基本スペックは、輝度(標準値)が300カンデラ/平方メートル、コントラスト比が1000:1、視野角が上下/左右で各178度、応答速度が5ms(中間階調域)、最大表示色が約1677万色(10ビットLUT)と不満はない。
エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1Pro」で輝度を実測したところ、約320カンデラ/平方メートル、最小では約4カンデラ/平方メートルまで下げることが可能だった。暗すぎて、あるいはまぶしすぎて困ることはないだろう。2つの調光方式(PWM/DC)を組み合わせたEIZO独自の「EyeCare調光」により、LEDバックライトに起因する画面のちらつきを抑制しながら、輝度をグッと下げられるのは便利だ。
i1Proで測定したガンマ特性と色域の結果についても見ていこう。FlexScan EV3237はPaper、Movie、sRGB、User1、User2という5つの画質モードを装備しているが、この中からパネルネイティブの「素の表示」に近いと思われるUser1モードと、色再現性に配慮されたsRGBモードを選んで測定している。
まずはガンマ特性だが、User1モードでは一切の手を加えず工場出荷時の状態を測定し、sRGBモードでは規格された輝度80カンデラ/平方メートルに設定して測定した。計測結果はガンマ補正カーブの入力と出力が1:1の関係、グラフでは右上がりの直線になるのが望ましい。
結果を見ると、User1モードは暗部から明部までRGBがしっかりと一致した非常に美しい直線が描けており申し分ない。sRGBモードは低めの輝度に設定したからか、黒にごく近い暗部で3本線が離れており、中央からもわずかにズレが生じているが、この程度ならば十分に許容範囲で良好な結果と言える。
この測定で作成したICCプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示し、色度図にプロットしてFlexScan EV3237の色域も確認した。下に掲載した色度図では、sRGBの色域をカラーで、FlexScan EV3237の色域をグレーで重ねて表示している。
結果を見ると、どちらの表示モードも赤から青にかけての領域がわずかに、それ以外の部分が一回りほどsRGBよりも広い色域だった。sRGBモードについては、同社のカラーマネジメントディスプレイであるColorEdgeほど厳密な色再現ができるわけではないが、ガンマ(2.2)と色温度(6500K)はしっかり合っており、高彩度の色が少し鮮やかに表示される点を考慮すれば、個人や一般ビジネス用途での画像編集にも十分使えるだろう。
画質とともにEIZOディスプレイの特徴となるのがボディデザインだ。可動域の広さにこだわった独自設計のスタンドは、設置場所が限られてくる大型ディスプレイでは非常にありがたい。スタンドの動作は139ミリ範囲の昇降、上35度/下5度のチルト、左右合計で344度のスイベルに対応する。
特に高さの調整範囲が広いため、スタンドの円形ベースに画面部の下端が密着する位置(設置面から10ミリほど)まで下げることが可能だ。大画面ディスプレイでは表示の上部を見ようとすると視点が上を向きがちで、目や肩が疲れやすいため、表示位置をギリギリまで下げられるのは重宝する。
スイベルについては円形ベースの底面に内蔵したターンテーブルで行う。ベースが円形なので左右に画面を振っても周囲の書類や筆記用具、ケーブルなどを巻き込むことがなく、スムーズに動作する。円形ベースのサイズも31.5型ディスプレイとしては小さくまとまっており、意外に狭いスペースにも設置することが可能だった。
もちろん、ベースは小さいながらもしっかりと安定しており、液晶ディスプレイのフレーム部をつかんで位置を調整しても、グラグラと動いてしまうようなことはない。
ボディカラーはおなじみのブラックとセレーングレイの2色から選べる。本体サイズは731(幅)×245(奥行き)×439〜578(高さ)ミリ、重量は約10.6キロだ。31.5型ということで横幅は長いが、奥行きはコンパクトに仕上がっている。背面には持ち運び用のハンドルがあるため、開封からの設置やちょっとした移動もしやすい。
また背面にはVESA規格に準拠した100×100ミリピッチのフリーマウント用ネジ穴が用意されているので、別途フレキシブルアームなどを装着してより柔軟な設置にも対応できる(画面部の重量は約7.8キロ)。標準のスタンドは縦位置表示に対応しないが、アームなどで縦位置表示にして使っても問題ない設計にしてあるという。
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