今回、Microsoftは3つのOSライセンスについて無料化を表明している。
これまでも、8型Windowsタブレットにおいて実質的なOSライセンスの無料化(しかもOffice付き)を行ったり、一部メーカーらに対してWindows Phoneライセンスの実質的無料化を打診したりと、コアビジネスの無料ライセンス化を次々と進めるMicrosoftだが、いよいよ大盤振る舞いも来るところまで来たという状態になった。
IoT向けのWindows OSというのも不明だが、おそらくはWindows Embedded Compactなどの組み込み向け軽量OSのライセンスフリー化だとみられる。まだまだ人気があるとは言い難いWindows Phone、コンシューマーで人気の小型タブレット、そして今後対応デバイスが爆発的に拡大するとみられるIoTと、Windowsをまき餌にして「損して得とれ」の精神でシェア拡大を優先するMicrosoftの構図が見えてくる。
実際、近年のMicrosoftはデバイス価格の下落によりOEM向けのWindowsライセンスの価格を段階的に下げざるを得なくなっており、会社全体に占めるコンシューマー売上比率が大幅に減少している。現在のコア事業はむしろエンタープライズ寄りとなっており、こうした無料化を大々的に推進できるのも、すでに先行きの暗くなりつつあるコンシューマー事業のテコ入れの意味合いが大きい。
また、ソフトウェアそのものに対するこだわりも以前よりは小さくなっており、Microsoftが掲げる「サービス&デバイス」企業に向けた動きを加速している。「重要なのはサービスとプラットフォームの上で動作するアプリケーション資産であり、デバイスはその窓口となるもの」という役割分担がはっきりしてきた。
先ほど、Modern UIアプリがXbox上でも動作可能になったり、デスクトップ上でウィンドウ表示を行ってまで同アプリを実行するのも、あくまでデバイス側は「窓口」という扱いだからだ。
同時にサービスの拡充も進めており、今回大幅に機能強化の図られたWindows Phone 8.1では「Cortana(コルタナ)」という、iOSの「Siri」ライクなパーソナルアシスタント機能が追加された。(ゲーム「Halo」に登場する人工知能という設定はともかく)このCortanaの音声認識性能と反応を決めるのは、構文解釈の機能だけでなく、いかに利用者のリクエストに応えるだけのサービスが充実しているのか、という点にかかってくる。
同種のサービスを展開しているAppleやGoogleでは過去に企業買収を繰り返して機能強化を適時進めているが、Microsoftにとっても苦手分野克服の中でよりサービス拡充を図らなければならない分野だ。
今回のBuildで見えてきた最新のMicrosoftの姿は、サービス&デバイス企業としての同社の決意表明と進捗状況を示すものだといえるかもしれない。
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