ドコモが下り最大225MbpsのLTE-Advancedを2015年3月に開始/相次ぐ格安SIMの増量キャンペーンルータープリンスの「5分で知る最近のモバイル通信&ルータ事情」(1/2 ページ)

» 2014年10月14日 18時37分 公開
[島田純,ITmedia]
「ルータープリンスの「5分で知る最近のモバイル通信&ルータ事情」」バックナンバー

ドコモがモバイルWi-Fiルーター新機種を1年ぶりに投入 CA対応で下り最大225Mbpsに高速化

 ドコモは9月30日、2014年冬〜2015年春モデル機種を発表。モバイルWi-Fiルーターは、「Wi-Fi STATION L-01G」(以下、L-01G)と「Wi-Fi STATION HW-02G」(以下、HW-02G)の2機種が発表された。どちらもLTE-Advancedによるキャリアアグリゲーション(CA)をサポートしており、下り最大速度は225Mbps。発表時点では国内のモバイルWi-Fiルーターで最速の通信速度だ。

 ドコモの下り最大225Mbps対応サービスは、2015年3月に提供開始予定となっており、2014年冬〜2015年春モデルではモバイルWi-Fiルーター2機種のみが対応。また下り最大225Mbpsの通信速度が可能となるのはCAによって合計30MHz幅の通信周波数が確保できる場合で、ドコモでは以下のパターンを予定している。

  • 1.5GHz帯(Band 21)15MHz幅+2GHz帯(Band 1)15MHz幅=30MHz幅
  • 800MHz帯(Band 19)10MHz幅+1.7GHz帯(Band 3)20MHz幅=30MHz幅
photo ドコモは2015年3月から、LTE-Advanced対応によって下り最大225Mbpsサービスを開始する
photo L-01Gは、CAのほか、国際ローミング時にはTD-LTEにも対応

 ドコモ以外では、KDDIが800MHz(Band 18)と2GHz帯(Band 1)を組み合わせた下り最大150Mbpsを提供済み。ソフトバンクモバイルはAXGPの2.5GHz帯(Band 41)で下り最大165Mbpsを実現し、対応端末第一弾としてモバイルWi-Fiルーターの「Pocket WiFi303ZT」を販売している。なお、ソフトバンクモバイルではFDD-LTEのキャリアアグリゲーションを2015年以降に提供予定としている。

 ドコモから新発売されるモバイルWi-Fiルーター2機種のスペックを見てみよう。LGエレクトロニクス製のL-01G(年3月発売予定)は、CA以外に国際ローミングでTD-LTEの2600MHz帯(Band 38)に対応しており、中国などで国際ローミングを利用する際に高速な通信が利用可能となっている。

 LAN側は電波干渉の少ない5GHz帯のIEEE802.11acに新しく対応した。2.4GHz帯と比べて安定した通信を利用することができるのも、2.4GHz帯が混雑している状況では心強い。L-01Gの前モデルにあたるL-02Fもクレードル装着時はIEEE802.11acのWi-Fiが利用可能だったが、あくまでクレードル利用中の限定機能となっていたため、モバイル環境ではIEEE802.11acを利用できなかった。

 L-01Gはクレードルに非対応となったが、Wi-Fi側はIEEE802.11acが利用可能となったため、CAの対応と合わせて、モバイルシーンにおける通信環境が前モデルよりも底上げされている。

 バッテリー容量は4880mAhと、L-02Fの3600mAhと比較して大幅に容量が増加している。ドコモのLG製モバイルWi-Fiルーターには連続通信時間が長いという特徴があり、L-01Gも連続通信時間が長時間になることが期待できそうだ。従来通りモバイルチャージャー機能もサポートしているため、L-01Gを使ってスマートフォンやタブレットを充電することもできる。

