Microsoftが6月11日に発表したように、すでにプレリリース版の「OWA for Android」がGoogle Playで配布開始されている。OWAとはOutlook Web Appの略で、スマートデバイスから手軽にOutlookの機能へアクセスできるよう、2013年にiOS版アプリ「OWA for iPhone」「OWA for iPad」を提供済みだ。
今回のOWA for Android Phoneは、Androidにとっては初のネイティブクライアント版OWAだが、現時点ではいろいろと利用条件が厳しい。まずAndroid 4.4(KitKat)以上のOSが必要で、さらに「small」「normal」に該当するデバイスでしか動作しない。つまりKitKatがあっても「Nexus 7」などでは利用できない。
OutlookのメールボックスはOffice 365 for Business用となっており、(日本では未提供だが)Office 365 Personal/Homeといったサブスクリプションのユーザーは対象外となる。その意味では、まだ正式版になる途中の「プレリリース版」といった感じかもしれない。
「Oslo」(開発コード名)は2014年3月に開催されたSharePoint Conferenceで初めて発表された機能(アプリ)で、これを実現するために用いられる仕組みが「Office Graph」だ。このOsloとOffice Graphを紹介したプレゼンテーションがChannel 9で、概要を紹介したものがOffice Blogでそれぞれ参照できる。
機能的にはOffice 365上に記録されている情報を横断的に検索する仕組みとなっており、ユーザーが能動的に情報を探そうとしなくても、個々人にとって“そのときその場所”で重要な情報を整理してサービス自らが提示してくれる。
必要な情報はExchange Online、SharePoint Online、Yammerでのユーザーの活動を基にパーソナライズが行われており、Office Graphによって可視化されている。これを取り出すアプリがOsloというわけだ。Windows 8アプリの形で提供されるが、正式ローンチのタイミングでは正式な製品名が付与されるとのこと。少し暴力的な言い方をすれば、Androidでいうところの「Google Now」みたいなものを想像してみれば分かりやすい。
なお余談だが、Osloは最近のMicrosoftでツールに付与される開発コード名の「街の名前」シリーズの1つとなる(現在進行中のものとして、ほかには「Monaco」「Siena」などがある)。今回のOsloはノルウェーを拠点とする開発チームが指揮を執っていることから付けられた名称のようだが、ほんの少し前までMicrosoftは別のプロジェクトにOsloという開発コード名を用いており、両者を混同しないよう注意が必要だ。
筆者が以前にMicrosoftの開発者会議で聞いたときは、モデル記述言語の開発コード名にOsloの名称が付与され(Channel 9に関連スライドあり)、「The "M" Language」などと呼ばれていた。ここ数年Osloの名称が使われることはなくなったが、もし記憶の片隅にでも残っている方がいたら別物だと考えてほしい。
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