duck氏直伝のLN2冷却テクニック満載!「納涼、夏の極冷オーバークロック体感イベント」ボクたちはここでLN2冷却の真実を知った(2/3 ページ)

» 2014年08月08日 10時00分 公開
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よーし、みんなが望むなら液体窒素を使おう

 PC USERが考えていた計画では、「事故が起きてからでは大変だから、液体窒素を使う極冷はduckさんのシステムだけで行いましょう、はっはっは」だったが、duck氏は「いや、参加者全員に液体窒素の冷却を体験してもらいたい」と考えて、参加者のシステムすべてに取り付ける極冷機材を自前で用意してくれていたのだ。

 「もう、ここで、あれを出しましょう」というduck氏の言葉で、イベントの内容は「液体窒素を使って参加者が自ら極冷する実戦講座」に一気に方向転換した。参加者チームは、duck氏が用意した銅製ポットユニット(液体窒素を入れてCPUを冷却する)や簡易養生に使うカット済みシート、銅製ポットユニットに測定素子を接着した工業用温度計、そして、オーバークロック耐性に優れたメモリモジュールを使って、自分たちの手でシステムの「養生」を始めた。

「こんなこともあろうかと」duck氏は参加者全チームにいきわたるだけの銅製ポットを自前で用意していた(写真=左)! duck氏は工業用温度計も参加チームの数だけ用意していた。「氷点下になるとマザーボードの温度センサーが機能しなくなるため、専用の温度計が必須になる。しかし、参加者も「こんなこともあろうかと」自分の専用温度計を持参していた(写真=右)! 

 とはいえ、初めての極冷養生なので、まずは、duck氏が手本を示す。今回紹介したのは、短時間の極冷に対応する簡易的な方法だ。長時間戦う本格的なオーバークロック大会では、過冷却による結露や凍結からシステムを守るため、基板全体にワセリンや油を塗るなど大掛かりで時間のかかる養生を行うが、短時間の極冷ならばもう少し簡易的な養生でも大丈夫とduck氏は説明している。

 今回の養生では、CPU固定金属カバーとポットとのすきまをふさぐために和紙のテープを貼り、CPUソケットの周囲にある電源回路エリアにティッシュを敷き詰め、最後に、その上からキッチンペーパーのように肉厚の紙製シートをCPUソケットの部分を四角くカットして重ねている。

 なお、養生について参加者から「海外のオーバークロックイベントでは、練り消しゴムや粘土を使って基板を養生しているようだが」と質問があったが、duck氏は、「極冷すると固くなってしまうのと体積が減ってすきまができてしまうので、基板の養生方法としては適していない。オーバークロッカーも最近では使っていない」と説明している。

CPUソケットのリテンションに和紙テープを貼り、CPUソケットの周囲にティッシュを敷き詰め(写真=左)、その上から肉厚の紙シート重ねる(写真=右)。短時間の極冷なら、基板にワセリンなどを塗らなくても、この程度の養生でも十分だ

 養生がすんだら、いよいよ銅製ポットをCPUに置く。CPUにグリスを塗ってポットを載せるが、duck氏は「グリスはできるだけたくさんモリモリと塗る」と極冷Tipsを教えてくれた。銅製ポットの自重で固定するので、グリスの粘着力と厚みが必要になるという。

 なお、銅製ポットでは必ずしておかなければならない重要な養生がある。液体窒素でマイナス100度にもなる銅製のポット本体に素手で触ると皮膚が張り付いて大変な事故につながってしまう。そのため、銅製ポット本体には断熱マットをまいておかなければならない。

グリスをモリモリッと塗って(写真=左)、銅製ポットをズズンと載せる(写真=右)。自重とグリスの粘性で意外としっかり自立する

 養生がすんで銅製ポットも載せた。しかし、冷気体窒素を注ぐのはまだだ。ここで、銅製ポットになにもいれない状態でシステムを起動し、“空だき”してグリスを温め、CPUと銅製ポットの密着度を高める。空だきの目安は、CPU温度が50〜60度になるまで。しかし、時間がないイベントや大会では、ガストーチを使って加熱することも多々ある。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2014年8月24日