9シリーズマザーフォトレビュー──「MSI Z97 GAMING 9 AC」キーワードは黒と赤と竜

» 2014年07月15日 20時20分 公開
[ITmedia]

2014年に注力するゲーミングマザーボードの最上位モデル

 MSIがIntel 9シリーズに合わせてリニューアルした「ゲーミングマザーボード」シリーズで最上位モデルとなるのが「Z97 GAMING 9 AC」だ。

 MSIのマザーボードライアップにおいてオーバークロックを重視したOverClockingシリーズと汎用利用を想定したClassicシリーズをつなぐ位置づけにあり、OverClockingシリーズに相当するクロックアップ機能を導入し、安定動作のための高品質部材を採用しながらも価格は抑えている。今回紹介する最上位モデルのZ97 GAMING 9 ACの実売価格は税別で3万4800円前後と、OverClockingシリーズのハイエンドモデル「Z97 XPOWWR AC」の4万9800円と比べて安い

 購入しやすい高機能高品質マザーボードということで、MSIも2014年マザーボードの主力と考えている。その最上位モデルとなる「Z97 GAMING 9 AC」を、画像を中心に紹介していこう。

MSIゲーミングマザーボードシリーズの最上位モデル「Z97 GAMING 9 AC」

黒と赤と竜で統一したデザイン

 MSIに限らないが、PCパーツベンダーがインテル 9シリーズチップセット搭載マザーボードの新モデル発表会で訴求するのが「PCゲーミング市場はプラス成長を続けている」という主張だ。ASUSTeKもGIGABYTEもラインアップをリニューアルしてゲーミングマザーボードに注力している。

 MSIがゲーミングマザーボードで重視するのが「デザイン」だ。Z97 GAMING 9 ACでは、マット調のブラックを基調とした基板カラーに、アクセントとしてヒートシンクに赤をあしらっている。この「黒基板とアクセントの赤」という組み合わせは、PCゲームユーザーの購買意欲を確実に刺激するらしく、蛍光グリーンを採用していたGIGABYTEもインテル 9シリーズチップセットを搭載するゲーミングマザーボードのカラーリングを「黒と赤」に変更したが、これも「売り上げが全然違う」(GIGABYTE関係者。ただし海外における実績)という効果があったらしい。

 また、MSIのハイエンドマザーボードでは以前からチップセットヒートシンクのエンブレムなどに「竜」をデザインのモチーフに使っている。Z97 GAMING 9 ACでは、電源回路のヒートシンクに“竜の爪”を模した赤い別部材を組み合わせている。また、これはデザインだけの理由ではないが、バックパネルインタフェースを囲うようなフードや、サウンド関連のコンデンサを保護するカバーパネルも、ある意味「物々しい」雰囲気を演出しているといえる。

電源回路ヒートシンクには竜の爪を模した赤い部材を組み合わせている(写真=左)。チップセットのヒートシンクには、MSIのゲーミング製品でおなじみのエンブレムが(写真=右)

基板レイアウト

 メモリスロットは4基を備え、拡張スロットはPCI Express x16対応を3基、PCI Express x1対応も3基を用意する。3基あるPCI Express x16スロットは、「16レーン1基」「8レーン2基」「8レーン+4レーン2基」という組み合わせでレーン数が切り替わる。マルチGPUはNVIDIAのSLIとAMDのCrossFireをサポートする。SLIの場合は2-wayまで、CrossFireの場合は3-wayまでだ。M.2スロットはPCI Express x16対応の第2スロットと第3スロットの間にある。接続できるのは42ミリ、60ミリ、80ミリまで。

 電源、リセット、そして、MSIの自動オーバークロック設定機能「OC Genie」といったオンボードスイッチはメモリスロットの外側(縦置きすると右上隅)に配置し、テスターで各部の駆動電圧をリアルタイムでチェックできる「V-Check」コネクタもその連なりにある。

