「VAIO Pro 13」――さらにハイスペックを軽快に持ち運べる“14春モデル”徹底検証最新PC速攻レビュー(3/4 ページ)

» 2014年03月11日 11時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

実力テスト(1):Ultrabookとして最高レベルの性能

 それでは各種ベンチマークテストのスコアを見てみよう。今回テストしたVOMモデルの基本スペックはCore i7-4650U(1.7GHz/最大3.3GHz)、Intel HD Graphics 5000、8Gバイトメモリ(DDR3L-1600/デュアルチャンネル)、256GバイトSSD(PCI Express 2.0 x4)、64ビット版Windows 8.1という内容だ。

 一部のテストでは、以前にレビューした2013年夏モデルのVAIO Pro 13 VOMモデル(SVP1321A1J/Core i7-4500U搭載)、2013年秋冬モデルの「VAIO Fit 13A」店頭モデル(SVF13N19DJS/Core i5-4200U搭載)のスコアも掲載している。

 これらのモデルはOSがWindows 8であり、ベンチマークテストのバージョンも一部古いものがあるので、あくまで参考としてご覧いただきたい。最近レビューしたWindows 8.1搭載モバイルノート「dynabook KIRA V634/28KS」(東芝)が同一条件でテストしているので、そのスコアも合わせて掲載しておく。

 テストにおいてはWindows 8.1の電源プランを「バランス」、「VAIOの設定」での「CPUとファンの動作モード」を「標準」に設定した。ただし、最近のUltrabook/2in1デバイスは、ボディの熱設計やこういった電源設定によって性能が変化することもある。今回は特に高性能なCPUを搭載しているので、一部は違う電源設定での計測も行っており、その結果も後ほど確認しよう。

 まず、CPU性能を調べるCINEBENCHのスコアだが、R11.5、R15ともにマルチスレッドのCPUスコアが伸びず、ほかのCore i5-4200U搭載機より低い。シングルスレッドで処理を行なうCPU(シングルコア)のスコアは高いことから、電源設定の影響で力を発揮しきれていないことが推測される。

 ストレージ性能を計測するCrystalDiskMark 3.0.3のスコアは圧倒的だ。シーケンシャルリードで1000Mバイト/バイト超え、シーケンシャルライトでも778.2Mバイト/秒と、Serial ATA 6Gbpsの理論最大転送速度(600Mバイト/秒)を超える高いスコアをマークしている。データストレージにPCI Express x4接続のSSDを搭載しているVAIO Pro 13ならではのスコアで、普通のSSDではとてもかなわない。

左から、CINEBENCH R15、CINEBENCH R11.5、CrystalDiskMark 3.0.3のスコア

 総合的なパフォーマンスを評価するPCMark 7についても、一般的なUltrabook/薄型ノートPCの水準より1枚上といえるスコアが出ている。CPU性能に加えて、抜群のストレージ性能も貢献しているためだ。

 3D描画性能テストの3DMarkも優秀なスコアだ。VAIO Fit 13Aと比べた総合スコアは、ICE Stormで47.8%、Cloud Gateで22.4%、FireStrikeで32.6%高い。Graphicsスコアではさらに差が顕著で、ICE Stormで73.7%、Cloud Gateで28.1%、FireStrikeで39.5%もVAIO Fit 13Aより高い値が出た。

 3D描画性能の高さは、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編(FF14ベンチ)にも現れている。VAIO Fit 13Aと比べると、高品質(ノートPC/1280×720ドット)で21.4%、標準品質(ノートPC/1280×720ドット)で38.1%高いスコアが出ており、VAIO Fit 13Aよりワンランク上の画質設定でプレイ可能なことが分かる。

左から、PCMark 7 1.4.0、3DMark 1.2.250(VAIO Pro 13 SVP1321A1JとVAIO Fit 13A SVF13N19DJSはVer.1.1.0)、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編のスコア

 以上、基本の設定でのパフォーマンスを見てきた。CPUに高い負荷がかかるCINEBENCHのCPUテストではポテンシャルが少し抑えられている結果も見られたが、それでも総合的にUltrabookとして最高レベルのパフォーマンスを備えているといえる。

