裏技伝授! Intel Club Extremeオーバークロックイベント液体窒素、CPUのOCで1時間何リットル?(2/2 ページ)

» 2014年09月11日 10時00分 公開
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duck氏、LN2冷却定番アイテムの秘密に言及

 イベントの後半は、オーバークロッカーのduck氏が登場して液体窒素冷却を使った極冷オーバークロックのパフォーマンスを堪能した。数多くの世界記録や国際規模のオーバークロック大会でトップクラスの実績を残してきたduck氏のテクニックとチューニングセッティングを実際に見ることができる機会だけあって、来場者は会場のディスプレイに釘付けになっていた。

オーバークロックセッションに登場したのは世界トップクラスの経験と技術を持つオーバークロッカーのduck氏だ

 なんと、duck氏のオーバークロックテクニックを生で見たいがために、北海道から駆けつけた参加者もいたほどで、当初、イベントの開場前にオーバークロックシステムを構築して養生などもしておく予定だったのを、「duck氏の養生工作を見たい!」という“熱い”リクエストに応えるべく、システムの構築や養生をイベントが始まってからステージ脇のエリアで来場者に見てもらうという予定外のサービスもあった。

 来場者の中にはベテランの自作PCユーザーも多くいて、実際にオーバークロックを行っているユーザーも少なくなかった。しかし、液体窒素を使う冷却まで経験したことがあるのは皆無。だから、液体窒素を使った冷却は「白煙モクモクで迫力ある光景」は知っていても、具体的なことはなにも知らない、というのが普通だ。それこそ、液体窒素を注ぐ入れ物が「コンビニエンスストアのおでんカップ」というのも驚きだったりする。

 このおでんカップとおやつカンパニーの「ブタメン」カップは冷却窒素を使うオーバークロッカーには定番のアイテムだったリする。duck氏はおでんカップについて「セブンイレブンがベスト」と言及。その理由は、「ほかのコンビニは紙のカップを使う。紙では冷たくなって使えない。ブタメンもこの材質だから液体窒素を入れても耐えられる」と定番アイテムのTipsを紹介した。

液体窒素冷却に使うシステムはduck氏が長年使い込んできたもの。“ブタメン”カップも液体窒素冷却では定番のアイテムだ

 イベントでは、マザーボードの養生として多数のタオルをかぶせていた。液体窒素を使う冷却では基板上の結露を防ぐために養生が必須となる。オーバークロック大会などではワセリンや油を使った本格的な工作が必要だが、duck氏はタオルを使った簡単な養生でも短時間の冷却なら十分対応可能と説明する。「液体窒素の冷却でも普段使っているもので十分できるんです」(duck氏)

 CPUは“Devil's Canyon”ことCore i7-4790Kを使った。duck氏によると、オーバークロッカーはCPUを開発コード名で呼ぶことはせず、常にプロセッサー・ナンバーで識別するという。オーバークロッカーにとって、アーキテクチャの世代を示す開発コード名より、動作クロックを示すプロセッサー・ナンバーが重要であることを物語る興味深い逸話だ。なお、マザーボードはIntel Z97 Expressを搭載するASUSTeKの「MAXIMUS VII FORMULA」を使っていた。

今回のイベントでduck氏が用意したシステム。マザーボードは「MAXIMUS VII FORMULA」で、グラフィックスカードはGALAXY SystemsのHOFシリーズ独特の白い基板にGeForce GTX 780 Tiと8ピン+8ピン+6ピンの外部補助電源を用意したスペシャルバージョンだ

 液体窒素による冷却は、マイナス100度以上の超低温を測定できる工業用温度計をにらみながら、ターゲットの温度を維持するために液体窒素を注いでく作業に終始する。実況を見ている視聴者からは「アナログだな〜」とのコメントもあったが、duck氏は「このアナログさがなくなったら誰もオーバークロックはやらなくなるでしょう」と語る。

 温度の把握にはマイナス100度といった超低温を測定できる工業用温度計とともに、ASUSTeKのマザーボードに付属している「OC Panel」も使っていた。ただ冷やせばいいものではなく、冷やしすぎるとCPUやGPUが動かなくなる温度を個体ごとに見つけ出し、その温度からわずかに高い温度帯で一定に保つテクニックが重要になる。

