G-Tuneが目指すのは“未来”を体験できるPC――製品担当者インタビュー2014下半期アワード3部門受賞記念(2/2 ページ)

» 2014年12月15日 10時00分 公開
[ITmedia]
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―― そして「OcuFes監修PC」です。G-TuneからOculus用ソフトウェア開発向けのPCが出る、というのは少し不思議な気もするのですが、そもそもどういった経緯で企画されたのでしょうか。

杉澤 もともとは2013年の夏ごろ、Oculus Riftのデベロッパーキットが出回り始めたいた時期に、Oculusの可能性を広げるために活動していたOcuFesの桜花一門さんと知り合ったのがきっかけです。

 ちょうどそのころ、G-Tuneの新しい展開として、従来の「ゲーム推奨PC」以外のセグメントを模索し、情報収集しているところでした。デスクトップPCでハイエンドを目指すとどうしても画一的なものになってブランドの個性は出しづらい、G-Tuneならではのものをやりたい、そう考えていたときOculusの存在を知って、たまたまTwitter経由で桜花さんとつながりができて、デモをして頂いたんです。

 最初のOculus体験はすごく衝撃を受けました。立ったままデモアプリのジェットコースターをプレイしたら、体が宙に浮いた感覚がして盛大に転んでしまって(笑)。これは未来のゲームを一変させてしまうかもしれないという可能性を感じました。

―― 確かに。ミクさんが目の前で踊る姿を見ていると現実に帰りたくなくなりますね。

杉澤 ただ、その一方で、これは体験しなければ分からないとも感じました。そこで、まずはOculusを体験できる場を提供していきたいと。正直、このときはまったくビジネスのことは考えていなかったのですが、弊社社長の小松もOculusのデモを体験したら「これはすごい」と背中を押してくれて。実際、2013年に主催した「ゲームパソコン&PC-DIY EXPO」で、OcuFesの方と協力して体験ブースを出したら行列ができる1番人気のブースになって、やはり間違っていなかったと確信しました。

 その後、秋葉原のダイレクトショップ「G-Tune:Garage」で、Oculusの常設展示を行ったり、アプリ開発者の方々とつながりが広がっていく中で、次世代機の「Oculus Rift DK2」が登場したころから動作環境に対する悩みを耳にする機会が増えました。

秋葉原のダイレクトショップ「G-Tune:Garage」ではOculusが体験できる常設ブースが用意され、未来を予感させるさまざまなコンテンツを楽しめる。ちなみに写真は杉澤さん

杉澤 もともとOculusは開発者キットですし、アプリ開発をする人がみなハードウェアに詳しいわけではなく、要求スペックの高いDK2は特に、どんなPCできちんと動くのか分からないという声が意外と多いのです。そこで「これを買っておけば安心だ」という指標を作ることで、G-TuneがOculus文化の普及に貢献できるのではないかと。もちろん、PCメーカーが独断で仕様を押しつけても説得力がないので、初期からOculusの普及に尽力してきたOcuFesの中核の方々にご協力頂いて、開発者の人が納得できる製品をつめていきました。

 具体的には、UnityエンジンとUnrealエンジンの2つの環境を想定し、2軸のベンチマーク指標を打ち出しました。Oculus Rift DK2のVR体験を快適に楽しむには、だいたい75fpsの描画性能が必要になります。そこで、Unityベースで製作されたコンテンツ(Titans of Space)ならGeForce GTX 760以上、Unreal Engine 4で製作されたコンテンツ(Couch Knights)ならGeForce GTX 770/780を搭載するこれくらいのシステムで用件を満たすだろうと、OcuFes監修のもと立ち上げました。

G-Tuneの公式Webサイトでは専用ページを設け、Oculus文化普及の支援を打ち出している

杉澤 開発者向けの製品ですので、爆発的に売れているということはありませんが、Oculus界わいでは、開発するならG-Tuneのマシン、という流れができていると聞きますし、もともと目の前のビジネスというよりは、先行投資としてOculusの普及に貢献したいという思いから企画した製品ですのでありがたいですね。NVIDIAのOptimus技術の関係でノートPCではまだOcuFes監修モデルを出せていないのですが、Oculusの開発者イベントでみなさんがG-TuneのノートPCを使ってくれていると聞いたときはうれしかったです。今後もこうした取り組みは継続して続けていきます。

―― OcuFes監修PCもそうですが、「ゲーム推奨PC」以外のセグメントという方向性では、非常に幅広く活動されてますよね。思いがけずいろいろな場所で杉澤さんの姿を見かけて驚くことも多いです。G-Tuneの最近の展開を教えてください。

杉澤 次世代インタフェースという点では、視線トラッキング技術を持つTobiiの方と知り合って、「Tobii EyeX」を使った常設展示をG-Tune:Garageで始めています。もともと医療系を中心に使われている技術ですが、エンターテインメントでの可能性を提示できれば、Oculusのようにそれを体験した発想力の豊かな人たちが、もっと面白い使い方を生み出してくれるんじゃないかなと。気付いたらいつの間にかアイトラッキングがPCゲームの1つの操作方法になっていたら面白いですね。

 もう1つ、ゲーミングPCのような高いスペックの製品は、ゲームだけでなく幅広い用途に使えるので、ニコニコ動画で配信されているMMDのような3Dコンテンツの製作環境にも向いています。そこでMMD界の方たちに使いやすい素材を提供しようと、G-Tuneのマスコットキャラである“Tuneちゃん”をはじめPCやキーボードなどの3Dモデリングデータを無償公開したところ、累計で3万以上ダウンロードして頂いております。

 著名クリエイターの銀獅さんにお願いして作ってもらったというのも大きいですが、データ改変あり、なんでも自由に使ってくださいというスタンスも評価されているのだと思います。これまでにもモデリングデータを公開している企業はありますが、利用規約を読むと制限ばかりで一般ユーザーには使いづらい。その点、G-Tuneで配布しているデータは何でもアリなので、活用して頂ければうれしいですね。ちなみに第14回MMD杯ではTuneちゃんが選考委員に選ばれています。よろしくお願いします(笑)。

MMD用のモデリングデータを無償配布。キャラだけでなく、小物(PCやキーボード)もある

杉澤 そのほかでは、ゲーミング業界への施策として最近注力しているのがインディーズゲームです。PCゲームと一口に言っても、“推奨パソコン”があるような有名タイトルだけではなく、インディーズ、同人ゲームもあります。そうしたものは大々的に広告を打ち出したりしないので、いい作品があっても埋もれてしまう。G-TuneがPCゲームのためのブランドを打ち出すなら、この分野を応援していく必要もあるだろうと。

 そこで、ゲーム配信の著名実況者の方たちの協力を得て、「裏・顔TV! in G-Tuneスタジオ」で幅広くインディーズゲームを紹介しています。一般ユーザーにインディーズゲームの楽しさを知ってもらって、そのタイトルが成功することによって、さらに面白いゲームの開発につながる、ユーザーにとっても開発者にとってもいい循環につながるような支援ができるのではないかと思っています。

 OcuFes監修PCも、MMD向けモデルも、このインディーズゲームに対する取り組みも、ビジネスとしてはまだまだ“将来への投資”という段階ですが、これからのG-Tuneブランドを考えたとき、たんにゲームをやるためのパソコンという枠組みを超えて、ユーザーはもちろん、開発者、実況、配信、それこそゲームに関わるすべての人の手助けになるブランドを目指していきたいですね。

―― ありがとうございました。



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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia PC USER 編集部/掲載内容有効期限:2014年12月31日