実力テスト(2):さらに電源設定の変更で本領発揮

 次は電源プランとファンの設定を変更し、パフォーマンスの違いを確認しよう。試したのは、電源プランが「バランス」のままでファンの動作モードを「パフォーマンス優先」にした場合と、電源プランが「高パフォーマンス」でファンの動作モードを「パフォーマンス優先」にした場合の2通りだ。基本の設定とのパフォーマンスを比較した。

「VAIOの設定」ユーティリティからWindows 8.1の電源プラン、「CPUとファンの動作モード」を変更できる(画像=左)。「CPUとファンの動作モード」は「パフォーマンス優先」「標準」「静かさ優先」の3種類に切り替え可能だ(画像=右)

 CINEBENCH R15では顕著な違いが見られた。「バランス+パフォーマンス優先」では、CPUで13.3%、CPU(シングルコア)で15.2%もスコアが上がった。これは基本の設定で比較した機種を大きく上回るスコアだ。やはり標準の設定ではCPUのポテンシャルが抑えられていたといえる。ここで電源プランを「高パフォーマンス」にしてもあまり変化はなかった。

 PCMark 7については電源プランの影響がほとんどないが、「パフォーマンス優先」モードへの変更で上昇が目立ったのは、System Storage、Raw System Storageのスコアだ。それぞれ2.7%、11.7%高いスコアが出ており、測定誤差にしては大きく、複数回テストし直しても同じ傾向だった。総合スコアもその影響か、少し上昇している。

 通常、こういった電源プランなどでストレージ性能が変わるというのはあまり例がないことだが、PCI Expressインタフェースを使用していることと関係があるかもしれない。ということで、CrystalDiskMarkも試してみたところ、やはりこちらも差が出た。

 「高パフォーマンス+パフォーマンス優先」では、シーケンシャル/ランダムともに書き込み性能が大幅に上昇している。「バランス+パフォーマンス優先」でも4K Writeのスコアは明らかによくなっており、この辺りがPCMark 7のスコアにも影響したのだろう。

 ただし、「高パフォーマンス+パフォーマンス優先」では、逆に4K QD32 Writeのスコアが大きく低下している。理由は不明だが、複数回テストしても同じ傾向だった。「バランス+パフォーマンス優先」の設定とPCMark 7で差がないのは、これがマイナスに働いている可能性もある。

左から、CINEBENCH R15、PCMark 7 1.4.0、CrystalDiskMark 3.0.3のスコア

 3DMarkの結果は少しクセがある。標準設定に比べて、「バランス+パフォーマンス優先」では主にPhysicsのスコアが大きく上がり、それが総合スコアにも影響した。GraphicsスコアはCloud Gateで少し伸びている程度で、それ以外は誤差程度に低下している。

 「高パフォーマンス+パフォーマンス優先」にすると、Physicsスコアは「バランス+パフォーマンス優先」より若干下がるものの、Graphicsスコアが少し伸びた。特にICE Stormでは大きく向上している。

 なお、ICE Storm Extremeでは「バランス+パフォーマンス優先」、「高パフォーマンス+パフォーマンス優先」ともに標準設定より総合スコアが低下してしまった。内訳を見ると、Physicsのスコアが大きく伸びた一方、Graphicsスコアが大きく低下している。

 原因としてはTurbo Boost 2.0機能が考えられる。Turbo Boost 2.0はプロセッサの状態や負荷状況を判断して自動的にCPUクロック/GPUクロックを可変する機能だが、ICE Storm Extremeでは何らかの理由で判断を誤り、CPUクロックを重点的に上げすぎて、GPUクロックが抑えられているようだ。

 FF14ベンチは、「高パフォーマンス+パフォーマンス優先」の設定のみテストしたが、どの設定でもスコアは上昇した。低負荷設定ほどスコアがよく、標準品質(ノートPC/1280×720ドット)では19.2%もスコアが高くなっている。

左から、3DMark 1.1.0、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編のスコア

ベンチマークテストの概要(1)

  • パフォーマンステスト
    • CINEBENCH R15(CPU性能評価)
    • CINEBENCH R11.5(CPU性能評価)
    • Crystal Disk Mark 3.0.3(ストレージ性能評価)
    • PCMark 7 1.4.0(PC総合評価)
    • 3DMark 1.2.250(3D性能評価)
    • FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編(3D性能評価)

※Windows 8.1の電源プラン、「VAIOの設定」の「CPUとファンの動作モード」は3パターンで計測(詳細は本文)



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