拡張スロットは、PCI Express x16が3基にPCI Express x1が3基、そして、M.2を用意する(写真=左)。オンボードで用意した電源、リセット、OC Genie、そして、V-Check(写真=右)。このほかにも、デュアルBIOSの切り替えスイッチなどを用意している

バックパネルインタフェース

 バックパネルのデザインでも、PS/2やUSB 2.0、有線LANに“赤”を効果的に使っている。そのほか8基のUSB3.0にS/PIF出力、HDMI、DisplayPortなどを備える。また、ゲームデバイスを接続するUSB 2.0やオーディオコネクタに金メッキを施すことで、抜き差しに対する耐久性を向上させ、ひずみの少ないサウンド出力を得る。このうち赤で区別したコネクタでは、スタジオグレードのヘッドフォンために増幅した信号を出力できるようにしている。

バックパネルでも規格で色が決まっているUSB 3.0以外では“赤”を使ってデザインのアクセントにしている。USB 2.0とオーディオコネクタには金メッキを施している

Serial ATAとCPUソケット周辺

 Serial ATA 6Gbpsに対応したインタフェースを8基用意している。このうち、6基はIntel Z97 Expressチップセットが制御し、残りの2基はオンボードで用意したASMediaの「ASK1061」が制御する。なお、Intel Z97 Expressが制御する5番6番インタフェースは、M.2にデバイスを組み込んだ場合、無効になる。

 Z97 GAMING 9 ACは、MSIが独自に定める品質基準「Military Class 4」と耐久基準「GUARD-PRO」に準拠している。Military Class 4が求める品質条件を満たすには、「HI-C CAP」「SFC」「DARK CAP」を実装しなければならない。CPU周辺の電源回路にはこれらの部材を実装してMilitary Class 4レベルの基準を満たしていることが分かる。電源回路は12フェーズ構成となっている。

8基あるSerial ATA 6Gbpsのうち、6基がIntel Z97 Expressで制御し、2基をオンボードで用意した「ASK1061」で制御する(写真=左)。Military Class 4レベルの基準を満たす「HI-C CAP」「SFC」「DARK CAP」がCPUソケットを取り囲む(写真=右)

オンボードチップ

 有線LANのコントローラとして、ゲーミングマザーボードで採用例が多い「Killer E2200」シリーズを実装する。Killer E2200が制御する系統とインテルのコントローラが制御する系統のデュアルLANを用意して、利用目的や転送するデータのボリュームに合わせて、適したコントローラを使うことになる。

 USB 3.0の制御は、Intel Z97 Expressチップセットのほかに、ASMediaの「ASM1074」と「ASM1042」を載せている。バックパネルにあるUSB 3.0はすべてASMediaのコントローラが制御し、Intel Z97 ExpressはオンボードのUSB 3.0を担当する。

 サウンド関連では、7.1チャネルHigh DefinitionオーディオとS/PIF出力の制御にRealtekの「ALC1150」を用意し、USB 2.0 High Speed AudioのためにCMediaの「CM6631A」を実装する。MSIはサウンド環境に対して「Audio Boost 2」というブランドをつけて高音質環境をアピールしている。そのために、オーディオ関連回路を物理的に分離したほか、日本のニチコンがオーディオ利用に特化して開発したコンデンサを採用している。

ヒートシンクを取り外してIntel Z97 ExpressチップセットとI/OコントローラのNUVOTON NCT6792、そして、Serial ATA 6GbpsコントローラのASMedia ASM1061がみえる(写真=左)。同じくカバーを外してオーディオ関連回路をみる。金色のチップはニチコンのオーディオ向けハイエンドコンデンサ。RealtekのALC1150とCMediaのCM663A、そして、USBオーディオ専用で電力を供給する「ダイレクトオーディオパワー」対応コネクタが確認できる(写真=右)


 Z97 GAMING 9 ACでは、「クリックBIOS 4」「Gaming APP」など、ソフトウェアでも注目したい機能を多々用意している。このあたりの挙動や効果については、機会を改めて紹介したい。

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