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“2万円台”でSIMフリーLTE+高精細液晶の8型Androidタブレット――「Venue 8」は買いか?Androidにも注力するDell(2/3 ページ)

» 2014年10月31日 15時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

8型タブレットとして標準的なサイズ感

 ボディのサイズは、約130(幅)×216(高さ)×8.95(奥行き)ミリだ。メジャーな7〜8型クラスのタブレットの大きさと重さの比較は別表にまとめた。強調できるほどではないが、iPad miniやWindows系で主流の8型タブレットよりは幅が狭い。数ミリの差ではあるが、片手で持てるギリギリのところなので、持ってみると少しスッキリ感じる。

 重量は公称値で約338グラム、実測では343グラムだった。公称値はWi-FiとLTEモデルで分けて重量が記載されていないが、評価機はLTEモデルのぶんだけ若干重いのかもしれない。いずれにしても8型クラスのタブレットとしては標準的な重さと言える。

薄さ軽さとも特筆するほどではないが、ほどよくスリムですっきりしたデザインのボディ。8型クラスのタブレットでは片手でも比較的持ちやすい
主な7〜8型タブレットのサイズ比較
製品名 OS ディスプレイ 表示画素数 画素密度 幅×高さ×奥行き 重量(Wi-Fi/Cellurar)
Venue 8(3000シリーズ) Android 8型 1920×1200ピクセル 約283ppi 約130×216×8.95ミリ 約338グラム
MeMO Pad 8(AST21) Android 8型 1920×1200ピクセル 約283ppi 213×213×7.7ミリ 約301グラム
Xperia Tablet Z3 Compact Android 8.0型 1920×1200ピクセル 約283ppi 約123.6×213×6.4ミリ 約270グラム
iPad mini 3 iOS 7.9型 2048×1536ピクセル 約324ppi 約134.7×200×7.5ミリ 約331グラム/約341グラム
iPad mini 2 iOS 7.9型 2048×1536ピクセル 約324ppi 約134.7×200×7.5ミリ 約331グラム/約341グラム
iPad mini iOS 7.9型 1024×768ピクセル 約162ppi 約134.7×200×7.2ミリ 約331グラム/約341グラム
Nexus 7(2013) Android 7型 1920×1200ピクセル 約323ppi 約114×200×8.6ミリ 約308グラム/約312グラム
Nexus 7(2012) Android 7型 1280×800ピクセル 約216ppi 約120×198.5×10.45ミリ 約340グラム/約347グラム
ThinkPad 8 Windows 8.3型 1920×1200ピクセル 約273ppi 約132×224×8.8ミリ 約430グラム
Miix 2 8 Windows 8型 1280×800ピクセル 約189ppi 約131.8×215.6×8.35ミリ 約350グラム
Venue 8 Pro Windows 8型 1280×800ピクセル 約188ppi 約130×216×8.9ミリ 約395グラム

 ボディカラーはブラックとレッドの2色が用意されている(Wi-Fiモデルはブラックのみ)。評価機はレッドだが、メタリックの入った落ち着いたレッドで、派手過ぎずも地味過ぎない存在感のある色となっている。

 背面は「DELL」ロゴの同心円状に溝を彫ったシンプルながらインパクトのあるデザインが秀逸だ。表面は汚れが付きにくい仕上げとなっており、滑りにくく、ベトつかず、実際に触った印象もよい。microSDXCメモリーカードスロットと隣にあるSIMカードスロットにはカバーが用意されているが、こちらも精度が高くピッタリ収まる。

個性を主張をしつつ、派手過ぎないカラーリングが好印象だ。デルのロゴの円に合わせて同心円状の溝を掘っており、手触りがよい
付属のACアダプタは42(幅)×43(奥行き)×28(高さ)ミリ、重量は約45グラムと小型軽量だ

 内蔵バッテリーの容量は17.29ワットアワー(4550mAh)だ。具体的なバッテリー駆動時間は公表されていないが、デルによれば「Wi-Fiで終日利用できる」という長時間の駆動をうたっている。

 付属のACアダプタは42(幅)×43(奥行き)×28(高さ)ミリ、重量は約45グラムだ。プラグは収納できない仕様だが、小型軽量でタブレット本体とともに持ち運びやすい。電力仕様は5ボルト/2アンペアで、USBケーブルを接続して利用する。