 Huawei製のHW-02G(2015年2月発売予定)は、前モデルであるHW-01Fと同様に、LG製のモバイルWi-Fiルーターと比べるとコンパクトなモバイルWi-Fiルーターとなっている。

photo クレードル連携やBluetoothでのリモート復帰に対応するHW-02G

 主要なスペックとしては、L-01Gと同じくCAに対応することで下り最大225Mbpsに対応しており、CA対応エリアではより高速な通信が使える。なお、L-01Gが対応しているTD-LTEやGSMには非対応となっており、国際ローミングでの利用という面ではL-01Gよりもスペック面で劣っている。

 HW-02Gにはクレードルが標準で同梱される。HW-02Gをクレードルにセットすると自動的にWi-Fi側の出力が強くなり、広い範囲でWi-Fiを利用することが可能となる。さらに、同時接続台数が通常時の10台からクレードル接続時は20台に増加する。

 ただし、クレードル利用時のWi-Fiは2.4GHz帯のみ利用可能となるため、5GHz帯利用時と比べると通信速度が劣る点や、2.4GHz帯を使う電子レンジなどの機器との干渉には注意が必要だろう。

 このほか、Bluetoothを搭載しており、HW-02G本体がスリープ状態になっても、スマートフォン向けの専用アプリからスリープモードをリモート解除することができる。Bluetooth搭載によるスリープ解除機能は、WiMAX対応の「Aterm WM3800R」やLTE対応の「MR03LN」(共にNECプラットフォームズ製)で見られたが、ドコモ向けに投入されるモバイルWi-Fiルーターでは初の対応となる。

 バッテリー容量はHW-01Fの1780mAhから2400mAhへと拡大しており、LTE-Advanced環境での連続通信時間は7時間となる予定だ。

 ドコモから発売されるHuaweiのモバイルWi-Fiルーターは、同時期に発売されるLG製のモバイルWi-Fiルーターと比べると、機能的に少なくともひとつとがった機能を備えていたが、今回のHW-02Gではクレードル連携とBluetoothを使ったスリープからのリモート復帰が特長となりそうだ。

MVNO3社が料金据え置きでデータ通信量を増量!

 MVNOのデータ通信サービスでは、IIJ、OCN、So-netが料金据置でデータ通信量を増量することが発表された。以下、各社の料金プランは全て税込で表記する。

 データ通信増量をいち早く発表したのはIIJで、提供中の各プランにおいて月額通信料はそのままに、利用可能な通信量がミニマムスタートプラン(月額972円)で1Gバイトが2Gバイトに、ライトスタートプラン(月額1642円)が2Gバイトから4Gバイトに、ファミリーシェアプラン(月額2765円、SIMカードは最大で3枚まで)が3Gバイトから7Gバイトへと増量された。データ通信量の増量は10月1日からで、既存のユーザは手続なしで増量が適用される。

 IIJは音声通話に対応する「みおふぉん」も提供しており、みおふぉんについても同様にデータ通信量が増量される。

 IIJのデータ通信量増量を受けて、OCNも同様に10月よりデータ通信量を増量することを9月30日に発表。改定後のデータ通信量は、月額1188円の1GB/月コースが2GB/月に、月額1566円の2GB/月コースが4GB/月コースへグレードアップとなった。

 OCNは、1日あたりの高速データ通信量を制限する「日次コース」も提供しており、こちらは月額972円の50Mバイト/日コースが70Mバイト/日コースに、月額1490円の80MB/日コースが100MB/日コースとなり、月額料金は据置でデータ通信量が20MB/日ずつ増加した。なお、最大500kbpsの速度で月間7Gバイトまで通信が利用できる「500kbpsコース」は一連の容量増量の対象外となる。

photo OCN モバイル ONEは10月より料金据置でデータ通信量を増加

 続いて、So-netは10月1日付けで同日よりデータ通信量の増量を発表。同社の提供するPLAY SIMでは、月額950円のプラン50M/dayが80M/dayに、月額1380円のプラン80M/dayが135M/dayとなり、他社と同様に月額料金そのままで利用可能なデータ通信量が増量する。

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