もしかして“無双”? ツウ好みの高性能LTEルータ「AtermMR03LN」をねっとりチェック(パフォーマンス編)24時間動作+4バンドLTE+11ac+SIMフリー(予定)(2/3 ページ)

» 2014年03月18日 11時00分 公開
[坪山博貴(撮影:矢野渉),ITmedia]
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通信パフォーマンスチェック:802.11ac接続が極めて有効であることを確認

 では、802.11acでの接続性はどうか。ポータブルルータの使用を想定した数メートルほどの近距離における802.11ac接続では、同じく802.11ac(1ストリーム)対応の「Nexus 5」「AQUOS Phone Xx 303SH」「AtermWL900U」(PCとUSB 3.0接続)から、ほとんどの場合において本機の最大通信速度である433Mbpsできちんとリンクされた。参考までに、5GHz帯802.11n対応の「ARROWS ef FJL21」では104Mbps前後でリンクするので、ひとまず差としてきちんと表れている。

 続いては肝心の実速度チェックを行おう。1枚のSIMカード(BIGLOBE LTE・3GのSIMカードを使用)を差し替えて測定しつつ、今回はXi単体の通信速度というより、本機における2.4GHz帯と5GHz帯(今回は屋内のみ)、802.11nと802.11ac接続における機種別の速度/パフォーマンスの差などを確認していただきたい。比較のため、2GHz帯のみで最大75Mbps(10MHz幅)をサポートする「L-09C」の結果を並列した。

JR横浜駅ホーム 平日21時

photo 実通信速度の一例:JR横浜駅ホーム 平日21時(2014年2月末時点)

 まずは2GHz帯で最大112.5MbpsエリアとなっているJR横浜駅の東海道線ホームにて。

 平日21時と帰宅ラッシュは過ぎた時間帯だが、まだホームには人が多い(スマホ利用者はまだ多くいる)。屋外のため無線LANは2.4GHz帯のみの利用となる。今回は通信の能力とその差を計る目的のため、ホームには入線している車両が1編成もいないタイミングを見計らって計測した。

 結果はMR03LNが最高16.32Mbps、L-09Cは最高14.42Mbpsとなった。最高値や、Webアクセス時の実感値としてはあまり差はないが、MR03LNは速度が高いレベルで安定していたのに注目したい。

JR品川駅ホーム 平日22時

photo 実通信速度の一例:JR品川駅ホーム 平日22時(2014年2月末時点)

 次は2GHz帯で最大75Mbps/1.7GHz帯で最大150MbpsのエリアとなっているJR品川駅 京浜東北線ホームで検証する。なお、1.7GHz帯はまだ駅全体に広がっているわけではないが、エリアとされている南側でiPhone 5cにて1.7GHz帯を受信することを確認した場所で測定した。MR03LNで1.7GHz帯で受信していることを確認するすべはいまのところないのであくまで1.7GHzで接続しているという仮定のもとということはご了承願いたい。

 結果はMR03LNが最大36.70Mbps、L-09Cが最大20.71Mbps。特に下り速度でMR03LNが上回った。

 JR品川駅は、人も電波も混雑する都心部ターミナル駅の1つで通信事情はあまりよくないが、2012年末頃にホーム上に2GHz帯の基地局が整備され、3G接続であればラッシュ時間帯であってもそこそこ大丈夫という感じまで改善されている(筆者感覚では)。なお、この結果を見る限りではMR03LNはしっかり1.7GHz帯で通信しているようだ。

 無線LAN側も2.4GHz帯とはいえ802.11nが有効に機能しているという印象。ただ、測定時のそれぞれの無線LANのリンク速度は72Mbps(20MHz幅)だったので、これが受信速度が頭打つ状況になった可能性はある。混雑するこういった場所で(比較的空いており、利用できるチャネルも多い)5GHz帯無線LANが使えれば……という期待を抱かせる結果といえる。

JR蒲田駅 屋内カフェ 平日22時

photo 実通信速度の一例:JR蒲田駅 屋内カフェ 平日22時(2014年2月末時点)

 続いて、2GHz帯/最大75Mbpsのみのエリアながらも、過去の測定によりスループットがかなり高いことを確認しているJR蒲田駅前 アーケードにあるカフェで測定しよう。ここには公衆無線LANスポットもあり、5GHz帯/W52の電波も送出されている。今回は、LTEの電波状態を確認しつつ、できるだけ窓から離れた位置にMR03LNを置いて5GHz帯での802.11ac接続での計測も行った。測定時間は22時前後のため、駅前ではあるが街中でのトラフィックピークは過ぎた時間と思ってほしい。

