「Venue 11 Pro」――Core i5搭載でSurface Pro 2より安いWindowsタブレットを試す(ベンチマークテスト編)注目タブレット速攻レビュー(2/3 ページ)

» 2014年03月07日 16時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

実力テスト(1):第4世代Core Y搭載タブレットとして高い性能を発揮

CPU、ストレージ性能のテスト

 まず、CINEBENCHでCPUの性能を見ていこう。マルチスレッドで処理するCPUのスコアは、キーボード付きの2in1であるXPS 11に若干劣るものの、薄型軽量ボディを追求したVAIO Tap 11には勝る。CINEBENCH R11.5のCPUスコアは、電源プラン「Dell」のほうが「バランス」より約10%高かった。このような差がつくのは、やはりボディの熱設計および電力管理ルールの違いだろう。

 Venue 11 Proの評価機は、Lite-On IT製「LJT-128L6G-11 M.2 2260」というM.2フォームファクタのSerial ATA SSDを内蔵していた。CrystalDiskMarkの結果を見ると、XPS 11が搭載するSamsung「PM841」ほど高速ではないが、悪くない性能のSSDといえる。これも電源プランによって差が出ており、特にリードで「Dell」のほうが高速な結果となった。複数回計測しても同じ傾向を示すので、電源プランの影響と思われる。

CINEBENCH R11.5(グラフ=左)、CINEBENCH R15(グラフ=中央)、CrystalDiskMark 3.0.3(グラフ=右)のスコア

総合性能のテスト

 FuturemarkのPCMarkは、実際のアプリケーションを使ってPCの用途全般をシミュレートするベンチマークテストで、総合スコア(PCMarks)はPCの総合的な性能のおおまかな目安になる。

 PCMark 7の総合スコアは、XPS 11より約4.4%低いが、VAIO Tap 11よりは約5%高い。電源プランの違いは顕著に出ており、「バランス」にすると約16%もスコアが低下する。スコアの内訳を見ると、ストレージも含めてどの項目もまんべんなく低い。

 PCMark 7の後継となる最新バージョンのPCMark 8は、2014年1月下旬に大幅にアップデートされ、Open CL対応となった。ここでは家庭向けアプリケーションを利用した「Home(Home Accelerated 3.0)」のスコアを掲載する。

 PCMark 8については、XPS 11とVAIO Tap 11のデータがないため、「VAIO Fit 11A(直販モデル)」のスコア(バージョンは2.0.191)を参考までに掲載しておく。VAIO Fit 11Aの直販ハイスペックモデル(Pentium N3520搭載)よりスコアが約27.8%よいのだから、上々のパフォーマンスといえる。電源プラン「Dell」と「バランス」の差はあまり大きくないが、どの項目でも「Dell」のほうが少し速く、やはり影響は感じられる。

PCMark7 1.4.0(グラフ=左)、PCMark 8 2.0.204(グラフ=右)のスコア
PCMark 8 2.0.191(Home Accelerated 3.0)のスコア詳細
製品名 Venue 11 Pro Venue 11 Pro VAIO Fit 11A 店頭モデル(SVF11N19EJS) VAIO Fit 11A 直販モデル(SVF11N1A1J)
電源プラン Dell バランス バランス バランス
Home Accelerated 3.0 Score 1762 1706 1216 1377
Web Browsing - JunglePin(秒) 0.391 0.404 0.595 0.539
Web Browsing - Amazonia(秒) 0.151 0.158 0.207 0.194
Writing(秒) 6.28 6.55 11.08 8.74
Photo Editing v2(秒) 1.216 1.254 1.856 1.57
Video Chat v2 / Video Chat playback 1 v2(fps) 29.5 28 30 30
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2(ミリ秒) 238 237.3 262 219
Casual Gaming(fps) 12.8 12.6 8.1 8.9
Benchmark duration 45分6秒 45分39秒 59分37秒 53分42秒

3D描画性能のテスト

 Futuremarkの3DMarkは、3D描画性能のテストだ。Ice Stormはモバイル機器(スマートフォン、タブレット)向けで、Androidシステムなどとの比較の目安になる。FireStrikeはゲーミングPC(外部GPU搭載システム)向けの負荷の大きいテストだ。ノートPCにおけるCPU内蔵グラフィックス性能の目安としては、メインストリームPC(CPU内蔵GPUシステム)向けとされているCloud Gateが最も参考になるだろう。

 電源プラン「Dell」のCloud Gateスコアは、XPS 11より約11%低く、VAIO Tap 11(当時の3DMarkバージョンは1.1.0)より約11%高い、ちょうど中間のスコアとなった。スコアの内訳を見ると、XPS 11とはPhysics(主にCPUコア性能の影響が高い)では差がなく、Graphicsで差がついている。電源プラン「バランス」では少しスコアが低くなるが、これもPhysicsでは差がなく、Graphicsスコアによるものだ。

 ゲームタイトルの描画性能テストとして、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編も実施した。標準品質(ノートPC)のスコアは、XPS 11およびVAIO Tap 11とほとんど変わらず、このテストだけは電源プランによる違いもなかった。また、高品質(ノートPC)のスコアはXPS 11よりも高かった。

3DMark 1.2.125(グラフ=左)、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編(グラフ=右)のスコア

液晶ディスプレイの表示品質テスト

 液晶ディスプレイの表示も計測したところ、色温度は約6600Kと、業界標準のsRGB(6500K)に近い自然な白色だった。最大輝度は300カンデラ/平方メートル弱と十分明るい。ガンマ補正カーブは、中間階調から明部にかけてやや乱れており、上向きに補正された(つまり映像入力に対して、少し暗めに表示される傾向にある)。ただし、sRGBをほとんどカバーする色域とIPSパネルの広視野角もあり、見た目の発色は良好といえる。

液晶ディスプレイの計測結果。ガンマ補正カーブを見ると、中間階調から明部にかけてRGBの各線がやや乱れているが、通常の利用で発色が不自然に感じるほどではなかった(画像=左)。色域の広さを見ると、sRGB(下に敷いたグレーの領域)に近い色鮮やかな発色が行えることが分かる(画像=右)

ベンチマークテストの概要(1)

  • パフォーマンステスト
    • CINEBENCH R15(CPU性能評価)
    • CINEBENCH R11.5(CPU性能評価)
    • Crystal Disk Mark 3.0.3(ストレージ性能評価)
    • PCMark 7 1.4.0(PC総合評価)
    • PCMark 8 2.0.204(PC総合評価)
    • 3DMark 1.2.125(3D性能評価)
    • FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編(3D性能評価)

※Windows 8.1の電源プランは「Dell」もしくは「バランス」に設定

  • 液晶ディスプレイ表示品質テスト
    • i1Pro+i1Profilerでディスプレイの表示を実測し、ガンマ補正カーブを抜粋
    • i1Proが生成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示し、色域をsRGB(薄いグレーで重ねた領域)と比較

※液晶ディスプレイは1時間以上オンにし、表示を安定させた状態で中央付近を測定

  • バッテリー駆動時間テスト
    • BBench 1.01

※電源プラン「バランス」+輝度40%固定+無線LAN接続+Bluetoothオン。BBench 1.01(海人氏・作)にて「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 11を指定し、タブブラウズはオフ。満充電の状態からバッテリー残量が残量5%で自動的に休止状態へ移行するまでの時間を計測

  • 騒音テスト
    • 騒音計で実測(本体から手前5センチ、暗騒音32デシベル、室温28度)
  • 発熱テスト
    • 放射温度計でボディ表面温度を実測(室温28度)


デル株式会社 デル株式会社

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