 さらに、液体窒素の冷却では、動かなくなるまでに下げすぎた温度を急いで上げて、CPUやGPUの動作を復活させる必要もある。そこでduck氏が見せたのは、冷えた銅製のポットをガスバーナーであぶるという、「思いっきり冷やして思いっきり熱する」力技だ。ちなみに、ガスバーナーであぶると急激に温度が上昇して銅製ポットの内側に氷が張り付いてしまうそうだ。そのため、ドライバーで氷を掻き落とし、落ちた氷を圧縮空気で吹き飛ばす必要もあるという“液体窒素冷却の裏技”をduck氏は教えてくれた。

工業用温度計に相当する超低温を測定できるASUSTeKのOC Panel。CPU温度はマイナス113度を下回っている(写真=左)。冷えすぎて動かなくなったCPUを急速に温めるため、オーバークロック大会ではガスバーナーが必須となる(写真=右)

高度化したユーティティでデリケートなメモリチューニングを可能にした

 オーバークロックのチューニング設定では、CPUの動作クロックの設定以外に、システムメモリの動作クロック、CPUやメモリ、マザーボード各部の駆動電圧、そして、システムメモリのレイテンシ各項目など、多岐にわたる。

 オーバークロックをたしなむユーザーにとって、duck氏のオーバークロック設定は興味深い。duck氏は、マザーボードやCPU、GPUの性能が向上し、設定機能も自動チューニングを含めて高度化しているため、ある程度のところまでは誰でも設定できると語る。CPUも無理な設定でも破損しないようになったので、以前と比べてオーバークロックは行いやすくなったそうだ。しかし、イベントではマザーボードの動作クロックを始めからマニュアル設定で上げてから、各部設定をチューニングしていった。

 ただし、CPUの駆動電圧は最初からマニュアルで1.75ボルト、メモリの駆動電圧は2.18ボルトという設定で始めている。これは、超低温になると通常の電圧設定では起動すらできなくなるからだ。同時にメモリのレイテンシでは、温度帯ごとに異なる設定を用意している。メモリのチューニングは、その設定を保存したプロファイルを冷却した温度にあわせて読み込むほどにデリケートだという。

 duck氏は、オーバークロックではCPUの動作クロックだけなく、メモリなどのCPU以外の設定も重要になると説明している。「車でもエンジンだけ強化しても足回りが伴わなければついていけないでしょう」というduck氏は、Devil's Canyonではメモリコントローラが進化してオーバークロック設定でも動作するようになったと評価する。

 なお、実行するベンチマークテスト(もしくは、ベンチマーク大会の部門)によって、マルチスレッドに対応していない場合がある。その場合、クアッドコアのCore i7-4790Kでは、動かすコアを1つだけにして動作クロックを究極まで上げることになるが、このとき、「クロックが一番上まで上がるコア」を見つけ出すことも必要になることを紹介した。

 duck氏は液体窒素の価格にも言及している。業務用の液体窒素だけに販売を取り仕切っている組合なるものが存在し、そこでは1リットル当たり400円以上で販売するとのことだ。また、販売価格は扱う店や購入する相手とのお付き合いの深さでも変動するらしく、一見さんや初めての取引先に対しては1リットル当たり800円という高値で販売することもあるそうだ。ちなみに、液体窒素の消費量はCPUのオーバークロックで1時間当たり10リットル、グラフィックスカードのオーバークロックになると20リットルほどかかるそうだ。

 イベントでは「時間が足りなかった」といいつつ、早い段階から5.8GHzで動作し、最終的には6.6GHzまで到達した。duck氏は、Pentium 20th Anniversary EditionのPentium G3258など、低価格“アンロック”版CPUの登場や、CPUのオーバークロック耐性の向上、そして、マザーボードのオーバークロック自動設定機能の高度化や使いやすくなったチューニングユーティリティなど、未経験者でも楽しめる環境が整ってきたと訴える。

設定ユーティリティの進化でオーバークロックも以前と比べてかんたんに、かつ、安全にできるようになった(写真=左)。イベントでは最終的にCPUを6.6GHzで駆動するところまでチューニングを進めることができた

 液体窒素を使った冷却で究極のオーバークロックを突き詰めるのも醍醐味だが、空冷や水冷でも高いクロックを気軽に、そして、安全に出せるようになっている。duck氏は「遊びとしてのオーバークロック」もPCの楽しみ方の1つとして多くのユーザーに体験してもらいたいとアピールしている。インテルのユーザーファンクラブ「Intel Club Extreme」では、オーバークロックに関する情報も提供しているので、未経験者は会員登録をしてTipsやオーバークロックイベントに関する情報をチェックしてみるといいだろう。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2014年9月29日