ここまで紹介した手順で目的のUPSはおおむね選定できるはずだが、あと2つの条件を追加すれば、さらに正確に候補となる機種を絞り込める。その条件とは「給電方式(運転方式)」と「出力波形」だ。
UPSの給電方式には「常時商用」「ラインインタラクティブ」「常時インバーター」の3種類があり、さらに出力波形は「正弦波(せいげんは)」と「矩形波(くけいは)」の2種類に分かれる。この方式の多さ、用語の耳慣れなさがUPSを選びにくくしている一因なのは間違いない。技術的な話は下の図をご覧いただくとして、ここでは選び方を中心に説明する。
まず給電方式だが、3つの選択肢のうち、常時インバーター方式はデータセンターなどで使われる大規模な方式なので、本連載でターゲットとするSOHOや中小企業の環境ではひとまず除外する。残る選択肢は2つだが、停電時のバックアップ時間確保に加えて電圧を安定させる機能が必要ならばラインインタラクティブ、特に必要がなく停電への備えだけでよければ常時商用というのが結論だ。価格については、プラスアルファの機能があることからも明らかだが、ラインインタラクティブのほうが高価だ。
出力波形は正弦波と矩形波のどちらを選ぶかだが、現在多くのPCやNASが採用しているPFC(力率改善)回路搭載の電源(PFC電源)は矩形波に対応しないとされるので、PCやNASを接続する場合は正弦波を選ぶのが望ましい。実際には矩形波でも問題なく動作するケースも多いのだが、いかんせん実機で検証しない限り分からないので、メーカー側としては非対応とせざるを得ない事情がある。
買う側としても、せっかく容量の計算をしてまで購入しておきながら、停電時にUPS駆動に切り替わった瞬間にシャットダウンされてしまうのでは意味がない。あらかじめ実機での動作確認が取れていれば別だが、機器構成の中にPCやNASが含まれている場合は正弦波の製品を選ぶようにしよう。ちなみにラインインタラクティブはすべて正弦波なので、正弦波か矩形波かを考慮する必要はない。
UPSの給電方式 | |||
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給電方式 | 常時商用 | ラインインタラクティブ | 常時インバータ |
メリット | 小型・軽量、低コスト、通常時の消費電力が低い | 高機能だが比較的小型で低コスト、通常時の消費電力が低め、電圧調整機能がある、出力は正弦波 | 切り替え時に瞬断が発生しない、電圧・周波数は常に一定、ノイズやサージの吸収効果が高い、出力は正弦波 |
デメリット | 切り替え時に瞬断が発生、設定範囲内の電圧変動は補正しない、矩形波のものが多い | 切り替え時に瞬断が発生(常時商用と比較して短い) | 比較的大型で高コスト、通常時に電力ロスが発生し、消費電力が高め |
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