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「Surface Pro 3」に死角ありか?――パフォーマンス、スタミナ、発熱、騒音をテストSurface Pro 3徹底検証(1)(4/5 ページ)

» 2014年07月30日 17時30分 公開
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ボディの表面温度は負荷によってどう変わるか?

 Surface Pro 3とSurface Pro 2は、薄型軽量タブレット向けのAtom Z3000シリーズ(開発コード名:Bay Trail-T)やAMR系プロセッサと異なり、TDPが桁違いの第4世代Core Uシリーズを採用するため、ボディにファンを内蔵している。Surface Pro 3は新設計の大きなファンを1つ、Surface Pro 2は小さめのファンを2つ内蔵した冷却機構だ。ボディの素材はマグネシウム合金を採用している。

 ファンを内蔵した第4世代Core搭載のタブレットは、背面に通風口があったりと、武骨な見た目になりがちだが、Surface Pro 3もSurface Pro 2もボディ側面の継ぎ目に沿って、目立たないよう細かなスリットを設けており、外観からファンの存在を意識しにくいよう仕上げている。この点はキックスタンドの機構と合わせて、よくできたデザインだ。

Surface Pro 3 左がSurface Pro 2、右がSurface Pro 3で上から見た様子。ボディ側面と背面の継ぎ目に沿うように、細かなスリットが多数空けられており、デザインとしてうまく通風口を処理している

 先ほどのテストではプロセッサのコア温度をモニタリングしたが、実際に手が触れるボディの表面温度はどうなっているのだろうか。段階的に負荷をかけながら、放射温度計で計測してみた(室温は26.5度)。WebブラウザでYouTubeのSD動画を30分連続再生した低負荷時と、その後に3DMark/ICE Storm Extremeを30分連続実行した高負荷時の2段階で、計測を行っている。

 Surface Pro 3とSurface Pro 2は、キックスタンドを開いて同じチルト角度(設置面から約114度)に固定し、タイプカバーとタイプカバー2をそれぞれ装着した状態でテストした。これが最もよく使われるスタイルと予想されるからだ。背面・下段・左/中央/右の結果は、キックスタンド内側の温度を計測している。

Surface Pro 3 低負荷時(YouTubeでSD動画を30分連続再生)のボディ表面温度
Surface Pro 3 高負荷(3DMark ICE Storm Extremeを30分連続実行)のボディ表面温度

 Surface Pro 3は背面の左上半分から中央にかけて発熱しやすい。室温26.5度の環境で背面の左側が低負荷時に36度まで、高負荷時には46.4度まで大きく上昇し、触れたくないほど熱くなる。その一方で背面の右側は熱が伝わらず、クールなままだ。つまり、正面から左手でボディを持つ際に発熱はさほど気にならない。高負荷状態が続いてサーマルスロットリングが働くと、表面温度も次第に下がっていき、低負荷時の発熱に近くなる。

 対するSurface Pro 2は全体的に温度がばらつかず、ボディ全体が徐々に温まっていく。背面は低負荷時で32.2〜33.6度の範囲内におさまっており、発熱は感じにくい。高負荷時でも44.5度と、Surface Pro 3の最高温度より約2度低かった。2つのファンとマグネシウム合金製ボディ全体を使って、うまく放熱している印象を受ける。ただし、左手でボディを持った場合、Surface Pro 3よりほんのり温かい。

 いずれも開いたキックスタンドに熱が伝わりにくいのはもちろん、装着したタイプカバーとタイプカバー2には発熱源となるパーツがないため、タブレット本体の負荷に関係なく、キーボードとタッチパッドはいつでも快適に扱える。文字入力中に手のひらに熱を感じないのは、クラムシェルノートPCに比べて優位な点で、作業に集中しやすい。

ファンの存在を巧みに隠したボディだが、静音性はどうか?

 パフォーマンスと放熱のバランスを取るうえで重要なファンの騒音も計測した。起動後に30分放置したアイドル時、続けてWebブラウザでYouTubeのSD動画を30分連続再生した低負荷時、その後に3DMark/ICE Storm Extremeを30分連続実行した高負荷時の3段階で、計測を行っている。騒音計はタブレット本体から手前5センチに設置した。環境騒音は28.5デシベル、室温は26.5度だ。

Surface Pro 3 騒音テストの結果

 Surface Pro 3もSurface Pro 2も低負荷時は非常に静かだ。アイドル時やYouTubeでのSD動画再生時では、上面のスリットに耳を近づけると、ファンの「サー」という回転音がかすかに聞こえる程度で、ファンの存在をほぼ感じない。エアコンなど家電の動作音でかき消されてしまうほど、ファンは低速で回転しており、排気口からの熱風が気になることもなかった。騒音計の値も環境騒音とほとんど変わらない。

 高負荷の状態ではファンが高速回転し、確かな風切り音が聞こえてくる。Surface Pro 3で40.5デシベル、Surface Pro 2で39.5デシベルまで騒音レベルが上がった。しかし、ファンノイズに高周波音など耳障りな異音が混じっていないため、少なくとも出荷状態ではモバイルPCとして静音性が高いと言える(もちろん、ファンの経年劣化などで音の傾向が変わる可能性もある)。

 本来、手に持って使うタブレットではファンレス設計が望ましいが、第4世代Core搭載でパフォーマンスにも配慮したSurface Pro 3では放熱にファンが必須だ。しかし、ボディデザインでも、騒音の面でも、ファンの存在を巧みに消し去る工夫がなされているため、他のファン内蔵Windowsタブレットに比べて洗練された印象を受ける。こうした作り込みは見事だ。

 その一方で前述のテスト結果が示すように、高負荷時に放熱が厳しくなり、サーマルスロットリングに陥りやすいことは注意したい。


 次のページでは、Surface Pro 3とSurface Pro 2のバッテリー駆動時間を計測する。

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