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「LUV MACHINES LM-AR311S」――“Kaveri”を搭載して6万円台半ばの高コスパマシン注目PCレビュー(2/2 ページ)

» 2014年04月01日 19時38分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]
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コスト重視モデルではあるが、720pなら高画質でMMORPGが楽しめるだけの性能を持つ

「WIN SCORE SHARE」(コードリウム作)を用いたWindowsエクスペリエンスインデックスの結果

 それでは、評価機の性能をチェックしていこう。本製品で採用されているA10-7850Kそもそものポジショニングを確認しておくと、クアッドコアCPUに統合GPUとしては比較的高性能なグラフィックス機能を統合した製品となっている。Webブラウジングなどの普段使いなら十分、またやや軽めのゲームなら十分に楽しめるだけのパフォーマンスを持っている。ただし、LM-AR311Sはコスト重視モデルでもあるので、若干、方向が異なる部分もある。

 まずはWindowsエクスペリエンスインデックスの結果だ。プロセッサとメモリは、クアッドコアCPUに標準的なDDR3-1600メモリを採用していることから7.6ポイントと十分なスコアを出している。グラフィックスとゲーム用グラフィックス、プライマリディスクは、5.8〜5.9ポイント。これは、統合GPU機能を利用している点や、HDDを採用しているため、納得のできるスコアだ。

PCMark 7の結果

 続いてPCMarkで全体的な性能を見たいところだが、通常、PCMark 8を用いるところ、機材の都合でテストできず、PCMark 7の結果で見ていきたい。PCMark 7のOverallは2728 PCMarksとなった。普段、ベンチマーク記事などを見ている方にとってはやや低めという印象かもしれないが、構成的に見れば妥当なところだろう。KabiniやAtomのシステムよりは上となる。

 その要因を考えてみると、まずはストレージにSSDではなくHDDを用いているというのが1つ。PCMarkは、HDDとSSDでスコアに差が出てしまう。そして、実際の運用面でも、コマンドからそれが表示されるまでに若干の「間」が生じるため、一度SSDに慣れてしまった方だと気になるかもしれない。試しにBattlefield 4を実行してみたところ、そのグラフィックスデータの読み込みにSSD時よりも明らかに時間がかかった。こうした点を気にする人は、BTOでSSDを選択するのがよいだろう。

 2つ目の要因はメインメモリにDDR3-1600を用いている点だ。DDR3-1600メモリは確かに現在の標準的なメモリではある。ただし、スペック的に見れば、A10-7850Kはさらに高速なDDR3-2400までサポートしている。Sandra 2014.SP1cでメモリの帯域幅を見ると、12.18Gバイト/秒と出たが、以前KaveriのベンチマークでDDR3-2400を用いた際は、14.4Gバイト/秒出ていた。

 そして、このメモリ帯域幅は、メモリ転送速度に依存するアプリケーションに影響を及ぼすほか、APUやその他統合GPUを利用する環境の場合には、グラフィックス性能にも影響を与える。統合GPUでは、メインメモリをグラフィックスメモリとしてシェアするためだ。そのうえで、LM-AR311Sをパワーアップする場合、DDR3-2400メモリがそのまま換装できるかと言うと、おそらく難しい。マザーボードの正式な型番が分からないが、少なくともチップセットがAMD A78世代であることから、最大でもDDR3-2133までのサポートになるだろう(そもそもメモリ交換自体が保証外になる)。

 加えてマザーボード自体のサポートを超えるメモリのOC動作、という2重のリスクとなる。自作PCユーザーならこうしたリスクにもあえてチャレンジするところかもしれないが、メインPCとして安定動作を望む方は、LM-AR311S本来のパフォーマンスとそれに応じた用途で楽しむのがよいだろう。

 CPU性能を見るCINEBENCH R15では、CPUスコアが306cb、Single CPUスコアが90cbとなった。DDR3-2400搭載時のデータと比較すると、それぞれ8ポイント、3ポイント低かったが、DDR3-1600メモリを採用した点が影響しているだろう。ただし、その差は小さく、主にCPUを利用するアプリケーションにおいては大きな影響はない。また、クアッドコアCPUなりのパフォーマンスは秘めている。激速とは言わないが、Webブラウジングのような軽作業から、オフィスソフトでの業務、やフォトレタッチやRAW現像といった趣味の用途でも十分なレスポンスが得られるはずだ。

。Sandra 2014.SP1cでみたメモリ帯域幅(画面=左)。CINEBENCH R15のCPUパフォーマンス(画面=右)

 グラフィックス性能を見る3DMarkでは、Ice Stormが57626、Cloud Gateが6133、Fire Strikeが1220というスコアだった。こちらもA10-7850Kを搭載する製品としては控えめなスコアである。

 ただしゲームタイトルベースのベンチマークで見れば、ドラゴンクエストX ベンチマークソフトの最高品質の1280×720ドットで「快適」という評価、標準品質なら1920×1080ドットで「快適」評価が出でている。

 また、ドラゴンクエストXよりやや負荷の高いファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編でも、1280×720ドットなら最高品質で「やや快適」、1920×1080ドットなら標準品質で「やや快適」の評価だった。このやや快適という指標は、30fpsに若干届かないところなので、シーンによってはスムーズさに欠ける描画になる可能性もある。だが、必要に応じて画質を下げればゲームをプレイすることができ、6万円台のPCでここまでできるというのは、コストパフォーマンス的に十分な結果だ。

ドラゴンクエストX ベンチマークソフトの結果

ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編の結果

ベース構成のコストパフォーマンスはピカイチ!

 このように、LM-AR311Sの目指すところは、通常の用途において十分なパフォーマンスを発揮しつつ、非常にコストパフォーマンスが高い点にある。そしてシミュレーションタイトルやMMORPGタイトルなど、フレームレートが30fps程度で快適と言えるゲームであれば、720pで高画質設定が狙えるグラフィックス性能も達成している。とはいえ、まずイチオシなのはコストパフォーマンスだろう。6万円半ばで購入できる価格設定は、古くなったPCのリプレースを急ぐような場合には最適だ。

 あるいは、予算10万円以内と決め打ちしても、SSDやメモリ容量、グラフィックスカードなど、3万円近くパーツを選択することができ、これだけでも十分に自分の用途に合った構成にカスタマイズできる。このように、Windows XPから乗り換える候補としても、BTOを極めるためのベースモデルとしても、有力な選択肢の1つとしてオススメしたい。

→PC USER特設ページ「mouse computer station」
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