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エプソンがコピー機市場に参入――“導入コスト0円”で月額1万円からの新プリントサービスとは?コストはレーザー複合機の1/2以下(2/2 ページ)

» 2014年05月13日 21時30分 公開
[前橋豪,ITmedia]
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7万5000枚印刷の巨大容量インクパックを採用

 エプソンから貸与される複合機は同サービスの専用モデルで、A3ノビ対応の「PX-M7050F」をベースとして、巨大容量インクを装備するなどの変更をしている。給紙容量は、「ベーシック」で831枚の4系統給紙(250枚カセット1段、500枚カセット1段、背面MPトレイ80枚、手差し給紙1枚)、「フルセット」で1831枚の6系統給紙(ベーシック+500枚増設カセット2段)だ。耐久性はいずれも30万枚(毎月5000枚の印刷で5年間利用可能)を実現し、背面に交換式の廃インクボックスを設けるなど、長期利用も考慮した設計となっている。

カセット2段で給紙容量が831枚の「ベーシック」(左)と、カセット4段で1831枚の「フルセット」(右)
フルセットのモデルに備わった給紙機構

 インクは水に強くにじみにくい4色(CMYK)顔料タイプを採用し、約7万5000枚もの印刷が可能な巨大容量インクパックを備えている(毎月約2000枚の印刷で約3年交換不要な計算)。ノズルを高密度化した新型プリントヘッド「PrecisionCore」により、印刷速度はカラー/モノクロともに24ipmを確保した。印刷解像度の初期設定を600dpiに定め、画像処理技術も刷新することで、普通紙へのビジネス文書印刷が鮮明に行えるよう配慮している。

新型プリントヘッド「PrecisionCore」は、1.33インチ幅に800ノズルが並んでおり、各ノズルが1秒間5万回インクを吐出する(写真=左)。これを4つ搭載して高速化した。カラーレーザー複合機の「LP-M8040F」(タンデム、30ppm)、「LP-M5300FZ」(4サイクル、カラー8ppm/モノクロ35.8ppm)と5枚印刷の速度を比較したグラフ(写真=右)。「エプソンのスマートチャージ」は、インクジェット方式でファーストプリントが速いため、5枚印刷の所要時間ではタンデム式のLP-M8040Fにも勝る
ボディの左右にカバーがあり、左側面にブラック(写真=左)、右側面にカラー3色(写真=右)のインクパックを装着する。インクの交換はオンサイト保守で行われるため、通常はユーザーがインク交換をすることはない
約7万5000枚印刷の巨大容量インクパックでインク交換の手間を軽減するとともに、輸送コスト、梱包(こんぽう)材、カートリッジなどの廃材によるCO2排出量を大幅に削減した(写真=左)。例えば、同社のA3カラーレーザー複合機「LP-M5300FZ」で約7万5000枚を印刷しようとすると、トナー52本に感光体6本を費やす必要がある。実際に約7万5000枚印刷するのに必要な消耗品を並べてみると、その差は歴然(写真=右)。両者を比較した場合、総重量は約86%削減、総容積は約92%削減、CO2排出量は95%削減にもなるという

 機能面では有線/無線LANを標準装備。「Wi-Fi Direct」機能により、スマートフォンやタブレットと複合機を直接Wi-Fiで接続し、ワイヤレスでプリントが行える。同社が提供するスマートデバイス用の無料アプリ「Epson iPrint」をはじめ、さまざまなモバイル/クラウド連携が可能なサービス「Epson Connect」もサポートする。

 操作パネルはタッチ対応の5型カラー液晶モニタを搭載し、色覚の個人差を問わず、見やすい配色のボタン(カラーユニバーサルデザイン)を採用した。自動両面印刷はもちろん、両面同時読み取りが可能なADF(最大50枚収容)、厚紙や封筒、はがきなどさまざまな用紙に対応する背面MPトレイを備えている。利用者制限や印刷ジョブのパスワード設定といった管理機能、カラーユニバーサルプリント機能も利用可能だ。

 FAX機能については、1本の回線でFAX/電話の自動受信切り替えに対応。受信したFAXを画面でプレビューしてから印刷する「見てからファクス印刷」、設定しておいたメールアドレスやフォルダへ転送する「ファクス転送」など、無駄を省く機能もある。

 収納時の本体サイズと重量は、ベーシックが767(幅)×572(奥行き)×591(高さ)ミリで約58.8キロ、フルセットが767(幅)×794(奥行き)×1132(高さ)ミリで約100.4キロだ。消費電力は測定中という(ベースとなるPX-M7050FのTEC値は0.6kWhと低い)。

「エプソンのスマートチャージ」は、カラー/モノクロとも24ipmの印刷速度だ

エプソンは今回の新サービスのほか、A3ノビ対応インクジェット複合機「PX-M7050F」およびプリンタ「PX-S7050」に、PostScript対応モデルと増設カセット標準セットモデルを追加した(写真=左)。PostScript対応モデルのラインアップ(写真=右)。PostScript 3に対応し、日本語2書体、欧文136書体を標準搭載する
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