同氏は続いて、GPUの並列演算処理性能を生かせる新しい分野として「機械学習」(Machine Learning)を挙げた。機械学習とは、コンピュータが大量のデータを使って自ら学習することにより、より精度の高い解析を可能にするもの。現在Googleと米スタンフォード大学が共同で構築した機械学習システムの「Google Brain」では、2 CPU構成のノードを1000台用意することで、2000 CPU/1万6000コアを実現しているが、その構築には約50億円(500万ドル)を要し、その稼働に必要な電力は600キロワットにも達する。
そこでファン氏は、スタンフォード大学のAI(人工知能)ラボが採用している同社のシステムを紹介し、GPUを積極的に活用すればGoogle Brainと同等の性能を、3基のGPUを搭載したサーバたった3台で実現でき、そのコストは3万3000ドル、消費電力も4キロワットに抑えることができると、GPUコンピューティングの積極的な利用を訴えた。
さらにファン氏は、新しいGeForceシリーズのフラグシップ製品として、GeForce TitanをデュアルGPU構成で搭載した「GeForce GTX Titan Z」を発表した。同製品は、GeForce Titan Blackでも採用されているGK110コア×2のフルスペックとなる5760 CUDAコアを統合し、各GPUに6Gバイト、合計12Gバイトの7Gbps動作のGDDR5メモリを搭載することで8TFLOPSの性能を実現する。その市場価格は2999ドルとなる見通しだ。
同氏は、スタンフォード大学のAIラボが、このGeForce GTX Titan Zを採用すれば、同カードを3枚搭載した、たった1台のサーバでGoogle Brainと同等の性能を実現でき、そのコストはわずか1万2000ドル(約120万円)、消費電力は2キロワットに抑えられ、机の脇にGoogle Brainと同等性能をもったサーバを置くことも可能になるとアピールした。
このほか、同社が新たに市場投入するクラウドレンダリングサーバの「IRAY VCA」の活用事例として、本田技術研究所が自動車の設計に利用している環境を、19台のIRAY VCA環境で実現。リアルタイムで実車そのものにしか見えない高品質の3Dモデルをレイトレーシング表示するデモも披露され、そのピーク性能は1ペタFLOPS(1000TFLOPS、なおキーノート内では1テラFLOPSと紹介された)に達するという。
また、同氏は仮想化市場で最大手のVMWareが、同社GPUの仮想化に対応する予定であることも発表した。VMWareのベン・ファティCTOは、GPU仮想化に対応したHorizon Daas Platformの評価環境を2014年末にも提供し、2015年に正式サービスを開始する予定であることを明らかにした。
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