一方、MS-NH1で何ができるか、という側面から見ると、本機の基本スペックを見れば分かるように、エントリークラスのAtom搭載Windowsタブレットとほぼ同じ、と考えたほうがよさそうだ。具体的には、Webブラウズやメールチェック、ストリーミング動画再生、OfficeをインストールすればOffice資料の作成や閲覧、あるいはスマホで撮影した写真をちょっと加工してブログにアップするといったライトな使い方が中心で、本格的な画像編集やCPUに高い負荷をかけ続ける処理などはやや荷が重いかもしれない。
ベンチマークテストでチェックしていこう。本機の基本スペックを再掲すると、Atom Z3735F(1.33GHz/最大1.83GHz)と2Gバイトメモリ(DDR3L)、32GバイトSSD(eMMC)という構成で、Windows搭載タブレットでは珍しくないスペックだ。極端にいえば、MS-NH1はタブレットから液晶画面と入力インタフェース、バッテリーを省いて極限までボディを小型化した製品ととらえることができる。ここでは同じくAtom Z3735Fを搭載した8型Windowsタブレット「dynabook Tab S38/23M」を比較対象として、ベンチマークテストを行った。
m-Stick MS-NH1とdynabook Tab S38/23Mの主なスペック | ||
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製品名 | m-Stick MS-NH1 | dynabook Tab S38/23M |
CPU | Atom Z3735F(1.33GHz/最大1.83GHz、4コア/4スレッド) | Atom Z3735F(1.33GHz/最大1.83GHz、4コア/4スレッド) |
メモリ | 2GバイトDDR3L | 2GバイトDDR3L |
ストレージ | 32GバイトeMMC | 32GバイトeMMC |
GPU | CPU統合(HD Graphics) | CPU統合(HD Graphics) |
オフィス | − | Office Home and Business 2013 |
OS | 32ビット版Windows 8.1 with Bing | 32ビット版Windows 8.1 with Bing |
価格 | 1万9800円(税込み、送料込み) | 3万円台前半(税別) |
まず、CPU性能を測るCINEBENCH R11.5だが、同じCPUを採用しているにも関わらず、m-Stick MS-NH1がやや低いスコアとなっている。計測を重ねるごとにスコアが落ちたことから、おそらく排熱の関係でCPU処理が抑えられていると思われる。本体自体が触れなくなるほど熱くなることはないものの、長時間使用していると熱を帯び、それに応じてスコアも低下する傾向にあった。Webブラウズなどの用途であればなんら問題はないが、高い負荷をかけ続ける処理は向いてなさそうだ。
ストレージ性能をみるCrystalDiskMarkでは、dynabook Tab S38/23Mと比較してリード速度が速い半面、ライトは遅い結果となった。ただ、実際の利用でストレージの読み込み、書き込みが遅いと感じる場面はほとんどなく、OSを起動する時間も実測で約21秒と待たされる印象はない。少なくとも2.5インチHDDを搭載した古いノートPCに比べれば快適だ。
次にPCの総合的なパフォーマンスをチェックするPCMark 7の結果を見ていこう。m-Stick MS-NH1のスコアは1927とここでもdynabook Tab S38/23Mにやや差をつけられている。複数回の実施でスコアが安定せず、使用環境によっても結果が異なると思われるが、同スペックのWindowsタブレットと比べてスコアが低い傾向にあるのはやはり排熱処理の難しい小型フォームファクターが原因だろう。もっとも極端に差があるわけではないので、ライトユースであればあまり気にする必要はないかもしれない。
3D描画性能を図る3DMarkは、比較的負荷の軽いIce Stormで10093をマークする一方、Direct X10相当のテストであるCloud Gateでは1105と厳しい結果となった。dynabook Tab S38/23Mとの比較で分かるとおり、ここでもCPUスコアを大きく下げており、総合スコアに反映されて差をつけられている。おそらく過度な発熱を避けるためにCPUが細かくクロックを落としていると推測できる。いずれにせよ、CPUに内蔵されるIntel HD Graphics程度のパフォーマンスでは、最新3Dゲームを満足にプレイするのは難しいという結果だ。
以上、マウスコンピューターの「m-Stick MS-NH1」を見てきた。発熱の関係からか、ほぼ同じ基本システムを採用するWindowsタブレットに比べてやや下回る性能となってはいるものの、Webブラウズや動画のストリーミング再生など“リビングPC”として思いつく用途であれば問題のないパフォーマンスを備えていることが分かった。前述したとおり、「テレビを買ったポイントのオマケでテレビにパソコンの機能を追加する」という利用シーンはかなり魅力的なものがある。
また、開発者の平井氏も語っていたとおり、ユーザー自身が思い思いに色々な活用方法を見つけていくことだろう。2万円を切る手ごろな価格も、筆者のように「とりあえず買ってみてから考える」ようなガジェット好きたちの背中を押してくれるはずだ。むしろ、何に使えるか考える楽しさ、あれこれと想像するワクワク感を与えてくれるオモチャとして歓迎したい。
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