トレンドというほどではないが、最近のネットワークカメラに搭載されることが多く、製品選びの際にチェックすべき機能をざっと見ていこう。
防犯・監視用途からホームユースに至るまで、さまざまな用途で重宝するのが「暗視機能」だ。その名の通り、暗い部屋でも被写体を撮影できる機能である。赤外線を利用して撮影する機能をこう呼ぶ場合が多いが、低照度環境で感度を増幅して撮影を可能にする機能も含めて暗視機能の1つとしている製品もある。後者の場合、最低被写体照度が何ルクスであると仕様欄に明記してあることが多いので、製品間の比較にも役立つ。
また明暗の差が激しい映像で、暗部だけを明るく補正する機能も、これに関連して扱われることが多い。特性はそれぞれ異なるが、光量不足で撮影しにくい状況下で、被写体をくっきりと際立たせるのに便利な機能だ。実機で確認しなければ違いが分かりにくい機能だが、多くの製品はメーカーサイトにサンプルの画像が掲載されているので、おおよそのイメージはそちらで確認できるだろう。
もう1つは「動体検知」だ。撮影範囲内で動きがあれば撮影を行うという機能で、録画と並行して管理者にメールで通知するのはもちろんのこと、上位の製品になると警告灯を明滅させられるものもある。常時録画するにはデータ量が多すぎる場合に重宝する機能だが、録画をせずに映像を流しっぱなしにする用途では必要とされないため、用途によって必要か不要かが比較的はっきりと分かれる。
特定用途でのみ使われる機能として「音声の入出力」もある。カメラが捉えた音声をリモートで聞くことに加えて、管理者の側からカメラの向こうに呼びかけられるという機能だ。前者は映像だけでは確認できない物音をチェックするのに役立ち、後者は防犯カメラとして使用する際に侵入者へ警告したり、カメラの向こうのペットに呼びかけるといった用途にも使われる。
製品によってはマイクやスピーカーの接続が必要になる場合もあるので、音声入出力の機能が必須という場合は、使い方をよく確認しておいたほうがよいだろう。
最後に、用途によって必要か不要かが比較的はっきりと分かれる、2つの機能についてチェックして締めとしよう。
1つめのPTZ(Pan-Tilt-Zoom)と呼ばれる「パン/チルト/ズーム対応」は、用途によって要不要が分かれる代表例だ。パンは左右方向の首振り、チルトは上下方向の首振り、ズームは部分拡大で、いずれの機能も被写体を適切に捉えるのに役立つ。
しかし、画角を固定して全体を記録しておく用途には向かない機能なので、その場合は固定タイプの製品のほうがよい。複数のメンバーが映像をチェックする場合も、あらぬ方向にカメラを動かされてしまったということが起こりやすく、ユーザーに利用を開放している場合ではいたずらの対象となる場合もある。
またパン/チルトの動作音は製品によってかなりの差があるので、できれば実機でチェックしたいポイントの1つだ。撮影していることをなるべく意識させたくないシチュエーションにおいては、カメラ部がむき出しで回転するタイプよりも、半球形になったスモーク状のドームにカメラ部が覆われたタイプを選ぶほうが、動作音の点からも、また見た目の点からも有利だ。
パン/チルト機能をチェックする場合、どれだけの角度をカバーできるかは確認しておくようにしたい。広角レンズと組み合わせてほぼ死角のない撮影を可能にしている製品もあれば、ひとまず動かせるだけといったレベルの製品もあるほか、中には手動で向きを変えられるだけの製品もあるからだ。
またズームについてはその多くがデジタルズームで、カメラ自体にある程度の画素数がないと映像を引き伸ばしても見づらいだけなので、低スペックの製品ではあまり実用性に期待しないほうがよいだろう。
もう1つの「防水機能」も、用途によって必要か不要かがはっきりと分かれる。屋外に設置するためには欠かせない機能だが、構造上どうしても高価になるため、個人向けの製品としてはラインアップ自体が存在していない。
特にPC周辺機器メーカーが発売するネットワークカメラではこの傾向が顕著で、屋内向けのモデルに限定した品ぞろえであるケースがほとんどだ。法人向け製品についても、10万円オーバーは当たり前、どれだけ安価な製品でも実売5万円程度と、そこそこの予算が必要になる。
そのため、例えば駐車場を監視するという用途であれば、屋外に設置するよりも、駐車場が窓から見える室内に設置することで目的を達せられないか、まずは確認すべきだ。屋外に設置するとなると、配線や電源の問題のほか、気温の上昇に対する対策、さらに盗難対策なども必要になり、コストがうなぎ登りになる。複数台を設置するともなればなおさらだ。
こうした点も踏まえて、やはり屋外設置が必要だと判断した場合のみ、JIS保護等級「IP66」(粉塵が侵入しない、波浪またはいかなる方向からの水の強い直接噴流によっても影響を受けない)準拠などのキーワードを基に、製品をチェックするとよいだろう。
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