WiMAX 2+対応ルーター「HWD15」は買い?/モバイルWi-Fiルーターのアップデート悲喜こもごもルータープリンスの「5分で知る最近のモバイル通信&ルータ事情」(2/2 ページ)

» 2014年08月14日 18時57分 公開
[島田純,ITmedia]
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既存のモバイルWi-Fiルーターが続々とアップデート

 新発売となったモバイルWi-Fiルーター以外に、既存の機種へのアップデートによる機能追加などや不具合の修正も多くあった。

 NECプラットフォームズ(旧NECアクセステクニカ)は、モバイルWi-Fiルーター「MR03LN」向けにソフトウェアバージョン2.0.0を公開。主な更新内容は「EMOBILE LTEへの対応」とされており、従来はドコモおよびそのMVNOでのみ利用可能だった同端末が、EMOBILE LTEでも利用可能となる。

 メーカーのWebサイトでは公式に「SIMロックフリー」とは紹介されていないものの、対応する周波数などからはドコモとそのMVNO向けの製品であるMR03LNを、EMOBILE LTEだけに対応するメリットは薄い。今回のソフトウェア更新によってSIMフリー化したと思われるが、残念なことにMR03LNの最新版ソフトウェアは7月29日に公開後、8月1日から一時公開停止となっており、本稿執筆の8月10日時点で新たにダウンロードできない(外部リンク参照)。

 ドコモの販売するモバイルWi-Fiルーター「Wi-Fi STATION L-02F」と「Wi-Fi STATION HW-01F」向けのソフトウェア更新では、ソフトウェア更新を適用することでLTE国際ローミングが利用可能となる。

 LTE国際ローミングの対応でうれしいのは、本来の目的である「LTE国際ローミング」以外にも、SIMロックを解除して海外のプリペイドSIMなどでのLTE接続も可能になった点。これまで、ドコモのモバイルWi-Fiルーターは、LTE対応かつSIMロック解除が可能であっても、LTE国際ローミングに非対応であるためか、「海外のSIMカードを使うとLTE接続できない」という制限があった。

 今回公開されたソフトウェア更新を適用し、LTEが利用可能な海外のSIMカードを利用すれば、ドコモのモバイルWi-Fiルーターを海外のLTEネットワークで利用することが可能になる。ただし、LTEの周波数は国や事業者によって異なっているため、全ての事業者のネットワークで利用が可能とはならない点には注意が必要だ。

photo SIMロック解除したHW-01Fをタイの「DTAC」のLTEに接続

 WiMAX 2+対応のモバイルWi-Fiルーターでは、NAD11向けのソフトウェア更新が提供開始。NAD11向けでは初のソフトウェア更新では、連続通信中にモバイルネットワークが圏外になる不具合などが修正された。筆者の環境では、ソフトウェア更新後にはモバイルネットワークが圏外になる症状は発生していない。

 ワイモバイルのGL10PとGL09P向けには、SoftBank 3Gの2.1GHz帯に対応するソフトウェア更新が提供された。新たにSoftBank 3Gの2.1GHz帯に対応することで、両機種がサポートするモバイルネットワークは、AXGP、EMOBILE LTE、SoftBank 3G(2.1GHz帯/1.5GHz帯/1.7GHz帯)となる。

 両機種が接続するネットワークは、自動的に最適なネットワークに接続される仕様となっているため、ユーザー側で接続するネットワークを意識することはないが、SoftBank 3Gの2.1GHz帯への対応によって、より広いエリアで利用が可能となるのは既存の利用者としてはうれしい。

photo ソフトウェアアップデートでSoftBank 3Gの2.1GHz帯に対応したGL10P

海外では下り最大300Mbps対応のモバイルWi-Fiルーターが発売

 国内で販売されているモバイルWi-Fiルーターでは、下り最大150Mbpsに対応するドコモのL-02FやHW-01Fが現時点で“国内最速”だが、海外ではキャリアアグリゲーションを採用した、下り最大300Mbpsの製品が登場している。

photo シンガポールで発売された下り最大300Mbps対応のモバイルWi-Fiルーター「E5786」

 シンガポールの通信事業者SingTelは、7月23日に下り最大300Mbps対応のサービスを提供開始し、対応端末としてHuawei製のモバイルWi-Fiルーター「E5786」を投入した。同機種の販売価格は端末単体で399シンガポールドル(約3万3000円)となっており、SingTelのショップやオンラインストアなどで購入できる。

 E5786は、同社が発売するモバイルWi-Fiルーターとしては「E5776」の後継にあたる製品で、SIMカードサイズがmicroSIMに変更されており、microSIM採用のスマートフォンとSIMカードが使い回ししやすい、また、SIMカードそのものが出し入れしやすくなっている、端末ディスプレイ上にSSIDとパスワードが常時表示されるなどの点で、従来機種よりも使い勝手が改善している。

 E5786の日本国内での販売については未定だが、今後のモバイルWi-Fiルーターの通信速度高速化には、キャリアアグリゲーション対応が重要なカギを握りそうだ。

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