Writing(秒) | 8.74 | 8.77 | 8.79 |
Photo Editing v2(秒) | 1.57 | 1.571 | 1.524 |
Video Chat v2 / Video Chat playback 1 v2(fps) | 30 | 30 | 30 |
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2(ミリ秒) | 219 | 219.3 | 222 |
Casual Gaming(fps) | 8.9 | 8.9 | 9 |
Benchmark duration | 53分42秒 | 53分47秒 | 53分22秒 |
Webブラウズとテキスト入力を想定したバッテリー駆動時間のテスト(BBench 1.01)も行った。
電源プランを「バランス」(ディスプレイの輝度40%)、CPUとファンの動作モードを「標準」にしてテストしたところ、バッテリー満充電から残り5分で休止状態に入るまで、店頭モデルは4時間56分、VOMモデルでちょうど5時間動作した。ほとんど変わらない結果だ。
動作時の騒音やボディの発熱についても、店頭モデルとVOMでほとんど変わらない。わずかに店頭モデルのほうが表面温度が低い程度だ。
低負荷時はほぼ無音で、高負荷時でも3DMarkを数回実行した程度ではファンが回っていると認識できるくらいの音しかしない。発熱は底面の中央付近に熱を帯びる程度で、手がよく触れるキーボードやパームレストまでは伝わってこない。
今回のテストから判明した、Bay Trail-Mを搭載するVAIO Fit 11Aのパフォーマンスについてまとめよう。CINEBENCH R15、PCMark 7、3DMark/Cloud Gateの3つのスコアから、VAIO Fit 13Aのスコアを100とした場合の相対値を算出して下表に記した。
VAIO Fit 13AはCore i5-4200Uを搭載し、Ultrabook/2in1として標準的なスペックを備えた製品だけに、VAIO Fit 11Aのパフォーマンスがどの程度なのか、そして搭載しているCeleron N2920、Pentium N3520の差がどれくらいあるのかを把握しやすいだろう。
PCMark 7は日常用途、CINEBENCHは高負荷/クリエイティブ用途、3DMarkは3Dゲーム用途をイメージしていただきたい。
VAIO Fit 13Aのスコアを「100」とした場合の相対的な性能 | ||||
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製品名 | VAIO Fit 11A 店頭モデル (SVF11N19EJS) | VAIO Fit 11A VOMモデル (SVF11N1A1J) | VAIO Tap 11 店頭モデル (SVT11218DJB) | VAIO Fit 13A 店頭モデル (SVF13N19DJS) |
CINEBENCH R15/CPU | 59 | 72 | 64 | 100 |
PCMark 7 | 64 | 74 | 82 | 100 |
3DMark/Cloud Gate | 39 | 42 | 65 | 100 |
この表からすぐ分かるのは、3D描画性能の差だ。Haswellと同じ構造のグラフィックスコア(Intel HD Graphics)を搭載しているとはいえ、実行ユニット数が4基では、20基のCore i5-4200U(Intel HD Graphics 4400)と大きな差があっても仕方がない。カジュアルなブラウザゲーム程度ならば問題ないだろうが、基本的にゲーム用途には向かない。
また、日常用途での健闘は想定内だが、高負荷/クリエイティブ用途でもそれほど差がない点は意外だ。CINEBENCHの項目で述べたように、Silvermontアーキテクチャのマルチコア効率のよさは相当なものがある。
バッテリー駆動時間のテスト結果から、バッテリーの効率についても考えてみた。下表は、実測での駆動時間をバッテリー容量で割り、1ワットアワーあたりの駆動時間を算出した値をまとめたものだ。
VAIO Fit 13Aのスコアを「100」とした場合の相対的なバッテリー効率 | ||||
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製品名 | VAIO Fit 11A 店頭モデル (SVF11N19EJS) | VAIO Fit 11A VOMモデル (SVF11N1A1J) | VAIO Tap 11 店頭モデル (SVT11218DJB) | VAIO Fit 13A 店頭モデル (SVF13N19DJS) |
バッテリー容量(ワットアワー) | 24.5 | 24.5 | 30.45 | 36.23 |
実測時間(残量5%まで) | 4時間56分 | 5時間 | 5時間50分 | 6時間58分 |
1ワットアワーあたりの駆動時間 | 12.08 | 12.24 | 11.49 | 11.54 |
あくまで評価機での測定結果を基にした相対値であり、画面サイズやストレージ、OSのバージョンも異なるため、参考程度に見ていただきたいが、Bay Trail-M搭載システムがHaswell搭載システムよりわずかによい程度で、あまり変わらない結果となった。
パフォーマンス、バッテリー効率ともCeleron N2920よりPentium N3520のほうがよい結果を得られたため、VAIO Fit 11Aのコンパクトな2in1ボディを生かしつつ、少しでも高性能が欲しいという方には、ソニーストアで購入できるVOMモデルのハイスペック構成をおすすめしたい。
以上、今回はパフォーマンス面を深く掘り下げた。次回はこれまで触れられなかったVAIO独自のアプリや使い勝手をじっくりチェックする。
・→【次回記事】VAIO Fit 11Aをもっと知りたい(使い勝手編):「VAIO Fit 11A」のペン入力、画質、音質をじっくりチェックする
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