競合他社の新製品にはMeizu MX4をさらに超えるハイスペックなスマートフォンがあるなど、各社は2014年で最も注力したモデルをこの時期に投入してきた。これは2年ぶりのフルモデルチェンジで中国でも発売することになったiPhone 6とiPhone 6 Plusの対抗だけではなく、10月1日から始まる国慶節(建国記念日)の大型連休に合わせて新製品で売り上げを伸ばそうという各社の思惑が重なったためだ。
中国商務部の発表によると、2013年の国慶節連休の7日間に中国国内の小売業と飲食業の販売総額は8700億元(約1兆5410憶円)で、これは前年比で約14%の伸びとなっていた。2014年の国慶節は建国65周年と切りがいいこともあり好調だった2012年以上の伸びが見込まれている。携帯電話業界も2014年はLTEの本格普及が始まった年であり、2Gのフィーチャーフォンからの買い替えのみならず3Gスマートフォンを使っているユーザーの乗り換えもこの時期に集中すると期待している。
各社の新製品は、Meizu MX4と同列に並ぶ“ハイスペック製品”と、1000元を切りながら十分な性能を持つ“高コストパフォーマンス製品”に分かれる。その1000元モデルを一気に増やしたのがCoolpad(酷派、宇龍通信)だ。2014年1月にオクタコアプロセッサ採用の高コストパフォーマンス製品に『大神』という新ブランドをつけ、Xiaomiの低価格モデル「HongMi」(紅米)に並ぶ人気となった。
8月26には後継モデル「大神F2」やさらなる低価格モデル「大神F1青春」など3モデルを発表した。発表会ではSamsungの「GALAXY S5」と大神F2を比較し、スペックでは一部劣るものの価格が999元(約1万7700円)と、GALAXY S5の3899元と比べて約4分の1とアピールしていた。なお、大神F2はこの価格でもLTEに対応し、5.5型の大型ディスプレイを搭載している。
Zopo(卓普通信)は、新製品「小黒3」と新たなMiniHeiブランドを発表している。MiniHeiは直訳すると「小さい黒」であり、今後は高コストパフォーマンスの1000元前後のスマートフォンをこのMiniHeiブランドでリリースしていく予定だ。MiniHeiはロゴマークを制定し、洋服などファッションアイテムにも進出する予定で、若者向けスマートフォンだけではなく、生活や文化にまで浸透を図ろうとしている。
老舗メーカーのTianyu(天宇朗通通信)も同じ価格帯のモデル「nibiru」(ニビル)に「木星」と「金星」と名付けた製品を発表した。nibiruは冥王星の外にあると推測された仮想惑星だが、Tianyuはその名前をブランドとし、太陽系の各惑星の名前で6製品を展開していく。“宇宙から来た新製品”というキャッチフレーズと共に、そのネーミングセンスはなかなか面白い。
今回紹介した10社以外にも、9月中旬以降に数社が新製品発表会を実施した。また、Huaweiは9月後半にも中国国内向けの低価格LTEスマートフォンを発表するなど、新製品投入の手を緩めていない。新型iPhoneや国慶節向け製品は出そろったものの、中国国内の各スマートフォンメーカーはあと3カ月しかない2014年のうちにさらなる新製品を出してくるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.