3DMarkのスコアは、負荷の軽いIce StormではCore i5-4460が優位だが、それ以上の負荷のテストでは同等かAMD FXが高いスコアを示すものが多かった。個別のテストで見てもCloud Gateが境目というのは同じだが、Graphicsテストでは、AMD FXとCore i5-4460との間に大きな差はなく、PhysicsテストではAMD FXが明確に優位に立っていた。
実ゲームタイトルのファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編では、スコアもフレームレートも、3つの環境でほぼ同じスコアだ。厳密には、Core i5-4460がわずかに高いスコアではあるが、差を体感できるほどではない。
消費電力に関しては、AMD FXがまだ高い傾向にあることは否めない。パフォーマンスの面ではCore i5-4460に対していい勝負となるが、アイドル時は2倍近く、CINEBENCH R15実行中の最大値では2倍以上消費電力が大きかった。ただし、3DMark実行中に関しては、CPUの負荷がそこまで大きくないため、20ワット程度の差に収まる。ゲーム中に関してのみに限定すれば、消費電力にそれほど差はないということになる。
今回の評価システムでは新GPU「Radeon R9 285」を搭載したグラフィックスカードを使った。単純にスペックのみ見れば、すでに登場しているRadeon R9 280よりストリームプロセッサやテクスチャユニットが少なかったり、動作クロックが低かったりメモリバスが狭かったりするが、新世代のGPUコアとなる「Tonga」がどのようなパフォーマンスを示すだろうか。
今回はCore i7-4790Kでこれを用いた場合にどうなるかを3DMarkとバトルフィールド4(最高画質)で計測した。
3DMark v1.3.708 | Overall | Graphics | Physics |
---|---|---|---|
Ice Storm | 149488 | 368340 | 48543 |
Ice Storm Extreme | 138344 | 295438 | 48355 |
Ice Storm Unlimited | 157702 | 329473 | 55834 |
Cloud Gate | 24244 | 52968 | 8366 |
Sky Diver Performance | 20962 | 25318 | 10985 |
Fire Strike Performance | 7188 | 8133 | 11678 |
Fire Strike Extreme | 3585 | 3723 | 11674 |
バトルフィールド4(最高画質) | Radeon R9 285(Sapphire R9 285 2G GDDR5 DUAL-X OC) |
---|---|
1280×720ピクセル | 78.42 |
1600×900ピクセル | 59.82 |
1920×1080ピクセル | 46.63 |
3DMarkに関しては、Fire Strikeのスコアで7188を記録した。バトルフィールド4(最高画質)に関しては1600×900ピクセル条件でおよそ60fpsだが、1920×1080ピクセルはやや力不足を感じるところだ。GeForce GTX 760対抗というポジショニングはおおよそ合っている。今回はDirectX 11環境でテストしているが、Mantleを使えばもう少し向上すると考えられる。Mantle環境でならば1920×1080ドットでも50fps台に乗り、プレイも快適になるものと見られる。
今回の計測のように、FX-8000番台の2つの新モデルは、Core i5の通常モデルに対してはなかなか善戦している。消費電力はまだ高いが、ディスクリートGPUを組み合わせたゲーミングPCとして検討するのであれば、アイドル時を除いて、そこまで大きな消費電力差にはならないようだ。PCを起動したら、すぐにゲームを起動し、十分に遊んだらすぐシャットダウンする、といった用途であれば、Core i5とそこまで大きく変わらない消費電力で収まる、といえる。とはいえ、そういう使い方が現実的かどうかはユーザーによって大きく変わるだろう。
価格的には、FX-8370とFX-8370eともに2万1980円前後になるようだ。Core i5-4460は1万9000〜2万円といったところでAMD FXがわずかに高いが、時間がたてば差はそこまで大きくなさそうだ。Socket AM3+マザーボードのユーザーであればCPUだけの交換で済むし、新規購入でもミドルレンジのコストで導入できるだろう。チップセットも、AMD 990FXよりコストを下げたければ990Xや970と組み合わせることができる。
ただし、長らくプラットフォームの変更がなく、CPUの新モデル投入もしばらくなかっため、マザーボードの選択肢は少なくなっている。AMDのCPUを選ぶ場合、にここがネックとなるのは否めない。とはいえ、AM3+ユーザーに新しい省電力タイプの選択肢が登場したというのは朗報といえるだろう。
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