次はボディのデザインを見ていく。本体サイズは661.3(幅)×204.1(奥行き)×435.3〜550.3(高さ)ミリ、重量は約7.8キロ(ケーブル込み)だ。28型ワイドの大画面なので横幅はあるが、奥行きはかなり短い。消費電力は最大100ワット、通常時75ワット、スタンバイ時で0.5ワット以下となっており、4Kモデルとしては画面サイズが小さいUP2414Qより低くて済む。
ボディはネックが垂直に立った頑強なスタンドと、シンプルな液晶パネル部で構成される。スタンドは上21度/下5度のチルト、左右で各45度のスイベル、115ミリ範囲の昇降、そして画面を右回りに90度回転させての縦位置表示に対応する。低価格の4Kモデルながら、設置の自由度は高い。
液晶パネル部の高さを最も下げた状態では、表示領域の下端が設置面から約75ミリの位置に来るため、画面を見上げる疲れやすい姿勢で使わずに済む。
また、スイベル機構はスタンドの台座ごと回転してしまう製品が多い中、このP2815Qは台座の上でネック部分が回転するため、机上のものを巻き込むことがない。ただし、スタンドは硬めに固定されているので、台座を片手で押さえて回すとよいだろう。
背面のコネクタは前述の通り、DisplayPort入力、Mini DisplayPort入力、HDMI入力(MHL対応)そして、DisplayPort出力を搭載する。ステレオミニの音声出力端子もあり、オプションで液晶パネル部の下に装着するステレオスピーカー「USBサウンドバー(AC511)」を利用可能だ。
またUSB 3.0のハブ機能があり、アップポート1基、ダウンポート4基を備えている。ダウンポートのうち1基はBC1.2(USB給電)に対応し、着脱しやすいよう水平方向に向いた端子を他のポートからやや右に離した場所に置いているのは、UP2414Qと同じだ。
製品にはMini DisplayPortとDisplayPortの変換ケーブル、USB 3.0アップケーブル、電源ケーブルが付属する。
OSDメニューの操作については、液晶パネル部の右フレームに4つのボタンが縦一列に並んでいる。上2つのボタンにはショートカットメニューが割り当ててあり、画質モード(プリセットモード)と輝度/コントラストの設定が行えるが、入力切り替えやアスペクト比、回転といった設定を適用することも可能だ。上から3つ目のボタンはOSDメインメニュー起動、1番下のボタンはメニュー終了となる。
画質モードは豊富で、標準、マルチメディア、ムービー、ゲーム、テキスト、暖色、寒色、ユーザーモード(RGBのゲインを個別調整可能)の計8つのモードから選べる。ただし、上位モデルのように色温度をケルビン値で指定したり、ガンマを選択したり、sRGBやAdobe RGBといった色域に設定するような機能はない。上位モデルに比べると、調整項目はかなり絞り込まれている。
ここからはエックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1Pro」を使用し、P2815Qのガンマ特性と色域を測定しよう。上位クラスの製品と異なり、「Dell UltraSharp Color Calibration Solution」によるハードウェアキャリブレーションはサポートしていないため、エックスライト純正ソフトウェアの「i1Profiler」を用いて測定した。
液晶ディスプレイの画質モードは、標準モードと暖色モードを使用している。前者は液晶パネルネイティブの状態を知るため、後者はsRGBに近い状態と思われるためだ。
まずはガンマ特性だが、測定結果として表示されるガンマ補正カーブの入力と出力が1:1の関係、グラフでいえば右上がりの直線になるのが望ましい。
結果を見ると、どちらのモードも中間階調から明部にかけてRGBの出力を示す3本の線がやや離れており、グレーバランスの再現性は高くなかった。それでも標準モードは黒から白までズレが大きくなく出力されているが、暖色モードは明部で情報が欠落しているため、白飛びなどの発生も懸念される。
続いて色域を確認する。先ほど作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティによって色度図にプロットした。色の付いた部分がP2815Qで表示できる色の範囲で、薄いグレーの部分がsRGBの規格で定められている色域だ。色の付いた部分と薄いグレーの部分が重なっているほうが、sRGBの色を正しく再現できる。
結果を見ると、どちらのモードもsRGBより緑から黄、オレンジにかけての色域が広く出ているが、再現できる色の範囲としては大体sRGB相当といえる。UP2414QのようにAdobe RGBの広色域表示には対応しない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.