11.6型ワイド液晶ディスプレイの表示解像度は1366×768ピクセルだ。画素密度は約135ppi(pixel per inch:1インチあたりのピクセル数)と平凡で、ドットの粒が視認できる。ただし、視野角の広いIPSパネルを採用し、十分な明るさもあるため、視認性はよい印象を受ける。タッチ操作で利用する場合、アイコンやメニューなどの表示サイズが標準設定でちょうどよい。
キーボードはキー間隔が離れたアイソレーションタイプだ。84キー仕様と少しキー数が少ないが、配列は比較的素直で、キーピッチは実測で18(横)×18(縦)ミリと比較的余裕がある。キーストロークは非公表だが、1.5〜2ミリくらいはある感触だ。細かいことを言えば、強めにタイプすると中央部が若干たわむほか、スイッチの反発がやや強めだが、おおむね押下感は良好といえる。
キーボードの手前には、左右ボタン一体型のクリックパッドがある。滑りが特によいわけではないが、実測で105.5(横)×60.5(縦)ミリと十分なサイズがあり、ボタンの感触もよく、操作性は悪くない。クリックパッドにはデル独自のタッチパッドユーティリティ(ドライバはシナプティクス製)が導入されている。Windows 8.1のチャーム表示のほか、2本指での上下スクロール、回転、つまみズームなどのジェスチャー操作が可能だ。
Inspiron 11 2 in 1シリーズの基本システムには、開発コード名「Bay Trail-M」で知られる低価格デスクトップ向けSoC(System On Chip)を採用している。最廉価のエントリーモデルである評価機が搭載しているのは、その中でも下位にあたる2コア/2スレッド対応のCeleron N2830(2.16GHz/最大2.41GHz)だ。気になる性能面については後ほど見ていこう。
メモリは4Gバイト(PC3-10600)、データストレージは500Gバイトの2.5インチHDD(5400rpm)を備えている。低価格モデルでは、コストの制約があるため、十分な容量で高速なSSDを搭載するというぜいたくな構成は望めない。小容量で比較的高速なSSDか、大容量だが低速なHDDかを判断するわけだが、Inspiron 11 2 in 1では後者を選んでいる。Windows 8.1ではストレージ容量に余裕があったほうが使いやすいという判断なのだろう。
筆者の個人的な意見としても、コスト的にSSDの選択肢が64Gバイトクラスしかないのならば、容量に余裕があるHDDの採用には賛成だ。経験上、いくらクラウドを活用しても64Gバイトクラスでは窮屈に感じるし、Windows 8.1は「軽い」OSだけにHDDでも比較的ストレスを感じないからだ。ただし、4種類のラインアップすべてがHDDであり、できればSSDを搭載したモデルも用意してほしかったところではある。
通信機能はIEEE802.11b/g/nの無線LAN、Bluetooth 4.0を標準装備している。USB 3.0を1基(電源オフチャージ対応)、USB 2.0を2基装備するほか、2in1カードリーター(SDXC対応SDメモリーカード/MMC)、HDMI出力、720p対応のHD Webカメラを装備するなど、端子類も実用上問題ない内容だ。
ステレオスピーカーも内蔵し、音響ソフトウェアとしてはWaves MAXX Audio Proが導入されている。若干のチープさは感じるものの、パワーはそれなりにあり、映像や音楽コンテンツを再生したときに落胆するようなことはないだろう。
各種ベンチマークテストの結果を見てみよう。評価機のスペックをおさらいすると、2コア/2スレッド対応のCeleron N2830(2.16GHz/最大2.41GHz)、4Gバイトメモリ(PC3-10600)、5400rpmの2.5インチ500GバイトHDD、CPU内蔵のIntel HD Graphics、64ビット版のWindows 8.1 Updateといった内容だ。
まずはCPU性能を評価するCINEBENCHから。CPU(マルチスレッド対応)スコアは控えめな結果だ。同じBay Trail-Mでも、上位モデルが搭載するPentium N3530(2.16GHz/最大2.58GHz)は4コア/4スレッドに対応するのに対し、Celeron N2830は2コア/2スレッド対応であることが響いている。しかし、動作クロックは最大2.41GHzとなっており、CPU(シングルコア)スコアではやや挽回した。
ストレージ性能を計測するCrystalDiskMarkのスコアは、2.5インチHDDとしてはよいほうのスコアだろう。それでもやはりSSDを搭載している上位クラスの2in1に比べると見劣りしてしまう部分だ。
システム全体のパフォーマンスを評価するPCMark 7の総合スコアは、1年半〜2年ほど前に主流だったAtom Z2760(開発コード名:Clover Trail)世代のWindowsタブレットより若干よい程度だ。3DMarkやFINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編でチェックした3D描画性能はそこまで低くないが、総じてエントリークラスの性能にとどまる。
実際の使用感としても、Clover Trail世代のタブレットに近いものがある。遅くて困るほどではないが、最新世代のタブレットとしては、Windowsの操作でワンテンポ遅れるような感覚があるのは否めない。4コアCPUでは使用感がかなり違うと思われるので、予算に余裕があるならば、Pentium N3530を搭載した上位モデル(5万9979円〜)をおすすめしたい。
液晶ディスプレイの表示品質を確認するため、エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1Pro」とソフトウェア「i1Profiler」を使用し、実機のガンマ特性と色域を確認した。
ガンマ特性は低価格モデルとは思えないほど優秀だ。RGBの3本線がきっちりそろっている。この測定で作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示したところ、sRGBの色域(色の付いた部分がInspiron 11 2 in 1で再現できる色域、グレーの部分がsRGB規格の色域)には及ばず、発色はノートPCでは標準クラスだ。
複数回計測した最大輝度は300カンデラ/平方メートル前後、色温度は約7600Kという計測値だ。十分に明るく、色温度は標準的な6500Kより高めだ(白がわずかに青みがかって見える)。IPSパネルの採用で視野角も広く、画質は良好と言える。
※Windows 8.1の電源プランは「バランス」に設定
※液晶ディスプレイは1時間以上オンにし、表示を安定させた状態で中央付近を測定
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