底面積が8型タブレット相当でキーピッチが15ミリ以上、かつ、キーストロークをある程度確保していて、押した感触がはっきりと認識でき、打った力をしっかりと受け止めてたわむことなく、そして、できることなら複雑な折り畳み機構は持たず、キーボードのただタブレットを載せるだけの“気楽”に使えるといい。
そんな、一見無理難題とおもうような条件を満たすキーボードを米国の家電量販店「Best Buy」で見つけることができた。ラスベガスのBest Buyはパッケージから製品を取り出して試し打ちすることも許してくれるほどに寛容で、そうして試し打ちして見つけたのがZAGGというキーボードベンダーの「 Folio Keyboard For Apple iPad mini」だった。
製品名から分かるように、本来はiPad mini向けのBluetooth接続キーボードだ。ノートPCのようなクラムシェル形状をしていて、キーボードカバーの部分にiPad mini本体をはめて使う。iPad miniよりサイズが大きいMiix 2.8を底にはめて使うことはできないが、カバーの手前に本体を置けばそのままスタンドとして機能するので、“気軽”に使うことができる。
iPad mini向けのキーボードだけあって、サイズは203.2(幅)×137.92(奥行き)×16.75(閉じた状態の高さ)ミリと底面積がコンパクトになっているが、キーピッチはほとんどのキー(記号に使う3つのキーのみ半分幅)で16.5ミリ(実測)を確保している。キーボードはアイソレーションタイプで、キーストロークは浅くなっているものの、それでも、1.5ミリ(実測)と押したことが十分認識できる深さだ。
特に注目したいのは、キーボードユニットの高さが6.9ミリしかないのにボディがしっかりしていて、打った指の力を受け止めてたわまないことだ。このおかげで、何の不安もなく快適にキー入力を続けることができる。主観的な感想となってしまうが、キーボードを打つ感触としては、ややキーピッチが狭いThinkPad X1 Carbonといってしまってもいい。そして、その最初に感じる「狭い」という感覚は許容範囲ですぐに受け入れることができるだろう。
ただ、iPad miniというiOSデバイスを想定したキーボードだけに、Windows 8.1を導入したMiix 2.8でつかうには、制約も多い。ファンクションキーはなく、ESCキーもない。cmdキーはWindowsキーとして機能するが、Altキーはスペースキー右側にしかない。米国で購入したためレイアウトがASCII配列で(それはそれで個人的にはかえっていいのだが)、日本のユーザーは戸惑うこともあるかもしれない。
また、キーボードの重さは約320グラムで、Miix 2.8と合わせると660グラム(実測)と700グラムを切るものの、例えばLaVie Zを持ち上げたときのような、「モックアップのような軽さに衝撃」ということはない。
とはいえ、会社の外で使う場合、底面積がコンパクトなことの恩恵を受けることは非常に多い。特に乗り物に備え付けのテーブルで使うときは、Miix 2.8とキーボード、マウスを置いてもなお、コーヒーカップを置くスペースを確保できる。日本航空の「JAL Sky WiFi」の機上報告も、Miix 2.8とZAGGキーボードだからできたようなものだ。
優れたキーボードがあればMiix 2.8も優れたモバイルPCとして使える。これが、3カ月実体験で得た結論だ。価格は99ドルと外付けキーボードとしては高い。しかし、その価格に見合った打ち心地は得られる。街のコーヒースタンドや移動中の乗り物で仕事をする機会が多いビジネスマンは、Miix 2.8とZAGGキーボードの組み合わせの可能性にぜひ注目してもらいたい。
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