内蔵バッテリーの容量は新旧モデルとも42ワットアワーと同じだ。今回は実際にWebブラウザと文字入力を想定したBBenchでバッテリー駆動時間を計測した。タブレット単体の状態、タイプカバーとタイプカバー2を装着した状態の2パターンで計測している。液晶ディスプレイの輝度は50%で固定、無線LAN、Bluetoothはともにオンの状態だ。タイプカバーとタイプカバー2のバックライトは消灯している。室温は26.5度。
テスト結果(満充電から残量5%まで)は、タブレット単体でSurface Pro 3が8時間49分、Surface Pro 2が8時間55分とほぼ同じだった。そこからタイプカバーとタイプカバー2を装着すると、25〜35分程度バッテリー駆動時間が短くなる。画面サイズを大型化し、薄型化と軽量化も進めたうえで、前モデルとほとんど変わらないバッテリー駆動時間を確保しているのは素晴しい。
バッテリーオプションなどは用意されていないが、モバイル利用を想定した第4世代Core搭載ノートPC兼タブレットとして十分なスタミナと言える。
なお、Surface Pro 3はACアダプタも改良している。奥行きは90ミリと従来比で4ミリ短く、厚さは22ミリと従来比で7ミリ薄くなり、重量は電源ケーブルを含めて203グラムと従来比で41グラム軽くなった。出力は12ボルト/2.58アンペア(従来は3.6アンペア)となり、5ボルト/1.0アンペアのUSB充電ポートが付いているのは変わらない。
マグネットで接続するACアダプタのDC端子も薄くなり、手探りでもタブレット本体に接続しやすくなった。従来の太めのDC端子は手探りで接続しにくく、慣れないとマグネットで吸着しても接触不良で充電できていないようなことがあったため、この変更は地味だがありがたい。接続時は端子が白く光る。
以上、Surface Pro 2と比較しながら、パフォーマンス、バッテリー駆動時間、ボディの発熱、騒音をじっくり調べた。その結果は、Surface Pro 3はモバイルPCとして、本体の薄さと軽さ、見栄えのよさ、タブレットとしての静音性と放熱性を優先しており、PCとして最高パフォーマンスを維持し続けるための冷却強化にはそこまでこだわらない――そうしたトータルバランスになっているというものだ。
仮にボディの厚さをSurface Pro 2に近くすれば、放熱面は万全だっただろうが、洗練されたボディという印象にほど遠い製品になってしまっただろう。そのほうがPCとして堅実な作りかもしれないが、Surface Pro 3に魅了されるユーザーの数は確実に減ったに違いない。CPUマイクロアーキテクチャの世代が同じで、ここまで薄型化と軽量化を果たしたため、そのしわ寄せがパフォーマンスや発熱面に及ぶのは、考えてみれば当然だ。
総じて、Surface Pro 3は同等スペックのUltrabookなどクラムシェルのモバイルノートPCに比べて、最高性能を発揮できる時間が短いため、とにかくハイパフォーマンス志向でクリエイティブな作業やゲームを長時間こなせることが必須というニーズでは、他の製品を選んだほうが無難だ。
しかし、タブレットスタイルで横位置でも縦位置でも広く使えるアスペクト比3:2の大画面ディスプレイや、OneNote連携が強化されてデジタルノート用途で使いやすくなったペン機能、改良されたキックスタンドとタイプカバーによるクラムシェルノートPCの代替用途と、Surface Pro 3だから1台でまとめて実現できる価値は他では味わえない。スペックの割に入手しやすい価格設定も魅力に映る。こうした部分に引かれるならば、Surface Pro 3の満足度は高いはずだ。
次回からは、Surface Pro 3独自の特徴について掘り下げていこう。
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