次世代のコンピューティングデバイスはどうなる?――Intel基調講演まとめCOMPUTEX TAIPEI 2014(2/2 ページ)

» 2014年06月05日 09時11分 公開
[本間文,ITmedia]
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2in1デバイス向けSoCに14ナノメートルプロセスルールの「Core M」を投入

 また、2013年末に出荷を計画している次世代の高性能タブレットやファンレスの薄型2in1デバイス向けSoCに、新たに「Intel Core M」のブランドを与えることを明らかにするとともに、同SoCを搭載した、薄さ7.2ミリ、重さ670グラムの2in1デバイスのリファレンスモデルなどを公開した。

 このCore Mプロセッサは、14ナノメートルプロセスルールを採用する“Broadwell”(開発コード名)のウルトラモバイル向け製品で、ジェームス氏はCore Mプロセッサでは、省電力性能とパフォーマンスが大幅に向上するとアピール。また、先にASUSTeK Computerが発表した「Transformer Book T300 Chi」が、Core Mプロセッサを採用する最初の製品となることも明らかにした。

“Broadwell”の開発コード名で知られる次世代プロセッサのうち、高性能タブレットや、ファンレスの2in1デバイス向けSoCには、新たに「Intel Core M」のブランドが与えられる。また、ビジネス市場向けには「Intel Core M vPro」も用意される(写真=左)。14ナノメートルプロセスを採用する次世代Coreプロセッサでは、TDPを60%削減しつつ、20〜40%の高性能化が図れると説明。また、同プロセッサのSoCでは、10〜45%の電力削減と、パッケージサイズを約半分にできるという。なお、基調講演後の質疑応答で、本スライドにある“第4世代”は誤りで、“Broadwell”を示すと訂正された(写真=右)

Intel Core Mプロセッサ搭載2-in-1デバイスのリファレンスモデル(左)と、同デバイス用のドッキングステーション(右)を披露するジェームス氏(写真=左)。ASUSTeK ComputerがCOMPUTEX開幕前日に発表した、世界最薄の2in1デバイス「ASUS Transformer Book T300 Chi」を、世界初のCore Mプロッサ搭載2in1デバイスとして、改めて明らかにした(写真=右)

 ジェームス氏はさらに、スマートフォンやタブレット市場では、通信機能が重要な役目を果たすとし、新興国市場をメインターゲットに3Gモデムを統合したSoC「SoFIA 3G」を今年第4四半期に出荷する意向であり、同SoCの投入によって、エントリー製品のパフォーマンスを向上させることができると説明。SoFIA 3G搭載スマートフォンで通話するデモも披露した。

 また、中国企業のRovkChipと協業し、SoFIAシリーズを搭載した製品など、積極的にバリエーションを広げていく姿勢を見せる。加えて、カテゴリー6に対応したIntel XMM 7260 LTE-Advanced向け通信プラットフォームを相互運用性試験用に出荷を開始したことを明らかにするとともに、ASUSTeK ComputerともLTEモデムなどの採用で協業体制をとることも示された。

3Gモデムを統合したSoC「SoFIA 3G」は、今年第4四半期に出荷を開始する計画だ(写真=左)。Intelの低価格スマートフォン向けSoCである「SoFIA 3G」搭載のタブレット(左)と、同SoC搭載スマートフォン(右)のリファレンスモデル。ジェームス氏は、このSoFIA 3G搭載スマートフォンで実際に通話するデモを披露した(写真=右)

 続けてジェームス氏は、PCや、タブレットやスマートフォンなどのモバイルデバイス、ウェアラブル機器が、音声認識や顔認証などのナチュラルインタフェースを使って、よりシームレスに連係がとれる環境が12〜18カ月のうちに実現できるようになるだろうという見解を述べ、同社が考える次世代のユーザー体験に関するビデオを公開した。

 さらに同社の3Dカメラ「Intel RealSense」の第2弾製品として、タブレットの背面などに実装しやすいように、厚さを3.28ミリに抑えたモジュールを追加するとともに、2014年版の「Intel RealSense Developer Kit」を第3四半期中に市場投入し、3Dカメラを使ったナチュラルインタフェースの実装を加速していく考えを示した。

Intelは、次世代パーソナルコンピューティングが実現する新しいユーザー体験に関するリサーチにも力を入れている(写真=左)。次世代コンピューティングデバイスでは、スマートフォンに限らず、タブレットや2in1デバイスなどでもワイヤレス受電が当たり前になる(写真=右)

デバイス間を無線LANで接続し、ケーブルやストレージデバイスなしでもデータのやりとりを可能にする

ウェアラブルデバイスとの連係も次世代パーソナルコンピューティングでは重要な要素となる(写真=左)。車に乗れば、車載コンピュータと携帯電話が連係し、ナビゲーションや音声認識によるメールのやり取りなどもサポートできるようになるという(写真=右)

Intel RealSenseの第2弾製品として、タブレットの背面などに実装しやすいように、厚さを3.28ミリに抑えたモジュールを追加(写真=左)。2014年版の「Intel RealSense Developer Kit」では、同社の3Dカメラモジュールが採用される(写真=右)

 ジェームス氏は最後に、コミュニケーションやコンピューティング、センサー、クラウドなどが生活に密接なものとして統合することこそ、パーソナルコンピューティングが向かうべき道だとし、IoTやウェアラブルを含めた次世代のパーソナルコンピューティングデバイスを協力して開発していくことで、引き続きIT市場を盛り立てていこうと、会場につめかけた台湾ベンダーたちに呼びかけて、基調講演を締めくくった。

Intelは、IoTやウェアラブル分野でも台湾企業との協業関係を維持し、パーソナルコンピューティング市場を盛り立てていきたい考えだ

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