「Venue 11 Pro」――Core i5搭載でSurface Pro 2より安いWindowsタブレットを試す(ベンチマークテスト編)注目タブレット速攻レビュー(3/3 ページ)

» 2014年03月07日 16時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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実力テスト(2):Haswell搭載タブレットで気になる駆動時間や発熱は?

バッテリー駆動時間のテスト

BBench 1.01によるバッテリー駆動時間の計測結果

 Webブラウズとテキスト入力を想定したBBench 1.01によるバッテリー駆動時間の計測についても、電源プラン「Dell」と「バランス」の両方で行なった。液晶ディスプレイの輝度はどちらも40%固定だ。

 テスト結果は電源プランで差が出ており、バッテリー満充電から残量5分で休止状態に入るまでに、「Dell」で6時間10分、「バランス」では6時間45分駆動した。

 テスト条件が異なる公称値の約10時間には及ばないものの、Core i5搭載タブレットとして実用十分な駆動時間だろう。

動作音/発熱テスト

 動作時の騒音も電源プランによってかなり異なる。「Dell」はシステムへの負荷にかなり敏感で、比較的低い負荷でも1〜2秒だがファンを回転させることがあり、高負荷時はかなり大きな音がした。一方、「バランス」では低負荷時はほぼ無音、高負荷時でもかなり抑えられた音だ。

 ボディの発熱については、排気口のある上部を中心に高めの熱を帯びるが、通常の利用スタイルではその部分を持つことはないと思われる。

騒音テスト(グラフ=左)、発熱テスト(グラフ=右)のスコア

ベンチマークテストの概要(2)

  • バッテリー駆動時間テスト
    • BBench 1.01

※電源プラン「Dell」もしくは「バランス」+輝度40%固定+無線LAN接続+Bluetoothオン+NFCオン。BBench 1.01(海人氏・作)にて「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」、WebブラウザはInternet Explorer 11を指定し、タブブラウズはオフ。満充電の状態からバッテリー残量が残量5%で自動的に休止状態へ移行するまでの時間を計測

  • 騒音テスト
    • 騒音計で実測(本体から手前5センチ、暗騒音32デシベル、室温18度)
  • 発熱テスト
    • 放射温度計でボディ表面温度を実測(室温18度)

パフォーマンス志向のタブレットとして魅力的な選択肢

 最後に、CINEBENCH R11.5、PCMark 7、3DMark/Cloud Gateの3つのスコア(電源プラン:Dell)について、「VAIO Fit 13A(2013秋冬/店頭モデル)」のスコアを100とした場合の相対値を算出してみた。VAIO Fit 13AはCore i5-4200U(1.6GHz/最大2.6GHz)を搭載し、主力クラスのUltrabook/2in1として標準的なスペックを持つ製品だけに、Venue 11 Proのパフォーマンスを把握しやすいだろう。

 また、Atom Z3770(1.46GHz/最大2.39GHz)を搭載した富士通の「ARROWS Tab QH55/M」の値も加えている。こちらは防水仕様と高精細液晶が特徴の10.1型Windows 8.1タブレットだ。

VAIO Fit 13Aのスコアを「100」とした場合の相対的な性能
製品名 Venue 11 Pro XPS 11 VAIO Tap 11 店頭モデル(SVT11218DJB) ARROWS Tab QH55/M VAIO Fit 13A 店頭モデル(SVF13N19DJS)
CINEBENCH R11.5/CPU 72 77 64 57 100
PCMark 7 86 90 82 47 100
3DMark/Cloud Gate 72 80 65 33 100

CPUのスペック比較
CPU名 Core i5-4200U Core i5-4210Y Atom Z3770
開発コード名 Haswell Haswell Bay Trail-T
コア/スレッド数 2コア/4スレッド 2コア/4スレッド 4コア/4スレッド
CPU基本クロック 1.6GHz 1.5GHz 1.46GHz
CPU最大クロック 2.6GHz 1.9GHz 2.39GHz
キャッシュ容量 3Mバイト(3次) 3Mバイト(3次) 2Mバイト(2次)
チップセット CPUに内蔵 CPUに内蔵 CPUに内蔵
グラフィックス Intel HD Graphics 4400 Intel HD Graphics 4200 Intel HD Graphics
GPU実行ユニット数 20基 20基 4基
GPUクロック 200〜1000MHz 200〜850MHz 331〜667MHz
TDP 15ワット 11.5ワット
SDP 6ワット 2ワット

 算出した相対値を見ると、同じCPUを搭載するXPS 11に対しては少し劣るものの、XPS 11は約1.13キロの2in1 Ultrabookなので、熱設計の余裕に差があるのは仕方がない。9.9ミリ厚で約780グラムと薄型軽量なタブレットのVAIO Tap 11に対しては、サイズが大きくなるぶん、性能面ではっきりとしたアドバンテージがあることも分かる。

 もちろん、Atom搭載タブレットに対しての優位も大きい。特に3D描画性能の差は決定的だ。クリエイティブアプリや3D描画でUltrabookの主力機(VAIO Fit 13A)の7割強に相当するパフォーマンスというのは、(第4世代Core搭載機全体として見ると、控えめな性能とはいえ)第4世代Core Yシリーズ搭載機では健闘していると評価したい。

 以上、今回のテストでVenue 11 Pro(Core i5モデル)が改めて、Windows 8.1タブレットとして高いレベルのパフォーマンスを備えていることが実証された。デルの直販価格は5万9980円(税込)から、ハイスペックな評価機の構成でも8万9980円(税込)と、コストパフォーマンスは高い。タブレットにもパワフルな処理性能や拡張性が欲しいユーザーにとって、大いに魅力的な選択肢といえる。

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デル株式会社 デル株式会社

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