テスト結果は高いが、実使用ではメモリ不足の影響も

 各種ベンチマークテストのスコアを見てみよう。7型Androidタブレットの定番モデル「Nexus 7(2013)」と比べた場合、Quadrant Professional Editionの総合スコアで約250%、AnTuTu Benchmarkの総合スコアで約160%と高いスコアが出た。高性能な8型Androidタブレット「Xperia Tablet Z3 Compact」と比べても、Quadrant Professional Editionの総合スコアで約70%、3DMark/IceStorm Unlimitedで約79%に相当する結果を出しており、低価格モデルとしては健闘している。

 しかし、JavaScriptテストのOctane V2.0では途中でChromeブラウザが終了してしまい、テストが実行できなかった。1Gバイトと最低限のメモリ容量が起因していると思われるが、Chromeについては通常のWebブラウズでも画像の多いページで遅延が激しかったり、強制終了したりと、相性が悪いようだ(Venue 8では別のWebブラウザも搭載している)。また、GFXBenchの高レベルテストもメモリ不足で実行できなかった。

Venue 8(3000シリーズ)の各種ベンチマークテスト結果
Quadrant Professional Edition 2.1.1
TOTAL 14032
CPU 44990
Memory 14715
I/O 7785
2D 333
3D 2338
AnTuTu Benchmark 5.1
Score 32155
UX/マルチタスク 5166
UX/Dalvik 2667
RAM/ RAM演算能力 1546
RAM/RAM速度 2692
CPU(multi-thread)/整数演算 1829
CPU(multi-thread)/浮動小数点演算 2100
CPU(single thread)/整数演算 1362
CPU(single thread)/浮動小数点演算 2063
GPU/2Dグラフィックス 1652
GPU/3Dグラフィックス 9094
IO/Storage I/O 1339
IO/Database I/O 645
3DMark(Ice Storm Unlimited)
Ice Storm Score 14286
Graphics Score 15991
Physics Score 10403
Basemark X 1.1
High −(エラー)
Medium 15065
GFXBench(低レベルテスト)
算術論理装置 1806
1080p算術論理装置オフスクリーン 4673
アルファブレンド 3811
1080pアルファブレンドオフスクリーン 3870
ドライバーオーバーヘッド 911
1080pドライバーオーバーヘッドオフスクリーン 1828
フィル 3215
1080pフィルオフスクリーン 3299
※高レベルテスト、特殊テストはメモリ不足で実行できず

 実際の使用感においても、メモリ容量(1Gバイト)の影響は感じられる。ディスプレイの解像度が高いぶん余裕がないようで、ゲームなどはメモリ不足で実行できなかったり、途中で強制終了することもある。描画負荷にかかわらず、ゲームやそれに匹敵するようなメモリを要求するアプリの常用は厳しい。これにより、SIMロックフリーLTEでいつでもどこでもフル活用したいといったユーザーには、力不足を感じることもあるだろう。

 OS操作のレスポンスは、平時は問題ない。ただし、バックグラウンドタスクなどの影響か不意に反応が遅延するような場面がときどきあり、最近の高性能なAndroidスマートフォン/タブレットのような感覚で使っていくとストレスがたまる場面も出てくる。自動同期の設定を制限したり、タスクマネージャアプリやメモリ解放アプリなどを使って、こまめにメモリの余裕を確保する工夫をしたほうがよいだろう。

 バッテリー駆動時間のテストは、液晶ディスプレイの輝度を約半分に設定し、1080p動画ファイルをリピート再生させたところ、約8時間経過した時点で残量表示は6%だった。8型タブレットとしては十分な駆動時間だろう。

 発熱に関しては、裏面中央付近が少しじんわりとする程度で、気になるような発熱はなかった。通常はシステムに高負荷をかけ続けて温度の上昇を計測するのだが、Venue 8では高負荷をかけ続けるとアプリが落ちることが多く、各部の温度比較は割愛した。

ベンチマークテストの概要

  • パフォーマンステスト
    • Quadrant Professional Edition 2.1.1(総合評価)
    • AnTuTu Benchmark 5.1(総合性能評価)
    • 3DMark(3D性能評価)
    • Basemark X 1.1(3D性能評価)
    • GFXBench(3D性能評価)
  • バッテリー駆動時間テスト
    • 1080p動画連続再生

※輝度50%固定、無線LAN接続、Bluetoothオン、音量50%で、MPEG-4 AVC/H.264(Baseline Profile)形式の1080p動画ファイルをリピート再生。満充電の状態からバッテリー残量が残量6%になるまでの時間を計測


デル株式会社 デル株式会社

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