AMDは、このCarrizoを28ナノメートルプロセスルールで製造するとしているが、マクリ副社長は「Carrizoでは、現行のKaveriとは異なるプロセスルールを採用し、省電力化に対する最適化やトランジスタの高密度化を図っている」と説明した。また、サウスブリッジ機能をAPUに統合したSoC(System on Chip)化を果たすことで、システム全体のさらなる省電力化も実現すると述べている。
AMDにとって、CarrizoはHSAのフルスペックとなるHSA 1.0対応APUという重要な役割も果たす。HSA 1.0では、CPUとGPUの緊密な連携を実現すべく、現行のKaveriでは、メモリコントローラやメモリ階層の改良により、次の技術を実現してきた。
さらに、HSA 1.0対応を果たすCarrizoでは、これに、「プリエンプティブなコンテキスト・スイッチング」を実現する。
プリエンプティブなコンテキスト・スイッチングとは、優先度の高い命令を実行するために、実行中のタスクを一時的に中断することを可能にすることだ。これにより、効率的なCPU-GPU連係が可能になる。
マクリ氏は、Carrizoには、APUパッケージタイプを共有する省電力デバイス向けの“Carrizo-L”も用意することを明らかにした。このAPUは“Beema”の進化版という位置付けで、統合するCPUコアも“Puma+”となる。
なお、Carrizo-LではHSA 1.0に対応しないが、「PCベンダーはシステム設計を共用できるため、トップ・トゥー・ボトムのラインアップ展開が容易になる」(マリク氏)と、CPUアーキテクチャや機能が大きく異なる2つのAPUを、Carrizoシリーズとして投入する意義を説明する。
現在AMDが公開してているCarrizoシリーズに関する概要は以下の通りだ・
AMDがFuture of Computeにあわせてアップデートしたロードマップでは、Carrizoの市場投入時期が2015年前半となっているものの、具体的なスケジュールは明らかにしていない。マクリ氏によれば、CarrizoのCPUコアとなるExcavetorのアーキテクチャ詳細は、2015年2月の国際半導体技術会議「ISSCC 2015」で明らかにする予定としているので、搭載する製品の投入は第2四半期になると考えるのが現実的だ。
AMDが同じタイミングで公開した省電力技術ロードマップでは、CarrizoがKaveriに比べて電力効率を2倍に向上する見通しであることや、2020年には電力効率を25倍引き上げるための技術開発を進めていることも明らかにしている。
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