目視の印象も述べておこう。ガンマ特性はさほどよい結果ではなかったが、正面から見たグラデーション表示は破綻せず無難に表示できていた。輝度、コントラストは十分で、発色もsRGBに近い鮮やかさだ。ドット感のない表示の精細さ、滑らかさは申し分ない。
ただし、表示の輝度ムラと色ムラは、出荷状態の高めの輝度でも確認できた。TNパネルということで、周辺のくすみも散見されたが、この辺りは視聴距離にもよるので一概にはいえない。こうしたところは、低価格モデル並といった印象だ。
視野角については、横位置表示で正面から眺めるぶんにはまだ許容できるが、上下方向が狭いので、チルトと昇降の調整は正確に行いたい。画面を90度回転させて縦位置表示で使う場合は、左右の視野角の狭さが気になり、横位置表示より見づらく感じる。
最後にP2815Qを試用した感想だが、「高精細な4K液晶ディスプレイのエントリークラス」というテスト前のイメージそのままだ。
4K対応の28型ワイド液晶ディスプレイが7万円を切る低価格という点では非常に驚いたが、やはり23.8型ワイドのIPSパネルを搭載し、4Kの60Hz表示に対応した上位クラスのUP2414Qと見比べると、表示品質で確かな差がある。画面サイズが23.8型でも十分で、予算に余裕があるならば、UP2414Qを選んだほうが満足度は高い。
P2815Qは、動画再生の品質や色再現性を求めるクリエイティブワークには向かないが、この大画面・高精細の表示環境はデルが提案する通り、金融や設計、地図、測量、経理など多くの情報を一度に表示することで生産性が上がるデスクワークにおいて、威力を発揮するに違いない。
実際にP2815Qを試してみると、表示品質テストの結果から予想するほど印象が悪くないのは、やはり4Kの魔力というべきか。P2815Qの評価は、「大画面で4Kの高精細表示、しかも驚異的な安価」というメリットと、「TNパネルで30Hz表示、画素密度を除く表示品質はエントリークラス並」というデメリットのどちらにウェイトを置くかで大きく変わってくるだろう。
つまり「表示品質はそこそこだが、高精細かつ激安なので“買い”」と感じるか、「高精細かつ非常に安いが、表示品質が物足りないので“見送り”」と感じるかだ。筆者としては材料だけ提示して、判断は個々人におまかせしたい。
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