 結果は、前述した2.4GHz帯の2駅を大きく上回る最大61.27Mbpsをたたき出した。同条件下の2.4GHz帯通信は最大28.38Mbpsだったので、11ac接続に変えるだけで2倍以上ものパフォーマンスが発揮されるわけだ。同時に2.4GHz帯はそれ単体がボトルネックであることが分かる。こちら、2.4GHz帯でも150Mbpsでリンクはする場所だが、ふと気がつくと64Mbpsほどにリンク速度が落ちていたりする。駅前アーケード内ということで2.4GHz帯は相応に混雑していると思われる。

 また、2.4GHz帯での接続はL-09Cの結果がやや上回った。同じ2GHz帯/75MbpsエリアということでWAN側通信のハンデはないはずで、理由は不明だが……L-09Cは無線LANの出力が比較的高いため、この場所では結果としてうまく表れたのではと仮定する。

JR田町駅 駅前商店街内カフェ 平日20時

photo 実通信速度の一例:JR田町駅 駅前商店街内カフェ 平日20時(2014年2月末時点)

 最後に、1.7GHz帯/最大150Mbpsと2GHz帯/最大75MbpsのXi対応エリアであるJR田町駅前のカフェで検証する。

 Xiの1.7GHz帯エリアはJR山手線駅周辺を中心にエリア化が進んでいるが、この街は1.7GHz帯通信対応のiPhoneも非常に利用者が多いと想定される都心部のオフィス街圏学生街。昼間の駅前や駅のホームなどではすでに目立つほど高速な通信速度が出ないことが多くなっている。裏を返すときちんとエリア対策を行わなければならない場所であり、また、人が少なくなる夜間であればそれだけ空いていて良好ということを示すと仮定できる。

photo 今回の検証におけるもっとも良好な結果。かなり無線LANも混雑した屋内ということを考慮するとものすごい結果とも言える

 結果は最大79.79Mbps──なんと80Mbpsに迫るすごい値を記録した。平均でも78.10Mbpsとバラツキが少なかったので間違いなく1.7GHz帯LTEでの通信のはずだ。一方、2.4GHz帯は平均30Mbpsほどにとどまっている。こちらも2.4GHz帯の無線LAN区間がボトルネックになってしまっているのがよく分かる。

 もう1つ、この場所は2GHz帯が特に混雑しているのか、2GHz帯のみ対応のL-09Cは最大12Mbpsほどとなった。今後、1.7GHz帯の対応端末が増えてくればここまで差が付くことは少なくなると思うが、現時点において、クアッドバンドLTEと11acに対応する本機は通信速度を望む人にかなりのメリットがあることを示したといえる。

 参考までに、クアッドバンドLTE対応の本機と2GHz帯のみ対応のL-09Cで、JR蒲田ー横浜駅間でのLTE接続性も複数回往復してチェックしてみた。

 L-09Cはたいていの場合、この区間で2〜3回は3Gへ接続が切り替わる。これは、移動中にLTEエリア外となって3G接続に落ちたことを意味する。対して、本機は1度も3Gへ切り替わらず、何というか“粘った”印象を受けた。

 移動中にTwitterのストリーミング対応クライアント(常時何らかのツイートが流れてくる状況)で監視すると、確かに何度か数秒間は通信が途切れたと思わしき動きをするが、端末のアイコン表示においてはLTE通信を維持した。移動中の通信は、1度3Gに切り替わってしまうとLTEへなかなか戻らないことがある。“粘ってくれる”ことは案外メリットがあるのだ。

 なお、神奈川県内は1.7GHz帯のエリア展開が都内と比べると遅れている傾向で、トラフィックが多いJR川崎駅やJR横浜駅なども2GHz帯を受信最大112.5Mbpsまで引き上げることでしのいでいる。一方、エリアマップからは識別できない850MHz帯LTE(Band 19)でのエリア補完も進めている。例えば、JR東海道線区間で鶴見川を超えたあたりの場所では最大37.5Mbps止まりながら850MHz帯でもエリア化されている。実は、このあたりはJR横須賀線(品鶴線)の合流部分でJRの線路が複雑に入り組みつつ、敷地幅が広いエリア。2GHz帯 Xiの難所といえる場所の1つだったが、2014年3月現在、筆者が確認した範囲ではこういった場所でも本機は3Gに落ちなかった。

 ここは、端末としてLTEから3Gへ切り替わるしきい値が異なるといった仕様の違いによるものと思うが、ひととおり2GHz帯でエリア化されている都心やその周辺も、クアッドバンドLTE対応の本機であればより快適にLTEが使えるはずと評価できる。……これは詳しい人にとって当たり前といえば当たり前なのだが、2GHz帯のみ対応のLTEルータに対し「よりおいしくLTEを使う」のに必要な仕様である。

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