まず、CINEBENCHでCPUの性能を見ていこう。マルチスレッドで処理するCPUのスコアは、キーボード付きの2in1であるXPS 11に若干劣るものの、薄型軽量ボディを追求したVAIO Tap 11には勝る。CINEBENCH R11.5のCPUスコアは、電源プラン「Dell」のほうが「バランス」より約10%高かった。このような差がつくのは、やはりボディの熱設計および電力管理ルールの違いだろう。
Venue 11 Proの評価機は、Lite-On IT製「LJT-128L6G-11 M.2 2260」というM.2フォームファクタのSerial ATA SSDを内蔵していた。CrystalDiskMarkの結果を見ると、XPS 11が搭載するSamsung「PM841」ほど高速ではないが、悪くない性能のSSDといえる。これも電源プランによって差が出ており、特にリードで「Dell」のほうが高速な結果となった。複数回計測しても同じ傾向を示すので、電源プランの影響と思われる。
FuturemarkのPCMarkは、実際のアプリケーションを使ってPCの用途全般をシミュレートするベンチマークテストで、総合スコア(PCMarks)はPCの総合的な性能のおおまかな目安になる。
PCMark 7の総合スコアは、XPS 11より約4.4%低いが、VAIO Tap 11よりは約5%高い。電源プランの違いは顕著に出ており、「バランス」にすると約16%もスコアが低下する。スコアの内訳を見ると、ストレージも含めてどの項目もまんべんなく低い。
PCMark 7の後継となる最新バージョンのPCMark 8は、2014年1月下旬に大幅にアップデートされ、Open CL対応となった。ここでは家庭向けアプリケーションを利用した「Home(Home Accelerated 3.0)」のスコアを掲載する。
PCMark 8については、XPS 11とVAIO Tap 11のデータがないため、「VAIO Fit 11A(直販モデル)」のスコア(バージョンは2.0.191)を参考までに掲載しておく。VAIO Fit 11Aの直販ハイスペックモデル(Pentium N3520搭載)よりスコアが約27.8%よいのだから、上々のパフォーマンスといえる。電源プラン「Dell」と「バランス」の差はあまり大きくないが、どの項目でも「Dell」のほうが少し速く、やはり影響は感じられる。
PCMark 8 2.0.191(Home Accelerated 3.0)のスコア詳細 | ||||
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製品名 | Venue 11 Pro | Venue 11 Pro | VAIO Fit 11A 店頭モデル(SVF11N19EJS) | VAIO Fit 11A 直販モデル(SVF11N1A1J) |
電源プラン | Dell | バランス | バランス | バランス |
Home Accelerated 3.0 Score | 1762 | 1706 | 1216 | 1377 |
Web Browsing - JunglePin(秒) | 0.391 | 0.404 | 0.595 | 0.539 |
Web Browsing - Amazonia(秒) | 0.151 | 0.158 | 0.207 | 0.194 |
Writing(秒) | 6.28 | 6.55 | 11.08 | 8.74 |
Photo Editing v2(秒) | 1.216 | 1.254 | 1.856 | 1.57 |
Video Chat v2 / Video Chat playback 1 v2(fps) | 29.5 | 28 | 30 | 30 |
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2(ミリ秒) | 238 | 237.3 | 262 | 219 |
Casual Gaming(fps) | 12.8 | 12.6 | 8.1 | 8.9 |
Benchmark duration | 45分6秒 | 45分39秒 | 59分37秒 | 53分42秒 |
Futuremarkの3DMarkは、3D描画性能のテストだ。Ice Stormはモバイル機器(スマートフォン、タブレット)向けで、Androidシステムなどとの比較の目安になる。FireStrikeはゲーミングPC(外部GPU搭載システム)向けの負荷の大きいテストだ。ノートPCにおけるCPU内蔵グラフィックス性能の目安としては、メインストリームPC(CPU内蔵GPUシステム)向けとされているCloud Gateが最も参考になるだろう。
電源プラン「Dell」のCloud Gateスコアは、XPS 11より約11%低く、VAIO Tap 11(当時の3DMarkバージョンは1.1.0)より約11%高い、ちょうど中間のスコアとなった。スコアの内訳を見ると、XPS 11とはPhysics(主にCPUコア性能の影響が高い)では差がなく、Graphicsで差がついている。電源プラン「バランス」では少しスコアが低くなるが、これもPhysicsでは差がなく、Graphicsスコアによるものだ。
ゲームタイトルの描画性能テストとして、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編も実施した。標準品質(ノートPC)のスコアは、XPS 11およびVAIO Tap 11とほとんど変わらず、このテストだけは電源プランによる違いもなかった。また、高品質(ノートPC)のスコアはXPS 11よりも高かった。
液晶ディスプレイの表示も計測したところ、色温度は約6600Kと、業界標準のsRGB(6500K)に近い自然な白色だった。最大輝度は300カンデラ/平方メートル弱と十分明るい。ガンマ補正カーブは、中間階調から明部にかけてやや乱れており、上向きに補正された(つまり映像入力に対して、少し暗めに表示される傾向にある)。ただし、sRGBをほとんどカバーする色域とIPSパネルの広視野角もあり、見た目の発色は良好といえる。
※Windows 8.1の電源プランは「Dell」もしくは「バランス」に設定
※液晶ディスプレイは1時間以上オンにし、表示を安定させた状態で中央付近を測定
※電源プラン「バランス」+輝度40%固定+無線LAN接続+Bluetoothオン。BBench 1.01(海人氏・作)にて「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 11を指定し、タブブラウズはオフ。満充電の状態からバッテリー残量が残量5%で自動的に休止状態へ移行するまでの時間を計測
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